見出し画像

ひきこもりについて

ひきこもりの定義は、厚生省のガイドラインによると、

様々な要因の結果として社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家 庭にとどまり続けている状態を指す現象概念(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)

厚労省 ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン

引き込もりの実態は、2019年の3月に内閣府が発表したものですけれども、
15歳から39歳までの人で、54万1,000人もいるんだそうです。
40歳から60歳までの人が、61万3,000人。
合計で115万4000人。
日本の社会では、こんなにもたくさんの人が引きこもっているという現実があるんですね。

これ大変なことだと思いませんか?

もうこの事実を知っただけでも、私は何とかしなくちゃって思いに本当にかられますね。

実際に引きこもっている人たちの声を、先日のNHKの放送で聞いたので、その例を紹介をしたいと思います。

Aさん
中学からひきこもり、10年になる。
学校休みたいと言ったら、父親に無理やり車で学校へ連れて行かれた。
家では、腫れ物みたいに扱われている。
普通にしていればいいと言われるが、
「普通って何だろう?」って思う。
生きているのが邪魔?

NHK 12/9 22時~放送「ひきこもりラジオに寄せられた本音」より

そういう言葉をつぶやきました。どんな風に思われましたか?皆さん。

それから B さんですね。
この方は43歳の方ですね。

正社員になれず、父から何回落ちても「お前が悪い」 と言われて、生きていても仕方ないとひきこもった。
何をしていても、親とのことが頭を離れない。
何で私を産んだんだ?
1人の娘として認めて欲しかった。
今からでも認めて欲しい気持ちと、いなくなって欲しい気持ちと半々。

NHK 12/9 22時~放送「ひきこもりラジオに寄せられた本音」より

これは親との葛藤ですよね。
お母さんやお父さんの懐に飛び込んでいけない。
43歳って年齢はもちろんありますけど、もう長年、就職の時期からですから20年ぐらい引きこもっているんですよね。
お前が悪いって言われて、やっぱり自己肯定感が高まれなかった結果ですよね。
こんな気持ちで今、現在、生きてらっしゃるってことですね。

それからCさんの問題。

家から出られない。コンビニもガタガタ震えてしまって行かれない。
人と関わるのが怖い。唯一、両親とのみ会話する。
親との約束を守ってもらえなかった。
靴を買う約束をしたのに、親は忘れた。
体力作りに必要なのに、何でわかってくれないのだと絶望的になる。
親との関係性が崩れる。

NHK 12/9 22時~放送「ひきこもりラジオに寄せられた本音」より

こういうふうにつぶやいた方もいらっしゃるのね。

対人恐怖症ですよね。
唯一親と話ができると言ってるんですけども、親は約束を忘れちゃった。
体力作りに靴が必要だから靴を買ってと言ったのに、忘れちゃったって言うんですね。
それでこのCさんは、なんで親が忘れたのなら「この間の約束はどうなっているの」っていうふうに、なんで言えないのかなって思うんですね。

これはやっぱり、小さい頃に養われる愛着関係っていう、親に何でも自分の言いたいことが言えるっていう関係が形成されていないということですよね。
「親としか話せない」って言いながら、親にも話してないっていうのは、それで自分が落ち込んでいってしまうっていうね。

絶望的になってくるんですから。もう対人関係のこの弱さと言うのは本当になんて声をかけたらいいかわかんないくらいに弱いですよね。
こういう声があるわけです。

Dさんの場合ですね。
Dさんの場合は、これ親の立場から書いていますね。

19歳から17年間ひきこもり、36歳の息子。
自分は小学校の教師をしている。
40人の子の言うことを聞かせることを考えた。
「あんたがいつまでも息子の世話を焼いているから、チャンスを失った」と言われた。
息子を少しでも楽にさせたいと思っている。

NHK 12/9 22時~放送「ひきこもりラジオに寄せられた本音」より

楽にさせたい気持ちはわかるんですけれども、これは過保護ですよね。
子どもが自立して親元を離れて、自分で自分の生活を作っていくという、そういう方向に親は関わっていかなきゃいけないのに、子どもが楽になるようにしたいって言う。

それはちょっと36歳の息子に対して言う言葉じゃないんですね。
多分指示命令タイプのお父さんで、言うことを聞かせてきたので、息子はもう引きこもってしまって、っていう形かなぁと思うんですけどね。
どうでしょう。

Eさんの場合ですね。
Eさんの息子さんは29歳ですね。

29歳の長男。声をかけるが、物を投げたりする。
子どもの頃、厳しく言っていた。 働かざる者、食うべからず。
「ねばならない」が当たり前で、子どもはいい子じゃなければいけないと思っていた。
今孤独を通り越して、絶望!どこからも支援がない。
5年前に「俺の人生を返せ!」と言って、息子は家を出た。
連絡はいまだにない。

NHK 12/9 22時~放送「ひきこもりラジオに寄せられた本音」より

本当にどうなってるのか。
お父さんは毎日毎日心配しながら暮らしていらっしゃるんだと思うんですけれども。

ひきこもりの背景要因は何かっていうことですね。
引きこもりは一つの要因で起こるわけではないと言われています。
何か特定の出来事があったとしても、それは原因ではなくてきっかけに過ぎないことがあります。

例えばさっきの例のように、就職できなかったという。
それが一つのきっかけになって引きこもってしまう。それが原因と言えないんですね。

それから、特定の精神疾患や発達障害が引きこもりの背景にある場合もあります。引きこもりがストレスになって、精神疾患が二次的に生じる場合もあります、と専門家が言っています。

それから岡田先生が言っている、引きこもりの若者に共通する特徴としては、傷つくことを非常に恐れています。
失敗することや恥をかくこと、理想通りにいかないことの許容量がとても少ないんです。だからちょっとまずいことを言ったら困るっていう。

人と話をすることもできない。
恥をかいたら困る。
失敗したり失望するくらいなら最初からやりたくないとか、冒険したり自分を試したりすることに極めて臆病になっています。
ですから、社会に出て何かしようっていう力が湧いてこないんですね。

ここに挙げた引き込もり人たちの声を聞いてみると、親との愛着が形成されていないように思います。

それから親とスムーズにコミュニケーションがとれていませんね。
自分の思ってることを、言いたいことが親に伝えられてないし、親は子どもの気持ちを受け取っていない、聞いていない、理解しようとしていない。
そんな感じがします。

それから親に対する反発や悲しい体験を背負っていて、親を信頼していないですね。
親の懐に飛び込んでいけていないんです。

親は子どもの気持ちを理解しないで、親の考えだけで関わっている。
そういう傾向がみられますね。
こういう風な問題点が浮かび上がってきます。

(2020年12月講演会より#2)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?