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季節は春だった。

学生の時に風呂なしの事故物件に住んでいた。閑静な住宅街にその風呂なしアパートはあって、静かで日がよく差し込み庭に柿の木があった。住人は総じて金がないものだから、こぞって庭の果実を取り合った。風呂なしアパートと東京の掛け算から容易に推測できるように、そこには大量のゴキブリがいた。様々な努力をしてゴキブリと共生することを試みたけれども、結局はどれもダメだった。ゴキブリが出現したときには殺すことなくただ見つめ会い、お互いの存在認め合うことを試みたが、体から鳥肌が収まることはなかった

    • 悲観的ロックな人生

      書くぞ

      • 風呂なし事故物件のノスタルジー

        学生の頃、僕は風呂なし事故物件に住んでいた。当時できた好きな人にはそのことは言えなかった。嫌われたらどうしよう。距離を置かれたらどうしよう。そんなことを考えてしまい、なかなか言えなかった。 「僕はあなたのことが好きです。僕と付き合ってほしいです。でも、一つ言わなくてはいけないことがあります。僕は、その...、風呂なしアパートに住んでいるんです。お風呂がないんです。」それが、僕の告白の言葉だった。ぼくは事故物件であることまでは打ち明けることができなかった。その後2年ほどお付き

        • 素晴らしい文化

          うんこを漏らした。これで人生三度目だ。 一度目は4歳の時にスイミングスクールで我慢できずに漏らした。水面にやたら巨大なうんこが浮かんでいた。その時は泳ぐという段階ではなく、顔を水につける程度の段階だったから、僕はその場から泳ぎ去ることはできず、僕の横に居るうんこに対して無視をすることで精一杯だった。それ以来僕はスイミングプールに行くのをやめた。だから僕は今でも泳ぐことができない。 二度目は学習院大学の正門で漏らした。トイレに間に合わなかったのだ。春の木漏れ日の中、僕は大き

        季節は春だった。