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公明党 大口善徳 衆議院議員 参考人質疑 第213回国会 衆議院 法務委員会 第7号 令和6年4月3日


032 大口善徳

○大口委員
 公明党の大口善徳でございます。
 本日は、犬伏参考人、しばはし参考人、山口参考人、そして斉藤参考人、本当に貴重な機会を与えていただきまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。
 そういう中で、今回、民法の改正におきまして、共同親権を導入するという中身が今非常に大きな家族法の改正ということで、国民の皆様が大変な関心を持っております。そこで、皆さんからご意見をお伺いしたいと思います。
 まず、犬伏参考人と山口参考人にお伺いをいたします。
 昨年11月の20日に、『離婚後の共同親権』導入に伴う法制度整備についての要望書、これを法務大臣に提出をしていただきました。山口亮子参考人がこの4人の中に入っておられますし、また、賛同者として犬伏参考人も入っておられます。この趣旨について、それぞれお伺いしたいと思います。


033 犬伏由子

○犬伏参考人
 取り上げていただきまして、どうもありがとうございます。
 私どもは、法制審議会の議論の状況を見守っておりましたけれども、この法案につきましては、賛成、反対の議論が非常に強いということと、きちんと議論していただきたいということ、そういうこともありますし、この法案につきましては、家族法サイドの研究者からすると、やはり進めていただきたいという気持ちもございました。
 そこで、呼びかけ人の方々が、やはりここは冷静に法制審議会で議論をいただけるように要望書という形でお願いしたい、ただし、法案を実現すればいいということではなくて、今回の法案というのは、大口議員もご指摘いただいたように、大きな変化をもたらす可能性もございます。そういう点では、かなり国として、そして司法機関としても覚悟の要ることだと思いますので、それを支えるための制度整備というのが共に進んでいただきたいというふうに思う、そういう期待を込めて、法制度整備をやはり十分に検討いただきたいということで要望した次第です。
 それが附帯決議にも参考になったのではないかというふうに思いまして、一定の役割は果たせたのではないかというふうに考える次第でございます。


034 山口亮子

○山口参考人
 山口でございます。ご質問ありがとうございます。
 私も、犬伏参考人が言われたことと全く同じでございますけれども、家族法の研究者としては、親権という面から、やはり離婚によって自動的に一方の親権が失われるということについて、法的にどのように理解すればいいのか、それはずっと議論してきたことでございますので、共同親権を選択できるということは家族法学者からしても賛成できることで、多くの賛同を得ました。
 そして、犬伏参考人も言われましたけれども、やはり法律を作ってそれで終わりというわけではありませんし、法律を作るに当たって整備ができているのかということも問題になるところであります。
 ここに書いてありますように、法務省やこども家庭庁、関係省庁、裁判所などが離婚手続前、離婚手続中、離婚後の支援体制、また家庭裁判所の役割について更に検討を進めていただきたいということ、やはり周辺の整備を進めていただきたいということがこの要望書の1つの主張したいところであったと思います。
 以上です。


035 大口善徳

○大口委員
 斉藤参考人にお伺いをいたします。
 本当に日々大変な思いでお暮らしになっておる、DVの深刻な被害ということをお伺いさせていただきまして、本当に身の引き締まる思いでありますし、また、DVとかあるいは児童虐待について我々は戦っていかなきゃいけないということを本当に改めて決意をした次第でございます。
 そういう中で、1つは、裁判所の在り方について問題提起をしていただいたのかな、こう思います。それについては、裁判所の体制をしっかり、この民法の改正を機に大きく改革をしていかなきゃいけないと思います。
 そういう点で、裁判所に対する斉藤参考人の思いをお伺いさせていただきたいとともに、医療でありますとか福祉でありますとか、あるいは学校関係でありますとか様々なところで、共同親権ということとの関係で、あるいは面会交流等との関係もありますが、支援機関が及び腰になるということのご心配がご指摘されました。ここはしっかり、やはりこの法改正に伴って、様々なDVあるいは児童虐待の被害者の方々を守る体制というのはむしろ強化をしていかなきゃいけないわけでありまして、それが弱くなるということはあってはならないことだと思うんですが、その点についてのご意見を賜れたらと思います。


036 斉藤幸子

○斉藤参考人
 先ほど私も発言いたしましたが、まず、DVへの無理解が本当に全ての問題であると思います。やっとの思いで別居して、子供のこと、生活のこと、何とかやりくりしている中で、裁判所で事務的に事が進み、宗教のごとく、親子はすばらしいものという考えを押しつけられます。
 別居するまでに様々な葛藤があります。いっときの感情で逃げているからではないからです。しかし、このままこの家にいては危険だと思って、やむにやまれず別居しています。
 私だけでなく、ほかの被害者らと話していても、直接お子さんを殴ったわけではないですよね、殴ったとしても常にではないですよね、DVは夫婦の問題であり、親子の問題には関係ないですよねと、調停委員、調査官から言われたとたくさん聞いています。
 裁判所の書面で住所を秘匿できても、DVを訴える同居親、子供の安全面を配慮していないと思います。DVについてもっとまずは理解してほしいです。現場に来てほしいです。実際に見てほしいです。当事者の話をもっと聞いてほしいです。DVに対して、裁判所の中でDVに特化した方々を是非つくっていただきたいです。
 お答えになっていますでしょうか。(大口委員「あと、済みません、支援策との関係ですね」と呼ぶ)
 済みません、お答えになっているかあれなんですけれども、実際は、周りの人たちが訴えられる、自分以外に、関わった人たち、人によっては、裁判官だったり弁護士だったり、自分がかかっている病院の先生だったりが訴えられているという、又は行政の窓口で、「何で住所を教えないんだ」と怒鳴っている人がいるというのが今の実際の問題だと思うので、そこを是非クリアにしてほしいです。


037 大口善徳

○大口委員
 濫訴については断固として対応していかなきゃいけない、これはこの委員会でも議論になっているところでございます。
 それから、高葛藤の夫婦がそれをどう低葛藤にしていくのか、そして、夫婦間の色々な対立はあるんですが、子供の利益のために、子供の方に目を向けて、そして前向きにしていくことが非常に大事だと思っていますので。
 しばはし参考人は、ご自分の体験もある、それから、裁判所ではなかなか高葛藤を低葛藤にという部分でまだ様々な課題もある。ですから、ご自分がそういう事業を立ち上げられて、今実践をされているわけでございます。そういう点で、争わない離婚といいますか、あるいは共同養育といいますか、そこに向けて、ADRでありますとか、カウンセリングでありますとか、様々な形で色々なことを取り組んでおられると思います。そういう取組について、やはり今の司法、また行政に対して色々な思いもあると思うんですが、その点についてお伺いしたいと思います
 それから、あと、犬伏参考人、山口参考人には、やはり、高葛藤を低葛藤にということにおいて、『『親ガイダンス』』といいますか、これが非常に大事だと思うんですね。
 その点について、総合的な施策の中で、これは犬伏参考人にお願いしたいんですが、家事調停手続における『親ガイダンス』の実施等ということで、父母の対立から子の利益に目を向けてもらう工夫をこれからやっていきますと最高裁も言っているわけであります。この点についてどうなのか、どうやっていくのか、どうやっていけばいいのか。
 そしてまた、それこそ、山口参考人には、アメリカにおきまして、『親ガイダンス』というもの、これを離婚する方については義務化して、1からの親教育をしていこう、そこら辺についての参考になることをお伺いできればと思います。


038 しばはし聡子

○しばはし参考人
 ご質問いただきまして、ありがとうございます。
 まず、ちょっと自分の経験から先に申しますと、初めての離婚は弁護士を頼りまして、調停というところにいつの間にか運ばれてしまったというようなところがあります。そこで相手に謝ってもらえるものだと思っていたんですね。しかしながら、感情の面を仲介する場ではなく、条件を決める場だということで、まずお金のこと、そして、弁護士からもお金の何か表を出しなさいと、そういった条件ばかりでした。
 その中で、私はずっと、夫と直接やり取りをして、こんなことがつらかったんだということを伝えたかった、そして相手に分かってもらいたかったというような気持ちがありました。
 そんな中、ご相談者の、夫と関わりたくないという同居親の方のお話を聞いていると、やはり、夫から、すごくつらい思いをされて、この気持ちを分かってほしい、どれだけつらい思いをさせられたのか分かってほしいというような思いが、多くいらっしゃいます。
 そんな中、別居親側の面会交流支援などですと、その対になる別居親側の支援も行うことができます。我々、すごくメリットがあるといいますか、両方と関われる、そして、お子さんと関わっている姿、全てを見られる面会交流支援者というのはすごく醍醐味だというふうに思っております。
 そうしますと、面会交流の現場では、比較的、別居親側にも、穏やかにしましょう、お相手にありがとうと伝えましょうというようなことで仲介をする中、わだかまりを解消しながら支援をしているんですが、面会交流は、現場はうまくいったのにもかかわらず、事また離婚調停に戻ると、そこで条件の闘争になるわけなんですね。せっかくうまくいっているのに、またこちらで争いの火種になり、相手に疑心が深まり、そうすると、やはり面会交流に後ろ向きになっていってしまう。後ろ向きになった同居親に対して、別居親がまた憤りになるという悪循環を繰り返して、非常にもったいないことだというふうに思っております。
 しかしながら、私たちが条件を決められる立場ではないというところなんですね。ですので、司法の方でまずは争わないような話合いをしていただくということがもちろんなんですけれども、何か、弁護士でしたり司法関係者と民間団体がうまく連携をできるような、そういったことがあることによって不要な争いが防げるというふうに常々感じているところです。


039 犬伏由子

○犬伏参考人
 ご質問ありがとうございます。
 調停委員の中にも、心理関係の人たち、多様なバックグラウンドの方々がおりますので、やはり調停委員にどういう人を選ぶかという、調停委員の人材についても重要なことだと思っております。
 今、東京家裁に限りますと、非常に事件数も多くありまして、午前1期日、午後2期日入っております。そして、やはり、減り張りのある調停進行を心がけてほしいという中では、私どもはかなり苦労をしながら進めているところでございます。
 そして、『親教育のガイダンス』も、前は、その期日ごとにこの時間帯を利用してくださいということでありましたが、今はそういうことをやっていられないので、ずっと『親ガイダンス』の部屋でビデオを流しているという状況でございます。
 それでも、視聴された方に感想を聞くと、子供の前で大声でけんかして、やはり子供を非常に傷つけたのではないかというお母さん、それからお父さんがおられます。その発言を聞きますと、家庭裁判所で行っている『親ガイダンス』についても一定程度は効果を上げていると思っておりますが、より丁寧な『親ガイダンス』というものができればいいかというふうに思います。
 そもそも、家庭裁判所で調停にやってくるということ自体が、当事者にとっては非常に緊張感が漂っていることでございます。そういう中で進めているということもありますし、そして、調停で丁寧に行おうといってもなかなか難しいというところがあります。
 というのは、1つだけの申立てではなくて、婚姻費用の分担、面会交流、そして離婚というふうに3点セットでやってくると、どの事件をうまく調停で話合いを進めるかということが非常に苦労しておりますけれども、私どもは、生活費というのが日々の糧になりますので、生活費や面会交流について重点的に進めるといったようなこと。そして、離婚の条件というのは、離婚するかどうかということにも影響しますので、そういう複合的な事件を抱えながら、やはり『当事者にとって、どういうゴールを目指すべきか』ということについて話し合う。そして、子供さんがいる事件においては、『子供さんを、どういうふうに当事者が考えているか』
 そういったようなことに配慮しながら、頭の中でぐるぐるぐるぐる回しながら、相調さんと相談しながら、今日はどういう話を進めていくか、子供さんはどういうふうにして暮らしているんだろうか、日々の経済的な生活はうまくいっているんだろうか、そういう複合的な問題を抱えている当事者が調停にやってきているという中で、私どもは最善を尽くすということに心がけているという次第です。


040 山口亮子

○山口参考人
 ご質問ありがとうございます。
 アメリカにおける『親ガイダンス』のご質問です。ここにちょっと資料がありますので活用いたしますと、アメリカでは、コロナによってオンライン学習もありますが、対面で行われているところで、イリノイ州で開発されたチルドレン・ファースト・プログラムというものが、現在、5州と129郡で取り入れられているというところです。
 裁判所でやるのではなく、裁判所が外注してやりますので、そこの教室で、精神保健や心理学の修士号以上を持った専門家が講師として行います。
 まず、第1セッションでは、親が自分自身をいたわること、そして、離婚に対する子の年齢別による典型的な反応と警告サインというものを学ぶ、離婚に関して、子供たちが抱く一般的な質問に対する答え方というものも学ぶということと、あと、離婚について互いが経験したことをディスカッションで語り合うということが、まず第1セッションで行われます。
 第2セッションでは、親や子供たちが直面する問題として、具体的に、他方の親の悪口を言う、子供を使って他方の親の情報を得る、子供を通じて他方の親にメッセージを送る、子供に金銭的な問題を話す、子に個人的な相談をする、子の目の前で親同士がけんかする、子の忠誠心を競い合うようなことに関するというものをビデオで見せたり、ロールプレーするなどして、そして講師がそれに代わる適切な養育行動を説明する実地型になっております。
 これは外注しておりますので費用もかかりまして、大体50ドルから100ドルというのが、幅があるみたいですけれども、各裁判所がどういうプログラムを選択するかというのは、非常に、外部の大学などのプログラムを使って、頑張っているというようなところです。
 以上です。


041 大口善徳

○大口委員
 ありがとうございました。また、家庭裁判所は人的、物的に整備をしっかりやっていかなきゃいけないということも学ばせていただきました。
 本日は誠にありがとうございました。以上で終わります。


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