見出し画像

霧時雨と竜胆(カクヨム短編小説)の朗読動画を作って思ったこと

KADOKAWAの小説投稿サイト『カクヨム』の自主企画で朗読化できる作品を募集しまして、その中から選ばせてもらった作品です。
選ぶ基準は朗読化しやすい作品というものでしたが、直感的にいい作品だったので選びました。
(音声合成ソフト・ボイスピークを使用しています)
内容は、都会の生活に疲れて田舎に帰ってきた主人公『私』が、霧時雨の中で竜胆の香りの人と出会い、それがきっかけで自分を取り戻していく、というお話です。
朗読化する過程で念のため漢字の読みをネットで確認していくのですが、その過程で最初の読みで気づかなかった作品に含まれた様々な意味が分かってきて興味深かったです。
(ネタバレもあるので、感想は下に……)

時雨と竜胆(朗読動画)

都会の生活に疲れて田舎に帰ってきた私は、霧時雨の中で竜胆の香りの人と出会う。
霧時雨と竜胆(作者 南木 憂さま) https://kakuyomu.jp/works/16817330649... カクヨム自主企画「朗読動画にできる作品を探す企画です」参加作品 イラスト ノーコピーライトガール様 https://www.youtube.com/channel/UCMYT...
BGM Harumachi Music(pixabay)
背景画像 pixabay 
ぱくたそ(PAKUTASO)
エフェクト動画 pixabay
朗読 音声合成ソフトvoicepeak 使用

感想

(この感想は一方的なボクの考察になっているのをご了承ください!)
ボクが、いいなぁと思ったのは、物語構成と言葉の意味と物語の関連性。
『私』が憧れると散歩ですれ違うだけの『あの人』です。
彼女は『私』が都会でなりたかった自身の理想像なのですが、『あの人』が直接、『私』に手を差し伸べることはありません。
特にいいな、と思ったのは、『あの人』は、物語上、大きな存在なのですが、『私』の一方的な感じ方で成り立っているキャラということでした。
もしかしたら『私』の存在すら認識していなかたかもしれません。でも、結果的に『あの人』は『私』の疲弊した心を癒やしてくれるんです。
そこが良かった。

言葉に含まれた意味

タイトルにある霧時雨(きりしぐれ)が秋の季語であり、霧の様な雨は、『私』を表しているものだと感じました。雨と霧の堺が曖昧なそれは、現在の『私』の心。

もうひとつの竜胆(りんどう)は秋の花。その香りが『あの人』から香るのをきっかけにこの短い物語が動き出します。
花言葉は「悲しんでるあなたを愛する」「勝利」「満ちた自信」
そして敬老の日に贈られる花。
最初は「満ちた自信」つまり、『あの人』抱いていた理想の自分
次に「勝利」
「勝利」の由来が「病気に打ち勝つ」という意味からです。
つまり、『私』が自分を取り戻していくこと
そして「悲しんでいるあなたを愛する」。
この花言葉は『あの人』を指すことではなく、『あの人』が『私』の故郷にやってきた理由である『祖母』でした。

動画を作りながら分かっていく様々な事柄にまるでミステリーを紐解いていく気分になって楽しかったです。
本来、感傷的になるような作品なのかもしれませんが、ボクはワクワクでした。

短いながらも構成がしっかりしているのもよかったです。
お手本にしたいと思った作品でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?