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なぜ叱ってはいけないの?

自己肯定感というのは、ありのままの自分を、それが今の自分だと受け入れて、自分を尊重し、自己価値を感じて全存在を肯定する感覚です。

自分が自分を肯定できるっていう感覚ですね。
それは人格形成や情緒安定のために重要で、自信や意欲につながる大事な感情です。
 
自己肯定感を育てるにはまず愛着関係が形成されて、子どもの心が安定していることがまず大事です。自己肯定感と愛着関係というのは同時に育っていくものでもありますから、大人が叱らない、指示命令で動かさないことが大切です。
 
それがなぜなのか、ということをちょっと説明します。
 
なぜ叱ってはいけないのかというと、大人から見たら、乳幼児はいたずらをしたり、やってほしくないいろいろなこと、危険な事をする。
きまりを守らないなど、大人が困ることをします。
 
でもそれは大人の目線だからそう見えるのであって、子どもは大人を困らせようなどと思ってないでしょ。興味があって、やりたいと思っているから、やってみたりするわけですよね。
それを「ダメ、こうしなさい、言うこと事を聞きなさい」って言ってしまう。これは大人の思いや考えで、一方的に叱っていますよね。
 
叱られている子どもの心に、そのとき何が起こっているでしょうか。
 
叱られると、子どもは自分の行動や考えが否定されるので、自分は悪いことをしているとか、自分にはできない、と思うようになります。
 
「早くしなさいよ、なにぐずぐずしているの。」
そういう一言、言いませんか。
つい言っちゃう。
 
そうすると、子どもは自分はぐずぐずって思うわけですよ。愚図な奴だって。
言われた覚えがあるでしょ。ね、自分もね。グズグズなんて酷い言い方ですよね。
 
でも親からみたら「なにぐずぐずしているの、早くしなさい」「学校に遅れれるでしょ」「幼稚園に遅れるでしょう」とかなるね。
遅れるかどうかは、子どもは解っていない。時計が読めないんですから。
時間わからないでしょ。なのに大人のレベルで、大人の思考で子どもを見て、叱っちゃう。
それはもう本当に見直さなきゃいけない。

もっと子どものサイドに立って、子どもが何でグズになっちゃうのかなって事を考えてね。
それは積み上げなんですよね
嬉しい事も積み上げをしていけば、子どもは意欲的になるでしよ。
 
小学校の4年生の私の孫が。
去年、大雪が1回降ったでしょ。東京で。
いつもでしたらギリギリに起きてね。いつも決まった時間には出ていくんですけれども、その日はたまたま私は留守番で、娘がちょっと出張していないってことで留守番で行ったんですね。そしたら
「ねぇ、ねね」
私のこと、ねねって言うんですけど。
孫はイスタンブールに居たんです。トルコ語でおばあちゃんの事を「ねね」って言うんですよ。いいでしょう。ねねなんです。
 
で、「明日はね、ぼく6時に起きる」っていう。「ええ、6時?」って言ったら、「そう。だって雪が降っているでしょう。雪が積もっているでしょう。だから6時に起きて学校に行くって」言うんですよ。
「6時は早いから、6時半にしない?」とかって交渉して「じゃあ6時半でいいよ」って。そして6時半に起きました。ちゃんと自分から。
そういう時は自分から起きるんですよ、ちゃんと。自分がやりたいと思っていることがあれば。
 
それで起きて、7時に出ていっちゃいましたよ。
学校は8時にならないと門は開かないんですよ。1時間もある。
 
こうやって高いマンションから外を眺めて見ると、車道は車が走っちゃってるから雪はないでしょ。歩道もみんな雪を掃いちゃってるから、汚れた雪ががちょっと脇に積んであるだけなんですよ。
 
それで、「そうだ、学校のすぐそばに大きい公園あるから、あそこだったら雪が綺麗だから、あそこで遊んでいいんじゃない?」って言ったら、「だって学校の行きかえりに遊んじゃいけないんだよ」「そうなの、遊べないの?」「そう、そういう決まりだからダメだよ」。
「じゃあ、私が一緒に行こうか?」と言っても、ダメですよね。規則で駄目なものは駄目ですものね。
 
雪の日ぐらいやらせてよっていう思いだったけど、それもダメっていうんで、しょうがない。
「どうしょうもないね、じゃあどうする」って言ったら、「いい、歩道にある雪で遊んで来るから」って。友達と約束したらしくて、出かけて行きましたけどね。
 
そんな風に、子どもというのは、自分のしようとすることがあると意欲的になって、自分の生活をちゃんと支えられます。嬉しいこと楽しいことをする、それをたくさん積み上げていく生活をすることが大事なんです。
 
叱るとか、ダメ、指示命令じゃダメ。
それが連続していると子どもは下向きになります。すると自己肯定感も低くなっちゃうんです。
自分はダメなんだ。いつもお母さんに叱られている。僕はできない人間だ、ってなっちゃう訳ですよ。

(2020年2月目白講演会より#5)

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