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子育ては、育つ、育てる、育ちあう、という営み

(2020年2月目白講演会より#3)
 
子育ては、育つ、育てる、育ちあう、という営みなんです。
これは大事な原理です。
 
育つというのは子どもですね。
子どもには自分から育っていく力があります。
もう親が何と言おうと、子どもにはどんどん育っていく力がある。
 
育てるのは、親だったり、保育者だったり、子どもに関わる大人ですね。大人にはそういう責任がありますよ。
 
それから子育てとか保育の営みは、子どもと一緒に育ちあう営みなんですね。
育ちあう営みってどういうことかというと、大人が何でも知っていて、子どもに教えるという立場ではなくて、子どもには子どもの立場がある。大人には大人の立場がある。それを一緒にどうやっていくかっていう。
それを考えていくことを、育ちあうって言うんです。
 
さっきのトイレットペーパーの話も、子どもはバーってやりたい。
それを尊重しながらも、お母さんはやってほしくないと思ってる。
そこで、後始末を一緒にやればいいや、って考えた時に、この接在的な育ちあう営みが生まれるわけですよね。
 
子どものあり方も尊重する。否定しない。
そして、親の意見もちゃんとそこに入れて、それで一緒に活動し作っていく。
新しいあり方を作っていくっていうのが、育ちあうっていう営みなんです。
 
これはもう教育にも全部言えますね。
 
子どもには自ら育つ力がある。
子どもは環境の影響を受けて、さまざまな体験を積んで、自ら生きる力を身につけて、自立していく存在なんですよね。
 
子どもには自分で自立する力があるんですよ。
だから環境を上手に作って働きかければ、子どもは自らできる力を身に付けて、それでやがては大人になって充実していくわけでしょ。それが子どもの存在。
 
育てる大人は、子どもが自ら伸びていく力を信じましょう。
そして、その可能性を伸ばして、さまざまな力を使って自立していくのを助けていく。サポートしていく責任があるんです。
サポートするだけなんですよ、大人は。親は。
全責任を担うことはできない。
子どもには子どもの伸びていく自分の力が、主体性があるからね。
 
だから育ちあう保育・子育ては、子どもの考えや主体性を尊重しながら、大人の考えや知恵を伝えることなんです。
子どもの言いなりになることじゃないのです。やりたいからやり放題ではないです。
 
やりたいという気持ちは尊重しながら、その後をより良い活動になるように一緒に育ちあう営み、それを子育てだって私は言いたいんですね。
一方的な指示や命令で子どもを動かしていくものではないのです。
 
でも、多くの人はダメって言っちゃいますね。
「それをやったら、こうなるから危ないでしょ」って言いませんか。
 
よちよち歩きの子が広い所へ来たとき、だだだって走り出すでしょ。
道路だったりすると、車が来るから危ないよね。
 
つい「危ないからダメ」って言ってしまうけれども、「危ないからダメ」って言うかわりに、「ママと一緒に行こうね」って言って、子どもの手を握って、一緒に走っていけばいいんじゃないかしらね。だって走りたいんだもの。子どもはね。
その気持ちをどう尊重しながら、親がそれ付き合うかっていうことですね。
そういうことがすごく大事だと思うんです。

生きる力とは

“生きる力”というのは、これ文部省が1990年に発表した概念です。
生きる力は、3つあります。
 
1番目は、自分で課題を見つけて自ら学び、自ら考えて主体的に判断して行動する。
 
問題を解決する質や能力のことを言います。
これは大事です。
自分で考えて判断して行動する力っていうのを子どもにつけなきゃいけない。
 
だから、水に濡れたとき、「どうするの」って言って、「着替えよう」ってなって「着替えなきゃダメ」って無理やり家の中に引っ張り込んで、お母さんがやってしまうと、結果的には、水に濡れたものは着替えられるけれど、そこに至るプロセスとしては子どももそこにちゃんと参加して、濡れたら自分で着替えるとか、こんな風にしたら濡れちゃうんだってことがわかるとか、そういう体験を積み重ねていくことが大事なのであって、やたらに子どもがしようと思っていることを止めないという事、止めないで一緒に考える、そういう方向です。
 
2番目は、自らを律しつつ、他人とともに強調して他人を思いやる。
他人を思いやる心や感動する豊かな人間性を養うことで、人間関係のなかですごく大事な事です。
人を思いやる心、感動する心、豊かな人間性。これは乳児期から子どもに養わなきゃいけない。育てなきゃいけない愛着関係とつながっているんです。
 
お母さんが子どもを大事に愛するってこと、それが子どもに伝わったときに、「僕お母さんと一緒にいて安心」、「うれしい」って、そういう気持ちが子どもに伝わって育つと、人への思いやりも育ちます。
 
そして3番目は、たくましく生きるための健康や体力ね。
これはもちろんですよね。

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