見出し画像

『2.5次元の誘惑(リリサ)』がすっごく良い作品だったので驚いた!(笑えて泣けました!)


『2.5次元の誘惑(リリサ)』は「少年ジャンプ+」で連載中の作品で作者は、橋本悠先生。

あらすじ

2次元キャラクター「リリエル」を愛する男子高校生・奥村は漫画研究会のたったひとりの部員。そこへ「リリエル」のコスプレでROMを作りたいという天乃リリサが入部してくる。
心地よい自分の居場所である漫研の部室に部外者を入れたくない奥村は最初渋るのだがリリサの「リリエル」に対する愛情に意気投合して入部を認め、リリサの「リリエル」の最高のROMづくりに協力する事になる。
やがてコスプレのイベントに参加してく事で新たな仲間ができていく。
[※ストーリー説明下手なので気になる人はウェキ読んでください。]

ありきたりのエロコメ漫画だと思ってたら・・・

最初に第一巻を読んだ時は、ありきたりなエロ漫画かと思ってたし、そういったお約束シーンも多かった。キャラも薄いけどエロコメならこんなもんかなと思ってた……
ところが、この漫画のすごいところは、そこからのキャラの深堀り!これがすっごく魅力的だ。
最初から予定していた事なのか、路線変更なのか不明だが、すごく良い展開になってくる。男性主人公から女性主人公の天乃リリサに丁度いい配分でシフトしていくのも良かった。
さらに登場キャラが薄いどころか、深い。皆、葛藤を抱えていてエピソードごとに登場するキャラたちの葛藤の乗り越えがめちゃくちゃ魅力的です。

葛藤の解決、これが物語の重要なファクター

様々なコスプレイヤーが登場するが、何かしらの迷い(葛藤)を抱えた登場人物が、何故このキャラのコスプレが、あるいはコスプレ自体が好きなのかを自己確認していく事で葛藤を乗り越えていく。それが感動的だったり、共感をもてる内容だったりする。
また、コスプレだけではなくそのキャラを生み出した創作者(架空の漫画だが)のキャラクターへの想いも描く。
個人的には7巻、8巻の、ギャル系キャラと会えなくなっていたお父さんとのエピソードには2度泣きました。

本当の気持ちに気づき葛藤を乗り越えていく

この作品は、“気持ち”に関して丁寧に描いてるんだなと思った。
コミカルだし、お約束のようなエロは必ず入れてくるけど、それ以上に好きなものに関して、それはアニメだったり、漫画だったり、肉親だったり、異性だったりするわけなのだが、それらに対する“気持ち”をとても暖かい絵とセリフで丁寧に描いてくれる。そこが最高にいい。
最初にキャラが薄いなんて思ったが、とんでもない!
男性主人公である奥村が2次元にしか興味がない(反応しない)……という、ラブコメに合わせたような設定がには、それなりの深い理由がちゃんとあって、それは彼の大きな葛藤になるのだがその解決にある人物が関わるのだが、最高にいい話になってる。

活き活きした魅力的なキャラたち

仲間が集まってくるとチーム感も出て来てキャラも活き活きしている。
決して深刻に振り切らないところもいいし、かといって雑なおふざけにもなりすぎないバランスも好感がもてる。
どのキャラもセリフがすごくよくて、感情を表現する時は説明ゼリフ過ぎると感情移入していけなくなりがちだが「2.5次元のリリサ」はそこが絶妙に上手い。表情の描き方の上手さもあると思うがめっちゃ感情移入していける。
あと登場人物がみんな好人物である事。
皆、何かしら問題を抱えていて、自己肯定感が低かったり、人付き合いに問題があったりするが、主人公たちと関わる事で本当の自分に気づく。この自分が気づくという事がすごく重要だ。ストーリーの軸にもなってる。

コスプレイヤーの人たちへのリスペクト

実際にコスプレイヤーのお知り合いがいるのか不明だが、リスペクトをすごく感じる。
だから、“あるある”を面白おかしく描いても、馬鹿にしたような描き方はしない。
登場するコスプレイヤーがアニメ(あるいはゲーム)のキャラへの思い入れの描写が感情移入しやすく丁寧。
好きなものに対しての“気持ち”というものを丁寧がこの作品の面白さに繋がっている。

ネカフェに行ったらオススメ棚に並んでいて絵柄が可愛かったので手に取った漫画だったけど、まさかの作品でした。
アニメはまだ観たことがありませんが、作品の良さを描いていくには、多分、単に漫画のコマ絵通りに作画してもダメだろうなと思った。やっぱり作品の軸になってるコスプレを愛しているという“気持ち”を丁寧に描ける監督である事を祈ります。

あと、主人公のひとりリリサにひっぱられ、周囲が自身の葛藤を解決していき、チームが固まっていくような感じは、ちょっと「スキップとローファー」に似てるなと思いました。みんな魅力的な好人物なところも。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?