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日本維新の会・教育無償化を実現させる会 美延映夫 衆議院議員 参考人質疑 第213回国会 衆議院 法務委員会 第7号 令和6年4月3日


061 美延映夫

○美延委員
 日本維新の会、教育無償化を実現させる会の美延映夫でございます。
 今日は、4人の参考人の皆様、貴重なご意見ありがとうございます。
 まず、4名の皆様全員にお伺いしたいのですが、子の利益について私、質問させていただきます。
 賛否はあるとしても、子の利益が重要であるということは、これはもう異論のある方は1人もいらっしゃらないと思うのですが、そこで、離婚後の親子関係を考える上で子の利益はどのようなものか、お考えか、それぞれのご意見をいただけますでしょうか。


062 犬伏由子

○犬伏参考人
 なかなか難しいご質問だと思いますけれども、私ども、子供の成長、発達する権利というものを尊重するという子どもの権利条約の理念というものがやはり具体的に子供たちの生活に落ちていく、根差していくということが重要だと思います。そして、安心して日々を送れるということをやはり尊重しなければいけませんし、子どもの権利条約上の発達する権利であるとか意見表明権であるとか、そういったものをやはり私どもが受け止めるということが子供の利益につながるというふうに考えております。
 非常に抽象的かもしれませんけれども、やはり日本において子どもの権利条約を批准した、今年は30年になる、そのことをかみしめながら、子供の利益というものを考えていきたいというふうに思っております。
 それから、親権という言葉についても今回の法制審では、やはり婚姻中の親権という言葉も見直さなければいけない、親権という概念自体もやはり見直さなければいけないということもあります。いかに子供の利益を尊重する、親の責務でありますとか、親がやはり子供を育てることに喜びを感じられるような、そういった仕組みというものは必要だというふうに思っております。


063 しばはし聡子

○しばはし参考人
 ご質問いただきまして、ありがとうございます。
 子供の利益、何度も申し上げておりますが、子供にとって大事なのは、親が争わないこと、そして、親が争わない中で子供が自由に発言をして、親の顔色を見ずに両親と関わる機会を持てること、それによって子供が親から愛情を受けているんだということを確信できるようなこと、それが子の福祉だというふうに考えております。


064 山口亮子

○山口参考人
 山口です。
 子の利益というもの、多面なところから考える必要はあると思いますけれども、私の見解では、子が双方の親から愛情と養育を受け交流し続けることが、まず、第1原則的な子の利益だと考えております。そして、親の関係が悪化しまして、これまでどおりに一緒に過ごせなくなるにしても、離婚は自分の責任ではないのかと子供が思うこともありますので、そういう、離婚は子供の責任ではないということ、そして、離婚をしても子供に関心を持ち続け、子供の養育には責任を持ち続けるということを、親が環境を整え、子に言動で示すということが子の利益につながるのではないかと思います。
 また、子供は、離婚の紛争があるときには蚊帳の外に置かれているということについて不満といら立ちを持っているというふうに言われておりますので、今何が行われているか説明することが、やはり子供の意見を聞く前に重要なことだと思いますが、それでも、紛争の1つ1つ、激しい争いを知らせるのではなく、また、子供に相談相手として自分の気持ちを吐露することは、子供にとってはよくないというふうに言われております。
 そして、子供の意見を聞くということがよく言われますけれども、子供にどちらかを選ばせるとか忠誠心の葛藤を起こさせるということは子供の利益にはならないと思いますので、離婚に際する子供の利益というのは、慎重に多方面から考えていく必要があると思っております。
 以上です。


065 斉藤幸子

○斉藤参考人
 子供の利益は、安心、安全が守られることだと思います。また、その子供を育てている同居親の安心、安全が守られているという環境でいることが、子供にとって大事だと思います。それにプラスして、父母だけじゃない、子供を助けてくれる人がいるというのが大切だ、大事だと思います。
 以上です。


066 美延映夫

○美延委員
 ありがとうございます。
 次に、山口参考人、お伺いいたします。
 現在示されている改正案では、父母の合意が調わない場合は、裁判所が命じる要件には、父母の関係、それからDV、虐待のおそれなどが示されております。
 DVや虐待は別として、父母の意見が違った場合、つまり、一方親が拒否した場合も米国では共同監護を認めることが一定以上あるとお聞きしましたが、なぜ米国ではそのような考えを取っているのか、教えていただけますでしょうか。


067 山口亮子

○山口参考人
 ありがとうございます。
 日本の例につきましては、しばはし参考人がよいご説明をされたので、非常に私も参考になりました。
 アメリカでは、おっしゃるように、父母の意見の相違があったとしても、合意ができていないとしても、裁判離婚で一定数、共同監護を認める場合があるようです。
 条文には、親の協力体制があるということを絶対条件にしているという州は極めて少ないですし、そもそも合意がないため訴訟に持ち込まれますので、そこで切ってしまっては裁判になりませんので、一方親が共同監護をしたい、しかし他方がしたくないというときに裁判所は何を見るのかといいますと、やはり子供と両親の関係性を見るということです。
 子供が、従来、両親との良好な関係性を保ち、離婚後もそれを継続していくということが、子供のニーズにかない、子供の利益にかなうと裁判所が認めると、共同監護が認められることもあります。そして、親が、自分たちの争いを切り離すことができる能力があるかとか、また、親教育や弁護士等の仲介によって、これから協力し合う素質があるのかということも見られるということです。
 裁判官にインタビューをした研究の、アメリカの調査によりますと、当初はうまくいっていない父母間でも、徐々にビジネスライクに協議し合うようになったというケースもありますので、1998年の調査と2011年の調査では、2011年の調査で、裁判官は、共同親権が合意がなくともそういうことを付与するということを認めているという結果が出ております。
 また、2017年に、ニューヨーク州の判例がありますけれども、これは、親子関係は良好で、大筋では子の養育決定に合意しており、そして、細かい子供の課外活動や生活について合意していない。なぜかというと、相手に権利を渡したくないということが主な争点というところになりまして、裁判官は、父親の監護権をゼロにするのではなく、子供の人生において両親が役割を果たすことが重要だということで、共同法的監護と面会交流を付与しました。
 先ほども述べましたけれども、アメリカも、裁判離婚ではありますが、九割は合意して養育計画書を作成するということですので、1、2%の訴訟離婚になった場合には、やはり高葛藤で共同監護は無理なケースが多いのではないかと私も思っております。では、9割近くがどの程度合意しているかというと、やはり6から8割が共同法的監護に合意していますので、ここに立法の意義があるのではないかと思っております。
 条文は、裁判規範ではありますけれども、共同監護法制というものがあるということで、人々の行為規範になってきますので、それを目指して、高葛藤以外の親にとっては合意を目指すという有効な立法になっているのではないかと思っております。
 以上です。


068 美延映夫

○美延委員
 ありがとうございます。
 次に、転居、居所指定権についてお伺いをいたします。
 今回の改正案では、子の監護をすべき全ての者が指定された場合、居所指定権は監護者に属するため、監護者となった一方親の独断で引っ越し、つまり連れ去りにより子供に会えなくなるのかというような懸念、意見が出ておりました。他方、具体的には、子を連れて転居する場合、60日前に他方親への通知義務や同意が必要であること、つまり監護者が居所指定権を持つわけではないと理解をしております。
 子の略奪に関しては、居所指定権が父母のいずれかにあるかを問わず、今後、我が国でも紛争が生じる可能性が高いと考えております。転居に関して父母が合意できない場合、裁判所が定める場合に米国の裁判所はどのような観点で判断を下すのか、それを教えていただけますでしょうか。


069 山口亮子

○山口参考人
 ご質問ありがとうございます。
 アメリカでも、転居によって子の連れ去りという事件は起きておりますので、やはりそれの防止策として、旅行するとき、転居する前60日には届けなければならないというふうになっております。
 では、どういう場合に裁判に持ち込まれるのかといいますと、転居はしたいけれども合意が取れないというときですね。そういうときには訴訟になりますので、転居したい親が子の利益になるということを証明するか、あるいは、転居させたくない親が転居することが子供の不利益になることを証明するかという基準がありますので、各州ではそういう基準を取っております。いずれも証拠の優越により証明すればいい話なんですけれども、転居する親に証明責任を課すということは非常に転居がしにくくなります。
 ここは訴訟上の問題ですけれども、では、裁判でどのようなところが主に見られるのかといいますと、転居する親がその転居の理由に、転居理由の誠実さがあるかというところが見られます。例えば、別居親と子供の間を引き離したいがために転居をするんだ、そうではなくて、転職や再婚でやむを得ず転居をしたいんだと。ですから、その理由が見られます。
 そして、このように転居の制限があるというのは、今まで面会交流を別居親と行ってきた親子に関して、それを保護するためですので、60日間の間にそれの代替策、転居した後でも面会交流が充実して履行されるのかということを計画し直すという選択肢が与えられておりますので、そういうことが確実にできても、残された親が不合理に反対しているのではないかということが争われまして、アメリカでは訴訟上厳しい基準はありますけれども、全く転居が許されないわけではないということです。
 ただし、悪意のある転居をする親がいる場合には、別居親が監護者変更の申立てをするという争いにまで発展していきます。予防という意味では、転居をすることについては同意を得るということは、非常に、アメリカではいい制度ではないかと思っております。
 以上です。


070 美延映夫

○美延委員
 次に、親教育についてお伺いしたいんですけれども、アメリカでは、ほぼ全州にわたって親教育のプログラムがあると伺っております。裁判所はそれらの教室の受講を指示すると伺いましたが、それはどのような場合で、どのような講師の下、そして何回ぐらい受講するのか、もしそれを受講しないとなると共同監護ができないのか、もう少し具体的に教えていただけますでしょうか。


071 山口亮子

○山口参考人
 ありがとうございます。
 先ほど、『親ガイダンス』については少々ご説明しましたので、その概要といたしましては、全州で義務づけてはいるといいましても、裁判所がこの『親教育プログラム』を受けろというふうに指名しますので、それは裁判所の裁量によっておりますし、全て未成年の子がいる親にプログラムを課すところと、紛争している親に限り課すというふうな違いがあります。
 そして、簡単なところですと、オンラインで受講して、4時間ですとか10時間ですとか、そういうプログラムを受講し、そして受講した証明書を裁判所に出すということによって離婚が認められるというようなケースを取っているフロリダ州もありますし、あるいは、実地として、対面でやることを求めているところもあります。それも、1時間のものから8時間、又は10時間以上のものもありますし、先ほど申し上げました、料金もかなりかかるというところで、各州各郡で違いはございます。
 以上です。


072 美延映夫

○美延委員
 共同親権及び監護の分掌が運用次第で大きく発展すると先ほど山口参考人は述べられておられましたが、具体的にどのように運用すればよいか、お考えを聞かせていただけますでしょうか。


073 山口亮子

○山口参考人
 ありがとうございます。
 監護の分掌と言いましたけれども、766条には、それ以外にも、その他子の監護についての必要な事項ですとか親子の交流ということも決められておりますので、それについてやはり取決めをするということが非常に重要になってくると思います。
 これまで単独親権でしたので、何も取り決めずに離婚することができた。そして、子供も、「一体これからどうなるのだろう」という、方針も指針も見えない中で過ごすことになっていたところ、親がやはり環境を整えて、自分のためにこれからの生活を計画してくれるんだという意味では、協議し計画書を作るということは非常に重要になってくると思います。
 監護の分掌は新しくできましたものですので、先ほどしばはし参考人も言われましたけれども、共同ではなく分掌ということなので、分担してやればいいんだということで、何か1つ、教育をとっても、教育全体を母親が担当するとか、あるいは医療は父親が担当するとか、いや、そうではなくて、教育の中でも、進学や塾や課外活動や留学、1つ1つを分担するのか共同でやるのか、そういうことを決めるということになろうかと思います。
 いろいろなものが、考えがあると思いますけれども、これからの計画書のサンプルの作成や、手引書をどのように日本の政府が作っていくかというところに関わってくるのではないかと思います。
 そして、やはり、転居に関しては、無断転居をしないということも、七百六十六条の親子の交流というところの協議で決められるのではないかと思っております。
 以上です。


074 美延映夫

○美延委員
 次に、しばはし参考人にお伺いをいたします。
 夫婦の感情とそれから親子関係を切り分けて考えること、子供にとっては双方とも親であるということをマスコミのインタビューで、私も拝見しました。私も、実際そのとおりだと思います。
 ただ、そうはいっても、夫婦の感情と親子関係を分けて考えるのはかなり難しいと考えますが、その辺り、どうほぐしていけばよいのか、お考えを聞かせていただけますでしょうか。


075 しばはし聡子

○しばはし参考人
 ご質問いただきまして、ありがとうございます。
 同居親側の葛藤をどのように下げるかというご質問かと思うんですけれども、まずは、圧倒的にその思いには共感をもちろんいたします。会わせたくないほどにつらい思い、相手と関わりたくないほどにつらい思いを同居時にされていたという、その事実は事実です。ですので、そこをきちんと共感した上で、ここはちょっと若干正論にはなりますが、ご自身がお子さんだったらどんな気持ちかなというようなことを問いかけてみたりですとか、自分自身がお子さんに何か相手の悪いことを言っていたりとかしたら、自分自身がもしお子さんの立場だったらどうですかみたいなことを、やり取りをしていくというところが1つです。
 一方、同居親側だけで葛藤が下がるわけではなく、やはり対になる別居親側への伴走というのも必要になってきます。相互作用してくるわけですね。とはいえ、自分自身が、では、子供のためにやらなきゃと思っていても、別居親側がすごく攻撃的でというようなことになると、やはりその気持ちがうせてしまうということがあります。ですので、願わくば、面会交流支援なども通して相手側と関わることができるのであれば、お相手側もきちんと同居中の葛藤とは切り分けて親子交流を頑張ろうとされているのであれば、まず、そこに対して、「ありがとう」をひと言言うだとか、何か、「共同養育をしづらい相手に、ご自身がなられているんですよ」ということを提言するようなこともあるんですね。
 ですので、どちらかの肩を持つというわけではなく、どちらともの味方であろうというようなことをすることで葛藤を下げるということを行っております。


076 美延映夫

○美延委員
 ありがとうございました。
 終わります。


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