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七夕婚、もやつく

先に前置きをしておくと、これは独り身による僻みの可能性を捨てきれていない。が、言わせてほしい。七夕婚ってなんやねん!!!!

 ことの始まりは友人との会話。20代も半ばに差し掛かる私たちは、「知人の結婚」というイベントがなかなかに発生し始めてくる頃合いであった。職場の先輩、微妙なサークルの知り合いなどなど。まあ正直大して仲良くもない人が結婚したと聞いても「そっすか!まあ5%くらいはめでたいかな!おめ!」ってぐらいなんだけど、それはそれとしてなんだか引っかかりを感じることがあるよね、という話になった。7月7日に入籍しました〜!っていう報告、アレである。

 七夕。織姫と彦星が一年に一度しか会えませんよ的な伝説にかけて、給食の時間にはちらし寿司と星形のフルーツが入ったゼリーが出てきて、他力本願この上ない願い事が笹につりさげられるイベント。大体の人にとってこれくらいの温度感なんじゃないだろうか。ハロウィンに仮装、クリスマスにチキンやケーキを食べバレンタインにチョコを作る人はいても、大人になってからわざわざ笹を準備したりちらし寿司を食べる人はあんまり見かけない。なんなら7月7日に「今日七夕じゃん!」って思わない大人の方が多い気がする。

 にもかかわらず七夕婚の報告はなんだかんだ毎年目にしている。お前ら七夕のことそんなに好きでもないくせに急にやる気出してんのなんなんだよ!!!と思うわけである。そもそも七夕って怠惰を極めたぐうたら夫婦が引き裂かれたって話なのにそれにあやかるとは何事か。(なんだか独身OLの言いがかりに思えてきたが続けさせてくれ)忘れないように七夕に籍を入れましたって、忘れるくらいならそこまでだし七夕のことそもそも忘れてただろ今までの人生!!!と夜中に友人と電話しながら議論はヒートアップしていった。念のため友人の名誉のためにいうと、彼女は出産って絶対痛い、それだけの理由で結婚したくない(クレイジーな持論)人間なので、僻みではないことは確かである。結婚の予定もないくせに夜中にに一体何に熱くなっているのだろうかと頭の隅では思いつつも、七夕婚の謎を解くべく我々はGoogle検索に踏み出した。

「七夕婚 なぜ」というサジェストが出てくるあたり、同じ疑問を抱く人間は我々以外にも一定数いるらしい。ラッキーセブンで縁起がいい、ロマンチックだから、温暖な気候、などなど無理矢理じゃね?と言いたくなるようなまとめ記事が続く中、とうとう我々は一つのyahoo!知恵袋の記事に辿り着いたのである。

よくぞ聞いてくれたari*****。お前たぶん人生損するタイプだけど全ての真実を疑うその姿勢、嫌いじゃないぜ。たぶん閲覧した9591人もなかなかなひねくれ者たちだろう。

対するベストアンサーがこちら。

なるほど反面教師か。夫婦末長く仲良く、ね。けれども注目すべきはそこではない。「今日の正午に入籍してきました」ちょっと待ってくれ。回答したの15:16だろ。正午に入籍してなんでその三時間後にyahoo知恵袋開いてるんだ。apr****、もしかしなくても七夕婚に自信持ててないぞ。縁起云々含め周囲にいろいろ言われてるしな。あとから自分を納得させようと書いてる感あるぞ。

ということで七夕婚する側もそんなに深い理由なんてないからもやついてるんじゃないだろうか、というのが我々がたどり着いたアンサーである。そこまで言われて何故apr****が七夕婚にこだわったのかは気になるところであるが(むしろそっちを質問したい)全国の七夕に籍を入れた皆さんも特に理由はないけど入れた手前なんだかんだ上手く言おうとしてそれっぽい理由が語られて七夕婚をする人が増えて、という構造なんじゃないですかね。

こんなこと言ってると七夕婚した人にめちゃくちゃ嫌われそうだし、捻くれ人間の僻みだと言われると特に反論する気もない。気にせずにロマンチック〜!と七夕に籍を入れる人生の方が人間としてなんか合ってそうな気もします。けれども七夕婚にもやついたあなた、多分私と友達になれますよ。(嬉しくないか)

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