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ペルーの民藝 アヤクーチョの織物&刺繍

ペルーの民藝、とりわけアヤクーチョの民藝については、昨年2020年に小冊子にしてまとめましたが、今回は、織物と刺繍に特化してご紹介したいと思います。

アヤクーチョ刺繍は、古代から伝わるアンデスの染織技術と西洋の刺繍技術が融合し、美しく調和された手仕事です。

アヤクーチョ県ワンタ郡のルリコッチャと言う地域には、伝統的に多色の刺繍が施されている手織りのマンタ(肩掛け)が作られています。おそらくこれがアヤクーチョ刺繍の始まりだと言われています。

今回取り上げるのは、この地方の民族衣装への刺繍ではなく、ペルー国内外の市場向けインテリア雑貨として、伝統的な手法で織った織物に施された刺繍です。

その特徴は
1.刺繍糸:羊毛もしくはアルパカの毛糸
2.デザイン:花、蔓、葉、蝶、鳥など
3.色:多色
4.ステッチ:ペルーのステッチ(クレスポ・ステッチ)

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制作工程は次の通りで、刺繍までにたくさんの人の手を渡って完成します。

まずは、羊毛もしくはアルパカの毛を紡ぐところから始まります。

紡いだ毛を天然染料もしくは化学染料で染めます。

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アヤクーチョに生息する草木やサボテンに寄生するコチニールが染料となり、様々な色に染め上げます。

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足踏機織で織ります(主に男性の仕事)。

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織物に図案を写します。あるいは直接描いてから刺繍をします。
使用する主なステッチ:クレスポ・ステッチ、アウトラインステッチ、サテンステッチ、バリオンステッチ、フレンチ・ノットステッチ、チェインステッチなど。

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刺繍は、アヤクーチョ市郊外の村に住む女性たちによって行われています。家計を助けるための副業で、家の中や家畜の番をする傍ら外で作業します。技術は家庭内(母から娘)、あるいは学校で習得するそうです。

下記に工房で見せていただいた作品をご紹介します。

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参考文献:Programa Integral de Lucha contra la Violencia Familiar y Sexual -  Ayacucho. Estudio Etinográfico del Bordado Ayacuchano, Ayacucha, 2007 


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