見出し画像

アパート経営って儲かるの? 1号平塚編

家賃収入!不労所得!セミリタイヤ!

甘い言葉には裏がある!?

アパート経営って実際どうなの?儲かるの??

その答えのひとつが、ここにある!!

6年間の収支全部見せます!裁判もあるよ!




はじめに

この文書は、私が2012年から2018年までに所有していたアパートを題材に、事実に基づいて記述しています。

「アパート経営ってどうなの?ほんとに儲かるの??」という人のために、なるべくわかりやすく6年間の出来事と収支をまとめて記述しました。

なお1号平塚アパートは現在も別オーナー所有で稼働中のため、特定につながるような写真はモザイク加工を施してあります。ご了承ください。


プロローグ

(1) 当時の私

2012年春。

東日本大震災から約1年。まだ社会全体に地震放射能からくる不安感が色濃く残っていたと思う。消費税はまだ5%だった。

私は34歳、奥さんは同い年で専業主婦。子供は7歳♂と5歳♀の4人家族。自宅は持ち家で、2007年に買った練馬区の区分マンションに住んでいた。

仕事は友人と一緒に設立した零細ITサービス企業で役員をしていた。職種はSEだったりPGだったり営業だったり、なんでも屋だった。

画像10

会社は設立から約6年が経過。特に企業理念はなく、自社サービスに受注開発に客先常駐など、お金になりそうなことはなんでもやっていた。

業績は年ごとに変動はあるもののそれなりに安定していた。給与所得は500万円くらいだった。

安定にあぐらをかいて会社設立当初の熱意は徐々に失われ、毎日「このままでいいのかなー」と思いつつもなんとなく過ごしていた。


(2)賃貸併用住宅?

そんな時、週3で常駐していた客先の社員Mさんが家を買ったという。それが普通の家とはちょっと違って賃貸併用住宅なるものらしい🏠

画像11

賃貸併用住宅というのは、オーナーが住む住宅に賃貸用の部屋がくっついているものを言う。

Mさんの買った家は2LDKのオーナー居住スペース+賃貸用ワンルーム3部屋という構造だそうで、なんとワンルーム3部屋の家賃で毎月の住宅ローンが返済できるという😳

そんなイカした話があるのか!」と軽く衝撃を受けた私はさっそくMさんから詳しく話を聞くことにした。


(3)家賃収入でローン返済

Mさんからは色々なことを聞いた。物件の場所は町田市。木造で築30年くらい。最寄り駅からは徒歩30分以上で、駅まではバス便。

通勤には不便だが物件価格が安く、大学のキャンパスが近くにあるので学生がワンルームの部屋を借りてくれるらしい。ワンルーム3部屋は家賃は3万円で現状2部屋埋まっており、残り1部屋は募集中だそう。

不動産といえば借りることと買うことしか経験がなく、貸して家賃を得るという考えは全くなかったので、とにかく聞く話すべてが新鮮で印象的だった。

そして賃貸併用住宅を買ったきっかけを質問したところ、Mさんの口から「金持ち父さん貧乏父さん」のキーワードが出てきた。


(4)金持ち父さんとの再開

金持ち父さん貧乏父さん」とは、2000年に出版されたロバート・キヨサキ氏の大ベストセラーで、意識高い人はほとんどが読んでいるビジネス本の名著📓

自分も2000年に新卒で入ったITベンチャーで同僚に勧められて読んで、大いに感銘を受けていた。

が、その後忙しい毎日に追われてすっかり金持ち父さんの精神を忘れ、高い金を出して自分用の家を最初に買ってしまうという失敗を犯していたのだった。。😭


(5)金持ち父さんに、俺はなる!

さっそく金持ち父さんをamazonでポチって約10年ぶりに再読。10年で失われた気持ちが呼び覚まされ、改めて「金持ち父さんに、俺はなる!」と決意を固めた。

余談だが、この時の私には金持ち父さんになりたい強いモチベーションがあった。

1つは母の死。ちょうどこの歳の1月に母が59歳でガンで亡くなった。自分も59歳で死ぬとしたら残された時間はあと25年。死ぬ前にやりたいことはなんでもやっておきたいし、子供たちにも何かを残してやりたい。

もう1つはフロリダのディズニーワールド。ディズニー好きの子供たちを連れてフロリダのディズニーワールドに行ったところ、強烈なカルチャーショックを受け、その素晴らしさに感動で震えた。

そして「絶対に金持ちになってもう一度ディズニーワールドに行くんだ!」と誓ったのだ。

画像12

金持ち父さんになろう!ハハッ

そんなわけで、絶対に金持ちになるためのアパート経営の第一歩を踏み出した!😠


第一章 アパートを探す

(1)物件の条件

まずは購入するアパートの条件を決める。

最初に物件価格 💰

当時は現金で400万円ほど貯金があったのでこれを全額頭金とする。

よく言われる頭金2割で考えると物件価格は妥当なところで2000万円だ。

ただ当時はまだフルローン・オーバーローンもよく出ていた時期だったので少し強気で3000〜4000万円くらいで考えることにした。

次にエリア 🗺

できれば近いほうがいいが、自宅の練馬区から車か電車で1時間〜1時間半くらいでいける範囲で考えると、これもよく言われる国道16号の内側がいい。ただし内側は地価が高すぎるので環八の外側で国道16号の内側あたりで探すことにした。

ただその条件でもやっぱり土地が高かったので、その後国道16号の更に外側まで範囲を広げ、最終的に1号物件は16号のだいぶ外側(平塚市)となった。

画像1

国道16号の内側エリア

次に利回り 🧮

利回りとは、1年分の満室家賃収入 ÷ 物件価格の数値。たとえば満室家賃収入が300万円で物件価格が3000万だとその物件の利回りは10%になる。

関東近郊だと10%くらいが平均。低リスクの物件は利回りは下がり、逆に高リスクだと上がっていく。

当然利回りが高ければ高いほどいいのだけれど、あまり高いのは雨漏りしてるとか立地が激悪とか問題があることが多いので、とりあえず希望は10%以上、ということにした。


最後に建物 🏠

建物の構造は主に「RC(鉄筋コンクリート)造」「鉄骨造」「木造」があるが、この予算だとほぼ木造一択

できれば築浅がいいけれど、これも予算の関係で選択肢はほぼ築古のみ。

他にも駅からの距離、土地の広さ、ファミリー向け、学生向け、間取り、など、あげればキリがないので、とりあえずこの条件でアパート探しをスタートした。


(2)物件を探す

探す方法は主にネット。健美家楽待で探して、これは、と思うものがあったら資料請求して現地見学へ行く。

https://www.rakumachi.jp/

あとは賃貸併用住宅のMさんに何人か業者を紹介してもらってそこから物件情報をもらったりもした。その中の1人にB社のKさんという方がいて、最終的にその方から1号物件を購入することになった。

あいまいな記憶だが、約半年で資料請求は60件くらい、現地見学は30件くらいしたと思う。

なお平塚市の1号物件を購入する前に2件ほど印象に残っている物件があったので紹介しておく。

🏠2番手に取られた上福岡物件
東武東上線上福岡駅から徒歩10分ちょっとの立地。約4000万円で利回り10%、木造築古で見た目はぱっとしないが、土地値以下だったので1番手で買付申し込みを入れる。が、2番手が現金一括決済だったため順番すっ飛ばして買われてしまった😭

🏠値下げした田無物件
三井のリ○ウスから出てきた相続物件。約3000万円で利回り10%の木造築古。ぱっとしないのでスルーしていたが、その後売却を急ぐため売り主が15%の値下げを断行。一気に魅力的な物件に変身したがちょうど1号物件の買付を入れてしまった後だったので見送ることしかできなかった😭

今考えると1号平塚の買付なんて反故にしてこっちを買っちゃえば良かったのかも。。。


(3)1号平塚アパートとの運命の出会い

物件探しスタートから約5ヶ月経った2012年9月下旬、メールで物件情報が届いた。

神奈川県平塚市 駅徒歩7分
木造2階建て 昭和60年築 土地約58坪
1R×10戸 現況空室3  
価格2980万円 満室時利回り15.9%

2980万の15.9%だから、満室だと年間家賃収入473万円だ!💰

国道16号からだいぶ先だけど、とりあえず見るだけ見に行ってみようと思い、現地へ急行したのだった。。。


画像2


現地に到着。予想はしていたものの、やはりかなりボロい。薄汚い。全く手入れしていないと思われる。というか絶対していない。

まず外観。モルタルの壁はところどころ塗装が剥げ、古くくすんでいる、鉄部はサビて、狭い庭(?)には雑草もたくさん🏚

画像57

アパート外観

それから室内。狭くはないがやはり古くて薄汚い。特に古い3点ユニットのバス・トイレはなんか黄ばんでるし、「自分だったらここには住みたくないな」というのが第一印象😅

画像4

不人気3点ユニットのバス・トイレ

建物はダメだが立地はとても良い。駅からアパートは実際歩いてみると9分くらいかかったが、それでも余裕で徒歩圏内。そして近所に大学があり、大学までも徒歩10分ほどで非常にアクセスがいい👌

なお見学時はオーナー(F氏)が立ち会ってくれて色々教えてくれた。F氏はどこにでもいるようなしょぼくれたおじさんで、推定年齢は50〜60くらい。

画像5

売主F氏イメージ

話をする時にこちらの目を見ないなど若干挙動がおかしいところもあったが、基本的にこちらの質問にはすべて答えてくれた。

1. 学生が4年だけ住む部屋なのでこの程度の部屋のクオリティで問題ない

2. 家具家電付きにして付加価値を付けている

3. 自主管理で集客はすべて自作のウェブサイトを通して行っている

4. 入居者は100%学生。家賃は学生の親が振り込むので未納滞納はほぼない

5. 町田を中心にアパート経営をしており、この物件(平塚)は少し遠いので手放すことにした

あとで実際にこのアパートを経営してみて、5番以外はすべて本当だった。


購入に向けて気持ちが固まりつつある中、1つ気がかりなのが怪しい床の傾きだった🤔

画像6

101号室の廊下が居室から玄関に向かって、明らかに傾いている。微妙な傾きとかいうレベルじゃなく、ビー玉とか使うまでもなく、目で見て傾いてるのがわかるレベル。

F氏にこの傾きについて聞いてみたところ、「職人がフローリングの重ね張りに失敗して傾いてしまった(大嘘)」ということだったので、その言葉を信じて購入を決断。

冷静に見ると重ね張り云々ってレベルの傾きではないのだが、この時の私は冷静ではなかった。そう、物件欲しい病に罹っていたのだ!

物件探しをスタートして約半年。なかなか物件が購入できず焦りが生じ、「もうこの物件でいいや!」という気持ちになってしまっていたのだろう。3000万円もする買い物なのに!

そこからはトントン拍子だった。まずは買付申込書を送付。

画像7

買付申込書


そして2週間後の10月8日には契約締結

画像8

売買契約書


契約にはオーナーF氏と、アパートの名義人であるF氏の母親のN氏が来ていた。名義はN氏で管理運営はF氏がしているらしい。

N氏は推定年齢70〜80歳くらいのバアさんで、真っ赤な口紅💋が特徴的だった🤮

画像9

売主N氏イメージ

手付金300万円を売主に渡し、署名捺印して契約締結となった💸

あと契約書に印紙15,000円分も貼った💸

ちなみに売主は管理会社を所有しているが物件の名義は個人。不動産業者ではないので瑕疵担保免責期間は一般的な"3ヶ月"の条件だった。


第二章 借入先を探す(融資を受ける)

(1)残代金2680万円

契約は締結したがまだアパートは自分のものになっていない。決済までに金融機関から資金を借り、残代金2680万円を支払うのだ。

ちなみに1号平塚物件の契約はローン特約ありになっている。これはローンを利用する前提で契約して、万が一ローン審査に落ちちゃったら契約は無効、手付金も返しますよ、というもの。

3000万4000万をホイホイ現金で買っちゃう人はあまりいないので、不動産取引では一般的な条項だ。

金融機関と言えば世の中には銀行、地銀、信用金庫など色々あるが、1号平塚物件は築古木造物件なので融資してくれる金融機関はとても少ない

建物には税法上の耐用年数というものがあり、RC造が47年、鉄骨造が34年、木造が22年と決まっている。

我が1号平塚アパートは木造築27年なので耐用年数オーバーとなり、まともな金融機関では(コネや実績がない限り)融資を受けるのは難しい。

ちなみに前述のMさんが買った賃貸併用住宅は築30年近い木造の物件だが、こちらはフラット35だから融資OK。同じ物件でも事業用と自分で住むのとでは全く融資の扱いが違うのだ。


(2)金利4.3%

残代金2680万円の融資を求め、いくつかの金融機関に融資を打診したものの、コネも実績もないのでほとんどは門前払い😭

話を聞いてもらえた金融機関もあったけれど条件で折り合わず、最終的に融資を申し込んだのは、アパートオーナーにおなじみ、ノンバンクの三井住友トラスト・ローン&ファイナンス(以下L&F)。

融資条件はこちら↓

💰自宅区分マンションと1号物件を共同担保に入れる

💰金利は4.3%(団信込み)

💰融資 期間は30年

💰連帯保証人をつける

4.3%という高金利にビビりつつも、利回り15.9%を信じて前に突き進むことを決めた😰


(3)父からの助け舟

2600万円、4.3%、30年で金銭消費貸借契約(金消契約)を締結する覚悟を決めたところ、あまりに危なっかしいと思ったのか、父親から1000万円貸し付けの申し出があった。ちょうど退職金が入ってきて手元にお金があったらしい。

お言葉に甘えて1000万円借りることにした。おかげで利息のプレッシャーが軽減され、とてもありがたかった。

結局L&Fは融資額を1600万円に減らして金消契約締結へ。連帯保証人である妻も同席して一緒にハンコを押す。妻も巻き込んでしまった以上、絶対に失敗できないという思いがより強くなった。

L&Fでは融資契約手数料で252,000円とられた💸
さらに契約書に20,000円分の印紙も貼った💸


第三章 アパートオーナーになる

(1)決済完了

2012年11月21日、L&F新宿支店の会議室で決済手続きを完了した。

決済は自体は特に問題なく完了したが、この1ヶ月の間に空室が増え、合計で空室が4部屋となっていた。さらにプレッシャーがのしかかってくる😂

ともあれこれで1号平塚アパートの所有権は私に移り、名実ともにアパートオーナーとなったのだ!㊗

あと火災保険に加入した。30年一括前払いで530,000円だ💸


(2)物件詳細

さて正式にオーナーになったところで物件情報を詳しく説明しよう。上面から見た土地と建物はこんな感じ。

画像13


土地が約195平米、建物は約165平米。

敷地が道路から1.5〜2mほど高い位置にあるため、1階の部屋でも道路から部屋を覗くことはできない。

またベランダは東向きで朝から昼くらいまでは日当たりもいい🌅

各種設備は以下の通り。

電気ガス水道

電気温水器というのは要するにデカイ電気ポットで、電気でお湯を沸かして貯めておいて給湯するもの。この物件のは製造年が平成初期くらいの古いもので容量は25Lくらい。

深夜割引料金があれば夜中にお湯を沸かして貯めておくとかなり節約できるようだ。ガスの基本料金もないので月々のコストも低く抑えられる。

使い切るとお湯が出なくなるという不便さはあるが、火を使わないので安全というメリットもある。ちなみにアメリカの家庭の給湯システムは電気温水器が一般的らしい。

水道は公営水道だがオーナーが負担するので入居者は水道料金無料

もともと風呂トイレ共用のアパートだったところを後から各戸に風呂トイレを増設したためメーターがひとつだけしかなく、水道代をまとめて支払うしかないらしい。

なお水道代は一番高い時期でも全戸で月1.5万円くらいなのでほとんど負担にはならなかった。

浄化槽はアパートから出る汚水と生活排水を浄化する設備。

年4回の点検と年1回の汲み取り清掃が必要。平塚1号アパートのあるエリアは下水道化が完了しているが、前オーナーが費用をけちって浄化槽を使い続けていたらしい。特に不具合はないのでそのまま使い続けることにした。

間取りはごく一般的なワンルームで広さは16平米くらい。バス・トイレは不人気の3点ユニットタイプ🚽🛀

画像15

普通のワンルームの間取り

室内に洗濯機置場がなく、入居者は敷地内にある2台の共用洗濯機を使う。

家具家電付きアパートなので冷蔵庫、テレビ、電子レンジ、IH調理器、ベッド、机・椅子が備え付けになっている。身一つで入居できるという点がメリットだ。

自転車置き場はなく、入居者各自で自転車🚲や原付🛵を適当に停めている。放置っぽい自転車もあったが、後日でこちらで処分した。

建物内部も外部も、全体的に手入れされていない感がありありと出ている物件だった。まあ利回り15.9%なので仕方ない。これから少しずつ清掃やリフォームをしていい物件にしていくしかない。

それから参考までに、アパートの評価額は固定資産税評価額(土地)が1600万円、固定資産税評価額(建物)が280万円、相続税路線価が1500万円となっている。

帳簿上では建物が約400万円、土地が2580万円として按分した。


(3)初期費用合計

決済完了までにアパート本体価格”以外”にかかった初期費用をまとめる。

契約書用収入印紙 ・・・ -15,000円
L&F金消契約手数料 ・・・ -252,000円
金消契約書用収入印紙 ・・・ -20,000円
固定資産税日割り ・・・ -9,975円
11・12月家賃 ・・・ +317,322円
登記費用 ・・・-504,748円
仲介手数料 ・・・ -1,001,700円
火災保険(30年一括払) ・・・ -530,000円
不動産取得税 ・・・ -325,600円

合計金額は、、、

🤔

🤔

🤔

🤔

🤔



-2,341,701円
😱


アパート買うのってお金かかるんですよ😭


第四章 アパート経営1年目

(1)管理会社の選定

前オーナーは募集も契約も集金も全部自分でやる自主管理でアパートを運営していた。

自分は平日会社勤めしているし、アパートから自宅まで遠い(片道1.5〜2時間くらい)ため自主管理はあきらめてアパートの管理会社を探すことにした。

1号平塚アパートの近くの不動産屋3社を訪問して話を聞き、最終的に一番近いS社に管理を依頼することになった。

管理手数料は家賃の5%。家賃集金、募集、入退去の管理、月1回の共用部の清掃など、ごくごく普通の管理条件だ。

余談だがS社とはこの後1号アパートをめぐる様々なトラブルを通して深い付き合いになり、後に購入する2棟目のアパートもS社からの紹介になった。


(2)ネット無料化

今でこそ広く普及したが、2012年当初はネット無料物件はまだそれほど多くなかった。

確実に差別化になると思って決済完了後すぐに3社ほど見積もりをとって一番安いG社に工事を発注した。

初期費用(工事代金)が327,600円、月額費用9,600円だ💸

速度は最大100Mbps。今では1Gbpsが当たり前だが、2012年は100MBpsでも十分高速だった。

LANコンセント、最初期に導入したタイプ

各部屋に設置されたLANコンセント。最初期のタイプ


(3)自作ホームページで集客

1号アパートの当面の課題はとにかく空室4部屋を埋めること。既に11月下旬で、来年度入学の大学生向けの募集が忙しくなってくる時期だ。ちなみに学生向け物件は2,3月を逃すと翌年まで埋まらないと思われがちだが、まさにその通りだ。

まずは自分の本業を活かしてアパートのホームページを作ることにした。前オーナーのホームページを買い取ろうかと思ったが、「100万円でいいですよ💰」と言われたので遠慮して自分で作ることにした。

デザインは苦手だけど、独自ドメインも取得して内容充実させて、個人オーナーのアパートホームページとしてはそれなりのレベルのものができた。

572-49.comスクリーンショット_moza

1号平塚アパートのホームページ(閉鎖済)

"多忙で時間がなく現地で物件見学ができない親"のためになるべく情報を多く掲載することを意識してホームページを作った。今はもう廃れたけれど、5万円くらい払ってヤフーディレクトリに掲載したりもした。


(4)自作の看板を作る

アパートの前面道路は駅から大学への通学路にもなっており人通りが多い。

そこで目立つところに看板を設置しようと思った。ただ看板は大きくかさばるので、検討の結果横断幕を作ることにした。

マイソク(募集チラシ)をベースに多少修正を加えて入稿。4,500円でカラフルな90x60cmの横断幕ができた😀

アパート外周の柵に結束バンドで留めて設置もお手軽。古くなって汚れてきたら畳んで燃えるゴミに捨てられるので非常に楽。

ターポリン横断幕_moza

4,500円の横断幕


(5)掃除、一部リフォーム

満室にするためにやれることはなんでもやろう、ってことまずは空室の掃除をすることにした。実家からケルヒャー(高圧洗浄機)を借りてきて敷地内の汚れ落としもした。

ケルヒャー

実家から借りてきたケルヒャー

あとは古くて使ってない集合ポストを取り外して掲示板を設置とか、壊れたクレセントの交換とか、素人でもできるレベルのものは積極的に直した。

DSC09824クレセント_壊れ

取れたクレセント。細かいところがよく壊れる

実際部屋に入ってみるとけっこう気になるところがたくさん出てくるもので、自分で出来ないところはプロにリフォームしてもらった。

エアコン交換、気になる部分のクロス張替え、天井の塗りなどを依頼。383,000円もかかってしまった💸😭

それと冷蔵庫が1台老朽化していたので新品で購入。SHARPの2ドア冷蔵庫で送料込み22,000円💸

そして年が明けて2013年。。。


(6)初の家賃が入る!

11・12月分の家賃は決済時の精算で受け取ったが、2013年1月、はじめて(管理会社S社を通してだけれど)入居者から家賃238,000円を受け取った。初の家賃収入だ!💰

これまでに失った金額からすると焼け石に水だが、それでも家賃が入ってくると嬉しい!満室にしてもっと増やしたい!

とにもかくにも満室!ということでいくつかの施策を打ち出していくことにした。


(7)家賃を29,000円に変更

これまで前オーナーの家賃設定を引き継いで家賃39,000円/敷金礼金なしで募集していたのを、家賃29,000円/共益費5,000円/敷金礼金1ヶ月ずつに変更した。

まず客観的に見てうちのアパートはボロくて汚い

3万円台後半の価格帯だと競合する物件は築浅めのそこそこきれいな部屋になってしまい、正直かなり見劣りする

そこでターゲットをできる限り家賃を抑えたい学生の親に定め、家賃を2万円台にした。家賃2.9万円で家具家電付きとなれば「これはおトクだ!🉐」と思ってくれるに違いない。

またSUUMOとかHOMESとかの部屋検索でも賃料で絞り込みがかけられるので家賃は安いほうが有利だ。

スクリーンショット 家賃3万円以下

家賃3万円以下で絞り込み

なお共益費5,000円は高いと思われるかもしれないが、水道代とネット代が含まれるので妥当な線だと思う。それに「なんでこんなに共益費が高いんだ??」と思って詳細を見るきっかけになってくれるかもしれない。


(8)洗濯機置場室内設置計画

さまざまな努力はしているが、まだ何か足りない気がする、もっと部屋に魅力がないと満室は難しいのではないか?と思い、ずっと考えを巡らせていた。そこで出た案がこれ。

✅電気温水器を撤去し、プロパンガス給湯を導入する

✅電気温水器を撤去したスペースに洗濯機置場を設置する

✅リフォーム費用の一部をガス屋さんに負担してもらう

という計画だ。

電気温水器は古いのでいつ壊れるかわからない。ならいっそ撤去して空いたスペースを室内洗濯機置場にすれば、部屋の魅力がグッと上がるのではないか?と考えた。

とりあえず見積りを出してもらったところ概算で5部屋で70万円くらい。1部屋あたり14万円ほどだ。悩むところだが、給湯器や配管部分はガス屋さんが負担してくれるのでこれでもだいぶ安くなっている。

洗濯機置場室内は家賃2〜3万円台の部屋では希少なので差別化になる。洗濯機共用と室内では大違いだ。

コストはかかるがここは強気でいくことにし、S社に工事を発注した

money_kinketsu_man_お金がない


(9)相次ぐ反応と申込み!ついでに退去も😭

4室の空室をかかえたまま不安な毎日を過ごしていたが、数々の施策のどれかがヒットしたようで、1月20日には初のホームページからの問い合わせがきた!

さらに2月6日にも問い合わせが!しかもこの2件の問い合わせは後に成約に結びつく

その後の快進撃は以下の通り。

🗓 1月20日、ホームページに問い合わせ。成約へ。空室残り3️⃣

🗓 2月1日、管理会社へ申込み。成約へ。空室残り2️⃣

🗓 2月3日、管理会社から1月末日に203号室が退去していたことを教えられる。空室残り3️⃣に逆戻り😭
しかも退去後の部屋が汚い!女子の入居者だったのに。。。原状復帰費用の見積りはなんと22万! クロスやCF(カーペットフロア)が広範囲で張り替え、さらに玄関ドア交換が78,000円!🚪ドアが5万くらいで取付工賃が2万くらいらしい。ドアがボロい物件は要注意だ💸

🗓 2月6日、ホームページに問い合わせ。成約へ。空室残り2️⃣

🗓 2月8日、管理会社へ申込み。中国人留学生。後にビザ問題で申込み取り消し😭

🗓 2月18日、ホームページに問い合わせ。見学希望だったが都合が合わず見送り😭

🗓 2月21日、ホームページに問い合わせ。現地見学までいったが見送り😭

🗓 2月23日、管理会社へ申込み。成約へ。空室残り1️⃣

単純に部屋の条件が良くなったというのもあるが、いい物件にしたい!なんとしても満室にしたい!という熱い思いが管理会社、ホームページ閲覧者、見学者などに伝わったのがこの結果につながったのだと思う。熱意は伝播する!🔥

画像56


(10)運命の2月18日

1月下旬から2月中旬の快進撃で満室が見えてきてやや安堵していた。

が、2月18日(月) 13時頃、室内洗濯機置場設置のため工事業者がアパートの床を剥がしたところ、地獄の蓋が開いた。


地盤沈下が発覚した😱


S社の現場責任者Hさんから電話で「床をあけたら土がなかった。とにかく一度こちらに来て現地を見てくれ」と言われた。

あっ、もしかして、あの床の傾きのやつか!?

画像24

あの傾き


急いで会社を早退して愛車ホンダフリードに乗り、東名高速を飛ばして現場へ急行🚙

自宅から現地まで約1時間半、心臓がドキドキ言って生きた心地がしなかった😰

現場に到着すると、S社のHさんが気の毒そうに私の顔を見ながら状況を説明してくれた。

図にするとこんな感じ。

地盤沈下図_横から

地盤沈下図_前から

床下まとめ


❗そこにあるはずの土がない

❗土がないので基礎が地面から浮いている箇所がある

❗さらに浮いているところが新しい木材で補強されている

❗ところどころ基礎が腐ってる

ちなみに建物と地面の間で支えてる木材を束(つか)とか床束と言い、その下の石を束石と言う。

さらに調べていくと、雑排水枡が壊れているのがわかった。雑排水枡は台所とか風呂とかの家庭の排水を一旦貯めて、油やゴミを分離してから排水するための機能だ。

雑排水枡_正常2枚

それがこうなっていた

雑排水枡_IMG_6059

あくまで推測だが、雑排水枡が破損して水が漏れ、その水が流れてアパート床下の土を運んでいったり土が緩くなってしまったため、地盤沈下につながったのではないかと思う。

地盤沈下図_横から雑排水枡

説明を聞いて、素人でもこれは相当にやばそうだ、ということはよくわかった。

またこの状況から推測するに、地盤沈下を知った上でそれを修繕していること、そしてその事実を隠したままこのアパートを売却したという疑いが非常に強い。というか絶対クロだろう。

ともかくこの状況はヤバい。控えめに言って人生最大のピンチだ😱

現場を保存するため工事は一旦ストップ。S社のHさんと相談して今後の方針を決める。

売主と争うことを考えてまずは調査会社に地盤沈下の状況を調査してもらい、書面で証拠を残すことにした。その上でリフォーム工事を進めていく。

沈下している地盤の真上の部屋も既に入居が決まっているので、工事を止めることはできないのだ。

ひとまずこの日はこれで解散。今後さらに出費が増えることは確定なので、節約のために高速には乗らず下道で帰った🚙💦

帰りの車中では、欠陥アパートを買ってしまった後悔、売主への怒り💢、さらなる出費の恐怖💸など、さまざまな思いが頭の中をめぐっておかしくなりそうだった😭

そしてこの日から1ヶ月くらい、夜ろくに眠れない日が続くのだった・・😰


その後の流れは以下の通り。後に裁判で提出した時系列のデータより抜粋。

🗓2013/2/18(月)
13時頃 S社による102号室のリフォーム工事中、電気温水器を撤去した際に工事業者が床下の地盤沈下および増築の跡を発見。

14時頃 S社H様より買主(アパおじ🤢)へ電話で連絡。

16時頃 買主🤢が現場にて状況確認。

18時頃 買主🤢から買主側仲介業者のB社へ電話で状況を連絡。

18時15分頃 B社から売主側仲介業者のY社へ電話で状況を連絡。その後Y社から売主💀へ状況を報告。

🗓2013/2/22(金)
関係者一同集まって24日の現地確認でスケジュール調整。

🗓2013/2/24(日)
10時 現地にて状況確認。立ち会いは買主🤢、売主💀、Y社K様、T様、B社T様、S社H様、S様。計6名。

🗓2013/2/25(月)
101号室の電気温水器を撤去し、地盤沈下および増築の跡を確認。

🗓2013/3/1(金)
14時 現地にて状況確認

🗓2013/3/2(土)
調査会社J社による建物状況調査を実施

🗓2013/3/3(日)
地盤沈下補強工事および各種リフォーム工事開始

🗓2013/3/16(土)
102号室入居予定

(11)恐怖の見積書

この最悪の状況でも最善はつくしていると思うが、いかんせん怖いのはお金がどんどん出ていくことだ💸 満室に向けて多額の出費を重ねているのにさらに数百万レベルの出費が避けられない状況だ😰

とりあえず調査会社J社による建物状況調査書ができあがった。お値段は105,000円だ💸

そして概算だが、地盤沈下の対応、基礎の補強、雑排水枡の交換などの見積りがあがってきた。金額は約250万円😱

ただし実際に床をはがして工事をしてみないと正確な金額は出せないので、あくまで概算だ。


(12)金策

地盤沈下関連の補修費用は250万円以上はほぼ確定で、さらに洗濯機置場室内化とか汚れた203号室の修繕とか、合計でいくらかかるのかもうよくわからなくなっている🤪

だがそんな大金は持ってないのでどこかからお金を借りるしかない。

そこで日本政策金融公庫(以下公庫)でリフォームローンの借り入れをすることにした。公庫は国がやっている事業者向けの融資機構で、新規起業向け融資とか中小企業向け支援とかが主な業務。低金利でお金を貸してくれる🏦

相談に行って事情を話すと感触が良かったので、すぐに申し込みを入れた。

公庫は無担保でも融資してもらえるが、担保があれば金利が低くなるという仕組みになっており、今回は自宅を担保に金利1.5%、期間10年、金額は少し余裕をもって600万円借りることにした。

また今回は節約のため司法書士に依頼せず登記を自分で行った

ネットで調べて書類を用意し、法務局の相談窓口で手直ししてもらって申請したら問題なく登記できた。

また公庫の場合、登録免許税法4条とかいうので担保設定のための登記費用が非課税になるのでお得。特に難しくないので時間に余裕があるなら自分でやる価値はあると思う。


(13)工事完了!そして満室へ・・・

リフォーム工事が終わった。102号室の入居が2013年3月15日で、前日ギリギリで工事が終わった。残りの部屋も入居前までには完了した。

工事の項目は、基礎補強工事、床解体、補修工事、ガス工事、給排水管工事、給排水ユニット、土間コンクリ壊し運搬、既設枡撤去・処分、新規排水管、新規枡、既設接続、砕石・コンクリート、クロス張替え、CF(カーペットフロア)張替え、木部塗装、洗濯機置場設置、玄関ドア交換、電気工事、ガス台設置、ルームクリーニング、、、などなど、とにかく何十箇所もいじったり壊したり直したりした。

リフォーム写真まとめ


一番キレイな部屋はこんな感じになった。

画像32

画像33

我ながらいい感じに仕上がったと思う😊


そして一番気になる総工事費用は、、、、、、、、-4,515,000円💸

実際に床をはがしてみると土がえぐれて無くなっている範囲が広く、ジャッキアップしてコンクリを流し込んだりする必要から、3点ユニットバスまるごと交換が必要になったりした。

その他もさまざまな修正が重なって大幅費用アップになった😭

最初から「実際に床をはがしてみないと金額はわからない」と言われていたので覚悟はしていたが、やはりショックだ😰

ただ良いこともあった。リフォーム工事をしている間、最後の空室の入居者が決まったのだ!これで念願の満室達成だ! ウレシイ、ウレシイ...😭

画像34

念願の満室!!

管理会社から満室のメールを受けとった時は、本業の仕事中だったので心の中でガッツポーズをした💪

アパートを購入してから約4ヶ月。とにかく満室にすることだけを考えてがんばっていたので本当にうれしかった😭

会社での仕事がうまくいった時もうれしいけど、自分の事業での成功というのは格別にうれしいものだ。

またここまで来るのに管理会社のS社には本当にいろいろお世話になった。特に工事に募集に大活躍してくれたHさん、本当にありがとうございました🙇

Hさんイメージ

Hさんイメージ
神のような方

借金が600万円増えたものの、満室になったことで1号平塚アパートの1ヶ月の家賃収入は373,000円となった。1年満室が続けば4,476,000円だ😊


(14)ゴミ問題、自治会費、近隣苦情対応

ひとまず満室にはなった。が、まだ他にもいくつか問題があった。

まずはゴミの問題🗑

ここのアパートの住人は最寄りの市のゴミ捨て場を使っており、アパート購入後も何もなかったので特に問題ないと思っていた。

が、自治会の会期の変わりでアパートの隣に住むFさんが自治会のエリア長になり、挨拶兼苦情の手紙をもらって実情が分かってきた。

🗑ゴミ分別の件
うちのアパートの住人は分別が甘いらしい。そのへんは交代制のゴミ当番が毎回きっちりチェックしているそうだ。アパート住人は全員学生なので分別とかエコとかの意識は薄く、おろそかになってしまうのだろう。

ちなみに前のオーナーはゴミ問題に関する苦情は完全無視を決め込んでいて、自治会の人たちもかなり困っていたらしい。そのせいで新オーナーの自分に対する風当たりが強くなっているようだ💢

🗑ゴミ当番の件
ここの自治会では年3回、エリア内の各戸が持ち回りでゴミ当番をしており、うちのアパートにもその義務が割り当てられている。前オーナーはそれも完全無視していたそうだが、さすがに自分はそんな無責任なことはできないのでどうにかしないといけない。

このゴミ当番問題については管理会社とか清掃業者とか色々相談してみたが良い解決策がなく困っていたのだが、近所に住むTさんという80歳のおじいさんが対応してくれることになった。その結果以下の形になった。

📌 住人はアパート敷地に設置したゴミボックスにゴミを捨てる

📌 Tさんがゴミボックスのゴミをゴミの日に市のゴミ置き場へまとめて持っていく

📌 分別が甘い場合はTさんが住人に注意する

📌 ゴミ捨てのついでにアパート内の清掃もする

この仕事内容を月1万円でやってもらうことになった💸

出費増は痛いが、上記作業の他にも花壇に花🌷を植えたり、何か問題があったらすぐ報告してくれたりしたので、頼んで良かったと思う。

その後もお中元、お歳暮など送ったりしてTさんとは良好な関係を築き、おかげで1号アパートの自治会での評判も大幅に改善することができた。

あと自治会の年会費が1,800円 × 10部屋 = 18,000円だったけれど、Tさんがゴミを管理するようになったら10部屋分で1,500円と大幅値下げしてもらえた。


😡 隣家からの苦情の件
隣に住むFさんから苦情の手紙が寄せられていた。内容は主に以下の3つ。

1.フェンスが越境している

2.共用洗濯機がうるさい

3.謎の悪臭

詳しく話を聞いたが、1と2に関してはほぼ言いがかりというか、全く話を聞かない前のオーナーへのやり場のなかった怒りを発散させたかっただけに思える。

3は実際に時々変な臭いがすることがあったのだが、いつの間にか臭わなくなっていた。たぶん浄化槽をメンテしたり雑排水枡を補修したりするうちに自然と消えたのだと思う。

こんな感じで返事を書き、実際に会って話を聞いているうちに相手の怒りも和らいだようで、その後問題は一切起こることはなくなった。

F手紙返信1


(15)アパート経営1年目 結果発表!

お待ちかね、1年目の結果発表!
(※1年目は2012年11月21日〜2013年12月31日で計算)

🧮家賃収入、支出の部
1月家賃 ・・・ 238,000円 (空室4)
2月家賃 ・・・ 199,000円 (空室5)
3月家賃 ・・・ 199,000円 (空室5)
4月家賃 ・・・ 404,188円 (満室)
5月家賃 ・・・ 373,000円 (満室)
6月家賃 ・・・ 373,000円 (満室)
7月家賃 ・・・ 373,000円 (満室)
8月家賃 ・・・ 373,000円 (満室)
9月家賃 ・・・ 348,334円 (満室)
10月家賃 ・・・ 398,066円 (満室)
11月家賃 ・・・ 374,000円 (満室)
12月家賃 ・・・ 361,007円 (満室)

年間家賃合計 ・・・ 4,013,685円
管理費5% ・・・ -200,684円
礼金等 ・・・ 173,175円
更新料、広告料等 ・・・ -238,175円

4月に入居した103号室が9月に想定外の退去をしてしまったが、すぐに次の入居者が決まる幸運もあり、1年目はほぼ満室で終わることができた😊

🧮年間経費の部
L&F金利 ・・・ -678,222円
公庫金利 ・・・ -48,412円
Tさん清掃 ・・・ -70,000円
ネット回線 ・・・ -48,300円
水道料 ・・・ -76,041円
共用部電気代 ・・・ -20,959円
浄化槽管理 ・・・ -15,750円
交通費 ・・・ -43,050円
固定資産税 ・・・ -88,700円

細かい支出が多いがどれも必要経費なので仕方ない。その中でもやはりL&Fの金利の影響が大きい。4.3%はあなどれない😨

🧮その他経費の部
横断幕 ・・・ -4,500円
ネット無料工事 ・・・ -327,600円
リフォーム(エアコン、クロス等) ・・・ -384,000円
冷蔵庫1台 ・・・ -22,000円
203号室修繕(ドア交換) ・・・ -78,000円
J社 建物調査 ・・・ -105,000円
地盤沈下リフォーム ・・・ -4,515,000円
蛍光灯交換 ・・・ -525円
砂利敷工事 ・・・ -59,000円
クレセント交換 ・・・ -5,700円

ボロ物件の宿命だから仕方ないが、どうにもリフォームや設備増強にお金がかかってしまっている😭

そして1年目の合計金額は、、、

🤔

🤔

🤔

🤔

🤔



-2,842,758円
💸👋😭

家賃収入が400万あったがやはり経費が多い。特にリフォーム代が500万以上かかっているので大赤字になるのも無理はなかった。これも全てあの売主💀のせいだ💢

1年目は本当に大変だった。満室にするためにさんざん苦労して、近隣からの苦情対応もして、その上に地盤沈下が発覚してもうてんやわんやだった。

だが一旦満室になるとほとんどやることがなく、4月以降はかなり余裕ができた。これぞアパート経営の醍醐味だろう。

また平塚1号アパートはこれで部屋を埋めるパターンがほぼ完成したので、2年目以降もほとんどやることがなくなった。理想的な形だったと思う。

2年目編に入る前に、先に売主との係争をまとめておく。



第五章 調停編

地盤沈下発覚が2013年2月18日で、すべての決着がついたのが2014年12月17日。約2年弱におよぶ係争になった。

ここではまず調停について書いていく。
※地盤沈下の詳細については「運命の2月18日」を参照

(1)登場人物紹介

登場人物が多いので最初にまとめておく。

👤 アパート経営おじさん🤢 → 私。買主。略称アパおじ。

👤 悪の売主💀 → 平塚1号アパートの地盤沈下を隠してアパおじに売りつけた人間のクズ。母親と息子そろってクズのクズ親子。他にもいくつかアパート・マンションを所有しているらしい。全室空室になりますように🙏 

👤 S社のHさん👼 → S社は平塚1号アパートを管理する管理会社。Hさんにはリフォーム、管理、賃貸募集、弁護士紹介、裁判の手助けなど、あらゆる場面で助けてもらう。神のような人。恩人。

👤 Y社 → 売主側の仲介不動産業者。

👤 B社 → 買主(アパおじ)側の仲介不動産業者。

👤 弁護士O先生→ S法律事務所の弁護士。アパおじの弁護人。頼もしい味方。

👤 A弁護士事務所 → 売主💀の弁護人。仕事とはいえ悪に加担した弁護士事務所。所属弁護士は3人いて担当はSという名前だったが面倒なので弁護士Aとする。

あと説明用に作った人物相関図も参考に載せておく。

裁判相関図


(2)瑕疵担保免責

実際に地盤沈下がわかった時、まず最初に契約書を見直した。契約書にはこう書いてある。

契約書_建物瑕疵担保免責

中古物件でよくある「瑕疵担保免責」というやつだ。要は「買った後になにか欠陥があっても責任とらないよ」ということ。市場で売られている中古物件の多くはこの瑕疵担保免責の物件だと思う。

さらに契約書の13条では、瑕疵の責任について詳しく書かれている。

契約書第13条

今回の場合、そもそも売主💀が瑕疵の存在を知っていたと思われるので責任は発生するはずだ。

また引き渡し完了が2012年11月21日で、地盤沈下発見が2013年2月18日だったので「3ヶ月以内」はギリギリセーフであり、その点でも責任を問える。

また後日で弁護士先生と相談してわかったが、それ以前に今回のケースは民法第572条に該当するので売主側は責任から逃れられないということだった。

民法第572条(担保責任を負わない旨の特約)
売主は、第560条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。

今回のケースでは見るからに新しい木材で束の補強がしてあったので、売主💀がその事実を知りつつにそれを隠してアパートを売却したのは誰が見ても明白だ。

画像41

真新しい木材

ちなみに瑕疵発覚後に関係者一同が集まって現地確認を行った際、売主💀の息子F氏も出席していたので、怒りの気持ちを抑えながら

どうなんですか?これ?あなたこの状況を知ってたのに隠してアパート売ったんじゃないんですか?

と聞いたが、こちらに目線を合わせずに

いやー、知らなかったですね(すっとぼけ)

とのたまったのだ!

このク○ジジイふざけんな💢💢」

と心の中で思ったが、小心者なので口には出せない😭

ただこの時のやり取りでこの売主💀がまともな人間でないということはよく分かった。

できれば話し合いで解決したいと思っていたが、裁判で決着をつけるのもやむをえない


(3)内容証明

地盤沈下修繕その他のリフォームがすべて完了、入居者の引っ越しも終わってめでたく満室となった3月25日、今回の修繕工事の見積書を仲介業者Y社を通して売主💀側に送付、そして売主💀側と工事費用負担について話し合いをしたい旨を連絡した。

が、売主側の返答は話し合い拒否、工事費負担も拒否というものだった。
また今後この件に関してはすべて弁護士を通すように言われ、その旨を内容証明郵便で通知してきた📩

内容証明

話し合いに応じずいきなり内容証明を送りつける、というのはかなり不誠実な対応である。

完全無視を決め込んでこちらの心が折れるのを待つ作戦つもりなのだろうか?

だがこちらは絶対に折れない。万が一裁判で負けたら売主💀の自宅の前に押しかけて毎日いやがらせしまくってノイローゼにしてやろう、ぐらいの気持ちでいた😡


(4)法律相談

正々堂々と悪の売主💀と戦うため、まずは専門家に相談することにした。探してみると無料で相談できる場所がいくつかあったので、予約して面談した。

🏢(社)東京都宅地建物取引業協会本部の無料法律相談
上品な感じの物腰の柔らかい年配の女性弁護士が相談員だった。以下、相談員の見解。

契約解除については難しいので損害賠償請求で攻めるのが現実的。契約書、重要事項説明書の矛盾、虚偽の記載(告知義務違反)を突く。

例えば重要事項説明で雑排水は個別浄化槽とあるが、雑排水枡が破損して機能せず、地中に浸透しており、個別浄化槽へ到達していない。矛盾している

重要事項説明_雑排水

また物件状況等報告書に「増改築を知らない」と書いているが、床下の添え木は明らかな増改築である。

物件状況等報告書_増改築

知らない、、だとォ!?

これらの事項を事前に告知されていたらこの物件を購入しなかったのは明白であるので、損害賠償として補修費用の売主負担を請求することができる

ただし売主💀が負担を拒否した場合、訴訟を起こすことになり、費用と時間の負担が大きくなってしまう。

その場合宅建保証協会の神奈川県本部に対して申し立てを行い、仲介業者であるY社に対して損害賠償を請求するのが効果的である。

同時に国土交通省関東地方整備局にも申し立てを行い、行政指導を入れることも可能だ。


🏢 東京商工会議所の無料法律相談
相談員の見解。

「本物件建物は、建築後既に約27年を経過している為、、、」の記載があるが、地盤沈下については建物ではなく土地の瑕疵であり、瑕疵担保責任は発生する

契約書_建物瑕疵担保免責

"建物"じゃなく"土地"の瑕疵

また土地においては地中の不発弾などが隠れた瑕疵であり、地盤沈下は隠れていない瑕疵である。しかもこの場合、売主側は明確に地盤沈下を発見している証拠がある。

土地家屋調査士等に依頼して証拠を確保しておくことが大事。

訴訟を行った場合、十分勝ち目はある。その場合は売主💀と仲介業者の両方を訴えるべき。

ただし費用や期間がかかるので、ADR(裁判外紛争解決手続)などを利用したり、宅建保証協会に申し立てをする選択もある。


(5)弁護士と契約

2回の無料法律相談でこちらの正当性と勝機を確認できたが、あくまでスポットでの相談なので本格的に悪の売主💀と戦うには正式に弁護士と契約する必要がある。

そこでまた管理会社S社のHさん👼経由で、S社の顧問弁護士を紹介してもらうことになった。S社とHさん👼には修繕工事、賃貸募集、管理、弁護士の紹介と、お世話になりっぱなしだ。

紹介していただいたのはS法律事務所のO(オー)先生

年齢は50代くらいと思われる。背が高くがっしりした体型で精悍な顔つき。”正義の味方”という雰囲気で頼もしい。

ちなみにS法律事務所の場所は小田原。自宅からだと片道2時間はかかるのでちょっときついが、悪の売主💀を倒すためにはこれくらいで弱音を吐くことはできない

O先生との初回の面談は6月3日。

資料を渡して状況を説明したところ、やはり民法第572条に触れるのはあきらかなのでそこを攻めていくということになった。

ただいきなり裁判ではなくまずは調停で悪の売主💀を話し合いの場に引きずりだしてみて、それでも不調に終わった場合は訴訟をしよう、という方針になった。

調停は悪の売主💀、売主の仲介業者Y社、買主の仲介業者B社の3者に対して申立てする。請求する費用は約469万円。内訳は補修工事費365万円+諸経費104万円だ。

🗡 基本的には売主💀が悪いのでなるべく多く取る
🗡 業者2社にも仲介した責任があるので、少しずつ取りたい

という形で、3者から合計で少しでも多くの費用を獲得する、という戦略だ。

さっそく委任契約書を締結し、着手金として315,000円を振り込んだ💸

これで準備はOK。あとはO先生が調停の手続きしてくれる。事件名は「売主担保責任等請求事件」と名付けられた。

コナン事件名


(6)第一回調停

委任契約締結から約1ヶ月、第一回調停の日時が決定した!

事件報告_第1回調停

当面動くのはO先生のみで、こちらは出番なし。あと実費として19,500円の請求があった💸

そして結果も書面での報告。相手方の主張は以下の通り。

👤売主💀 → 弁護士が出席。責任はないと思っているが、解決のために協議することができないかを次回までに検討する。

👤売主仲介業者Y社 → 社長が出席。瑕疵の存在自体知らなかったし、床下まで調査する義務はないので話し合いには応じない。

👤買主仲介業者B社 → 欠席。


次回の調停は10月15日に決まった。次はとうとう私、アパおじも出席することになった!

余談だが、この頃平塚1号アパートを購入した時にB社の担当だったKさんが退職した。その後まもなく独立して不動産会社を立ち上げたが、しばらくしたら一切連絡が取れなくなった。今どうしてるんだろう。。


(7)第二回調停

2013年10月15日。藤沢簡易裁判所。簡易でも「裁判所」と名のつくところに足を踏み入れるのは人生で初めてなのでちょっとドキドキする😖

なお簡易裁判所というのは民事の調停や少額訴訟を扱うところだそうで、離婚の調停とかは家庭裁判所でやるらしい。

まずは約束の時間に入り口でO先生と落ち合い、申立人控室へ移動。ここで数日前に先生のところへ送付されてきた悪の売主💀からの答弁書を見せてもらった。

主張は変わらず特に目新しいことはないのだが、唯一R商事という会社の領収書を証拠(?)として提出していた。

リフォーム関連はこのR商事にすべて依頼しているので、瑕疵については私は何も知りませんよ。ということらしい。

この日の調停は、

1.売主側弁護士が呼ばれる。

2.買主側仲介業者が呼ばれる。

3.買主(アパおじ)が呼ばれる。

という段取り。

売主側仲介業者Y社は前回既に申し立てに応じない旨を宣言しているため、本日は欠席だ。

控室で待つこと約20分、呼ばれて入室。ドキドキした😖

調停室は10畳くらいのこざっぱりした部屋で、調停員が2人いた。1人は男性で弁護士、もう1人は女性で一般人とのこと👫

調停員は、弁護士の他にかならず一般人(公務員など)が選ばれるそうだ。良識のある一般人として、客観的な意見を述べる役割らしい。また必ず男女一名ずつになる決まり。

では本題へ。

まず買主側仲介業者B社の主張。仲介に関しては当方に不手際はないので、申し立てには応じられない、とのこと。これは予想どおり。

そして悪の売主💀側は答弁書の通りで、瑕疵は知りませんでした、という主張。そして明文化してはいないが、30万円だけなら払ってもいいよ、と言っているらしい。

30万ではお話にならないので、もう調停は打ち切って裁判へ、、、という空気になっていたところ、裁判官が入室。ここで空気が一変した。

とてもよく喋る元気なジイさんで、「この案件はこじれて決着がつきそうにないから、ワシが叩き台を作ってきたゾ!」と言い出した。

裁判官イメージ

裁判官イメージ

これがその叩き台。

✅ 売主仲介業者(Y社)は仲介手数料(100万円)を全額返還し、買主(アパおじ)への補償とする。

✅ 買主仲介業者(B社)も仲介手数料(100万円)を全額返還し、買主(アパおじ)への補償とする。

✅ 売主💀は82万円を買主(アパおじ)へ補償する。

こちらの請求のうち工事費が365万。そこから仲介手数料100万ずつ引いて、残った165万を悪の売主と買主で按分しろ、という理屈らしい。かなり乱暴だ😅

どうもこの裁判官は不動産業者を毛嫌いしているようで、こんな強引な案を出してきたようだ。こちらとしては業者よりも悪の売主💀にできるだけ多く負担させたいのだが、、、

正直、仲介業者2社がこの条件を飲むとは思えないが、裁判官のジイさんがかなり熱心で「ワシが話をまとめてやる!」的な雰囲気だったので、O先生とも相談してとりあえずこの話に乗ることになった。

次回の調停はまた1ヶ月後。

余談だが、調停員は弁護士が持ち回りで日当数千円でやらされる仕事なので、基本的に調停員はなるべく早く調停を終わらせたいそうだ。

逆に裁判官はなるべく裁判を減らしたいので、できるだけ調停でケリをつけさせたい、という思惑なんだとか。

みんな自分の仕事を増やしたくないんだね😅


(8)第三回調停

2013年11月12日。藤沢簡易裁判所。第三回目の調停だ。

今回は全員出席。ただしB社は15分くらい遅刻していた。

前回同様、悪の売主💀、売主仲介業者Y社、買主仲介業者B社、買主(アパおじ)の順番で呼び出された。

それぞれの返答は以下の通り。

👤Y社 → 見舞金(2~3万程度)くらいなら出す

👤B社 → 1円も出さない

👤売主💀 → 82万なら出してもいい


・・・ダメじゃん😭

Y社とB社はもう少し出してくれるかと思っていたけど、両者ともほぼゼロ回答。

ジイさんの「ワシに任せろ」とは一体なんだったのか・・・

裁判官イメージ2

ダメでした


Y社とB社からそれぞれ10万ずつくらいもらって悪の売主💀とは裁判、という形が理想だったが、それとは程遠い結果となり、結局調停は不調で終った。

そんなわけでいよいよ裁判に突入する!



第六章 裁判編

調停が不調に終わったため裁判に突入!

差し当たっての費用として150,000円の追加費用が発生した💸

あとは基本的に成果報酬で、勝った場合は賠償請求額の10%が弁護士の報酬となる。

(1)証拠集め R商事のこと

いよいよ裁判だが、その前に気になる点があったので調査した。R商事だ。

調停で悪の売主💀が「R商事が勝手に地盤沈下の補修工事をやったからその事実を知らなかった。だから私は悪くありません」と抜かしていたが、ありえないだろう。

勝手に基礎の補強をやって報告もしないリフォーム業者なんているわけがない

逆に言えば「R商事に会って真相を聞きだせば売主💀の嘘を暴けるのではないか?」と考えられる。

売主💀側が第三回調停で提出したR商事の領収書には住所も電話番号も書かれていたので、R商事の所在は既に把握済。ついでに謄本もとって資本金や代表者の名前もわかった。

というわけでR商事に押しかけて行って直接話を聞くことにした。

・・・

12月5日、R商事の住所に凸撃した。

1人では不安だったのと、第3者がいたほうが良いという配慮で、S社のHさん👼にもご同行いただいた。本当にいつもありがとうございます🙇

玄関チャイムを鳴らし、ドアをノックするが人の気配がない。そこでHさん👼がR商事に電話をかけてくれた。相手はリフォーム業者なので、不動産業者から連絡したほうが話がすんなり進むだろう、という配慮だ。

場所は相模原市の某所。かなり古そうな平屋で、玄関先やガレージスペースに配管とか木材とかリフォーム用の資材が大量に置いてある。いかにもリフォーム業者です、という佇まいだ。

玄関チャイムを鳴らし、ドアをノックするが人の気配がない。そこでHさん👼がR商事に電話をかけてくれた。相手はリフォーム業者なので不動産業者から連絡したほうが話がすんなり進むだろう、という配慮だ。

電話は携帯に転送されてR商事の代表者につながった。その日は都内で仕事をしているので会えないと言われ、仕方ないが12月8日に再訪するので話を聞かせてもらう約束を取り付けた。

・・・

再訪前日の12月7日。R商事からS社のHさん👼の携帯に電話が入り、翌日のアポイントのキャンセルを告げられた。

そこでHさんが地盤沈下の件を切り出すと、R商事は「売主💀から床がブカブカしているので直して欲しいと言われたので、工事して直した」と答えた。さらに突っ込んで「地盤沈下のことは売主💀に告げたのか?」と聞いたが、言葉を濁してのらりくらりと返事をごまかすだけだった。

明らかに売主💀から口止めされている様子だ。おそらく売主💀が所有する他のアパートの仕事も貰っているので売主💀に不利なことは言えないのだろう。

できればR商事に真実を語って欲しかったが、残念ながら今の時点ではこれ以上追求することは難しそうだ。


(2)証拠集め 漏水のこと

裁判とは関係ない件でアパート隣のFさんとお話する機会があり、その時に「去年の夏におたくのアパートで派手に水漏れしてたんだよ」という話が聞けた。そんな話は初耳だ。物件状況等報告書をしらべてみたが、、、

物件状況等報告書_水漏れ

去年の夏に派手に水漏れして「発見していない」はありえないよね・・・🤔

というわけで水道局に電話して確認してみたら、以下の記録を教えてくれた。

🚰 記録1 平成23年7月 (2011年)
・敷地内漏水の記録あり
・メーターの数値は258リットル
減額申請があり、30リットル減の228リットルで請求した
・工事を行った業者の名前はオーナーが変わっているから教えられない

🚰 記録2 平成24年7月 (2012年)
漏水があったが、修理の届け出がなかったので「未修理」の扱いのままになっている。おそらく前オーナーで修理したと思うが、届け出がないのでそれ以上はわからない。減額もしていない。

※その後の水量は安定している


地盤沈下との直接の因果関係は証明できないが、売主💀の主張を突き崩すような事実・証拠があれば、裁判でこちらが有利になる。

また裁判で、工事業者名などの情報を開示させることができるなら、他にもいくつか嘘が暴けるかもしれない。


(3)訴訟を起こす

年が明けて2014年1月31日、横浜地方裁判所に訴えを提起した。訴訟だ

画像51

支払え!」って強く言うあたり、「ああ、本気モードなんだな」って感じがする。いよいよ裁判がはじまるんだ!って気持ちになった。

あと印紙代その他の実費で44,200円支払った💸😭


(4)裁判はじまる

横浜地方裁判所にて、裁判の第1回期日が決まった。3月24日だ!

ただし調停と同じで最初のほうは弁護士だけが出席することになるのでアパおじの出番はない。

裁判の流れはこんな感じ。

✍原告が訴状を出して訴訟開始

✍被告が答弁書を出して訴状に対する基本姿勢を打ち出す。今回の訴訟では被告は原告の請求を棄却した

✍原告・被告双方が事前に準備書面という書類で互いの主張をまとめ、その準備書面をもとに裁判所にて弁護士と裁判官が話し合う

7ヶ月にわたって、合計6回の裁判手続きが行われた。

第1回期日 3月24日
第2回期日 5月13日
第3回期日 7月4日
第4回期日 8月5日
第5回期日 9月22日
第6回期日 10月22日

裁判は粛々と進み、結局アパおじが裁判所に出向いたのは最後の最後、第6回だけだった。


(5)被告(売主💀)の反論

今回の訴訟の相手(被告)は売主💀、Y社、B社の3者だが、結果としてY社とB社を相手にしたのは時間の無駄になった。

調停の時の裁判官は「Y社とB社が元凶だ!」みたいに言ってたが、裁判では全く反対の結果に終わった。

というわけでY社とB社とのやり取りは省いて売主💀とのやり取りのみを取り上げていく。


原告(アパおじ)側の主張は調停の時から一貫して

「地盤沈下知ってて隠して売っただろ!賠償しろ!💢」

それに対して被告(売主💀)側は

「地盤沈下なんて知らなかった。R商事がなんか工事してたけど、そんな話は聞いてません(すっとぼけ)」

ということで、双方の主張がぶつかっている。

長くなるので省くが、第1回から第4回までの書面のやり取りはほぼアパおじ側の追求と売主💀側の言い訳の応酬だった。

この状況を打破すべく、かねてから予定していたR商事の証人申請の手続きを行った。

実際に地盤沈下の修繕工事をしたR商事を証人として法廷に呼び出し、裁判官の前で証言させるのだ。これが証人を申請するための提出書類、証拠申出書だ!

証拠申出書

証人呼んで尋問とか、本格的な裁判みたいでオラわくわくすっぞ!😆

この頃はアパートも満室が続いて気持ちに余裕も出てきたので、証人の口から真実が語られることを楽しみにしていた。

だが、、、


(6)いきなり和解勧告

9月22日、第5回期日で裁判官から和解の勧告が出された。第4回で証人の申請をして第5回で和解勧告と、展開が早くて驚いた。第6回までに各自和解の検討をしてくるように、というお達しだ。

R商事が証人として裁判の場に出てくるのはさすがにまずいので、売主💀側が急遽和解を申し入れてきた、ということらしい。

とりあえずO先生の事務所に足を運んで和解について相談をすることになった。

裁判官は和解金の金額は明言していなかったが、O先生の見立てでは、和解金は最大でも実際に工事にかかった代金の365万円までで、あとは裁判官が被告と原告双方の主張を聞いて落とし所を探ることになるらしい。

また和解せず裁判を続けてこちらが勝訴したとしても、365万円以上を相手から取るのは難しい、ということだった。

相談の結果、和解金300万円なら和解する、それ以下なら訴訟を継続する、という方針で第6回期日に挑むことになった。


(7)和をもって尊しとなす

2014年10月22日 午後4時30分。第6回期日。場所は横浜地方裁判所だ。

和解か訴訟継続か、この日の流れ次第で今後の運命が大きく変わると考えるとさすがに緊張する。

横浜地裁写真

横浜地方裁判所

一階フロアでO先生と落ち合ってエレベーターで上階へ。まずは待合室で待たされた。けっこう長い時間待たされたので、裁判所の裏話とか、不動産関係の仕事の話とか、O先生の娘が何歳で何の仕事をしてて、、、みたいな世間話をいろいろ聞いた。

40分くらい待たされて、ようやく我々の番がまわってきた。

部屋に入ると白髪交じりでメガネで真面目そうな壮年の男性が座っていた。この人が裁判官らしい。服装もワイシャツにネクタイと至って普通。

裁判官イメージ横浜地裁

裁判官イメージ

簡単な挨拶の後、さっそく本題に入った。

まず仲介業者のY社とB社からの和解金や見舞金はゼロの回答。これは想定内なのでOK。

そして問題の売主💀からの和解金の提示額は、、、、180万円

こちらの希望額は事前の打ち合わせ通り300万円で提示した。裁判官には売主💀の悪意と状況証拠、それによってこちらが被った様々な被害を説明し、300万円の根拠とした。

ここで一旦退室。また控室で待機する。

控室でまた30分ほど待たされることとなった。O先生曰く、裁判官と売主💀と弁護士Aとで和解金の溝を埋めるため協議をしているのだろう、という。

正直自分の中では120万円の隔たりは到底埋められるものではないため、この時は訴訟継続で気持ちは固まっていた。

30分後、2回目の入室。

相手からの和解金提示額が200万円になったと伝えられた。おそらく渋る売主💀を弁護士Aと裁判官で説得したのだろう。

20万円増えたがそれでもまだ100万円の差があるのでやんわりとお断りした。

退室してまた控室待機。

さらに30分後、3回目の入室。

今度は和解金提示額が220万円になった。この提示額が最後で、もうこれ以上はないということだった。

まあがんばってくれたのは理解できる。ただ依然80万円の差があるし、R商事を証人申請して真実を明らかにしたいので、やんわりとお断りの意思を伝えようと思った。

が、今回は裁判官が粘ってくる。さらにO先生まで和解を勧めてくる

ここで私は察してしまった。


「あっ、この人たち、もう面倒くさくなってる」


さっさとこの案件終わらせたいオーラがムラムラと出てるのだ!

裁判官はもちろん、味方であるO先生も、口には出さないが「もうこのへんでいいでしょ」的な雰囲気が顔に出ている。

裁判官も弁護士も普通の人だ。さっさと仕事終わらせて楽したいと思うのは当然のことだ。

この訴訟はアパおじにとっては人生の一大事だが、弁護士や裁判官にとってはショボい案件のひとつでしかない。出世や昇給にもつながらないからやる気もあまり出ないだろう。

そもそも我々が住む日本は「和を以て貴しとなす」の精神で出来上がっている国なのだ。

「ハッキリ白黒つけないで、まあみんなで仲良くやっていきましょうよ(ニヤニヤ」の精神だ。

良いか悪いかは置いといて、聖徳太子以来1500年間、その精神で運営している国なのだ。

それが日本という国なのだ🇯🇵

ついでに言うと、日本の民事訴訟は過半数が和解で終わるらしい。和解が半ば強制されるようなケースも多いとか。

訴訟継続する気マンマンだった私だが、そのことを察して一気に気持ちが冷めてしまった。また訴訟を継続して220万をフイにしてしまう可能性もゼロではないので、もう矛を収めることに決めた。

「わかりました。220万円で和解します」

・・・

横浜地裁を後にし、家路についた。

モヤモヤした気持ちは残るが、同時に「これで全てが終わったんだ」という安堵感もあった。

和解が最良の選択だったかはわからないが、最善は尽くしたと思う。

地盤沈下のことはこれで区切りをつけ、前に進んでいくしかない。

後日、和解条項が書面で送られてきた。

和解条項


さらに後日、弁護士報酬20万円が引かれて200万円が口座に入金された。

これで2年弱におよぶ平塚1号アパート地盤沈下をめぐる係争は完全に終結した


(8)調停編&裁判編 結果発表!

弁護着手金 ・・・ -315,000円
実費請求 ・・・ -19,500円
裁判追加費用 ・・・ -150,000円
実費請求 ・・・ -44,200円
和解金 ・・・ +2,200,000円
弁護士報酬 ・・・ -200,000円


合計金額は、、、

🤔

🤔

🤔

🤔

🤔

1,464,250 円

うーん、微妙😅

結局工事費用の4割程度しか回収できなかった計算になる。

調停と裁判という貴重な経験が積めたが、高い勉強代になった😰


ここから先は

8,367字 / 3画像

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?