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断片から文を構成する営み

日常的な私的なことばと、公共的なことばとの違いは、前者が「断片」を基本単位とするのに対して、後者が「文」を基本単位とすることにあります。日本語であれ、英語であれ、日常言語は断片の連鎖によって成り立ちます。母語の場合、断片を日常生活の中で自然に身につけていきますが、それを文にする方法は学校教育の手助けを必要とします。断片は音声によって支えられるものですが、文は音声だけでなく、文字による支えも必要です。文字は一般に意識的に学ばなければ身につきません。

しかも、日本語は「文」が場面や文脈に依存しやすいため、どうしても言わなければ伝わらないもの以外ははっきりと伝えない傾向があります。これを公共の場での誤解を避けた明確な表現とするには文として本来必要な情報をはっきりと示す必要があります。こうした「完全な文」を意識し、読み、書くことによって公的な場面での話しことばや書きことばとして日本語を使いこなす基礎ができあがります。

日本語の「完全な文」は英語の基本文構造を学ぶときの鏡のような役割を果たします。日本語でそれぞれの述語に必要な語句の揃った文を意識し、そうした文と英語の文がどのように異なるのかを考えることから英語のいわゆる基本文型の習熟が始まります。日本語を母語とする人が日本語しか使わない環境で英語を学ぶ場合、いきなり断片連鎖による日常英会話を学ぶのは効率的ではありません。フルセンテンスでやりとりする練習こそが、英語の総合的な力を形成していくのです。

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