*エッセイ* 初めて逆ナンした話
はじめに
初めましてな人も、そうでない人もこんにちは。桜海とあです。
現在noteは創作大賞2023のエントリー期間です。エッセイ部門にも参戦してみようかなと思い、先日Twitterの方で、アンケートを取りました。(需要がある方がいいのかな。という安易な考え)
ということで、今回のnoteのエッセイは「初めて逆ナンをした話」です。今までも某サイトやアプリでプライベートなお話を綴っておりました。そちらをご覧になった方、リアルとあを、よく知っているという方は、まあ、どんなことを書くのか大体の予想がついていることかと存じます。
ええ、そういうやつです。
逆に、TapNovelやプリ小説などのキュンキュンする作品類からここへ辿り着いた方は、作家のプライベートに触れてしまい、うっかり大火傷。ということになりかねませんので、こちらの前置きあたりでブラバしていただくことを強く推奨いたします。
とはいえ、きちんとnoteの規約に則った範囲で書いておりますので、その辺りはご安心ください。先に言っておきますが感動する物語ではありません。ただ起きた事象を述べているだけです。
ではお気持ちが決まり、呼吸が整った方はどうぞお進みください。
ただし気分を害されても、当方は一切の責任を取りませんが。
1)ロケバスで
よそ様に飛び火しないように色々割愛しますが、
過去にとあるお仕事で、モデル的なものをさせていただく機会を頂戴した時のこと。モデルというとめっちゃ美女なんか? お前ちゃうやん! と、おっしゃられる方もいるかと存じます。
この現代社会、女というだけで需要がある。ということを一筆したためさせていただきましょう。この辺りは深く議論すべきことではございませんので、先に進みます。
一応、「その日の撮影は下着撮影あるよ」と事前にスタッフから聞いていたので、業界の事情を何も知らないで飛び込んでしまった “とあの助(仮名)” は、それは、どこをどう切り取られても大丈夫なようにしておけよ。という意味だろうと察して、全身ツルツルにして当日ロケ車に乗り込んだわけです。
着衣はあっても下着撮影は初めての経験。
さらに他の女性さんたちと一緒に撮影。楽しそう!!
完全にピクニックに行く感覚。ワクワク!!
事務所を出て少し走ったところで、他の撮影を終えてピックアップされた先輩方が乗りこんできました。先輩方とこうして現場でお会いするのは初めてです。きっとこっちの業界も上下関係厳しいんだろうと予測していた通りに、綺麗なお姉様方の視線が、頭の先からつま先までねっとりと降りてくる。
ここはなんの羞恥プレイな会場ですか???
と思うぐらいに脇汗かく時間でした。
とあの助、美人でも可愛いでもない芋です。
人数合わせの賑やかし隊員です。
組み分け帽子が、美女とイケメンしか入っちゃいけないクラスに誤って振り分けてしまったバグです。さらにその日も、どすっぴんだったということもあって、こいつは敵じゃない。とご理解いただけたのか、会話に加わる機会をいただけました。(美人じゃなくってよかった!!)
2)美女たちと
今回の撮影に参加するのは、私を含めて5人。
事務所最押しの、すでにレフ板仕込まれてるんじゃないかと思うほどに異次元にキラキラした美女と、大人な魅力あふれるお姉様二人組、まだ10代ですよね? 身分証見せてくれませんかって居酒屋で絶対言われるであろう(そして言われていた)ロリ可愛少女という事務所のトップが勢揃いした現場。
やっぱり私、壁になるために呼ばれたなあ。と、メンツから判断するに、瞬時に撮影の意図を理解しました。
その先輩方、もう何本か共演しているらしくとても仲良しさん。この前の撮影の話やら何やらで盛り上がっているので、「ほうほう、そういう過酷な現場が」などと先輩方の話に相槌を打っていたら、先輩方がショッパーから下着を取り出し、「今日の撮影のやつ。これでいいかな?」と吟味し始めた。
一体どういうことなのだろう? と思い、尋ねると、「下着撮影の時は、撮影用の下着を持参するんだよ」と教えてくださりました。
え、待って。そんなん聞いてませんが?
と、スタッフさんを呪った瞬間でした。
これはいきなりいじめに遭っているのか???
下着撮影ということは、撮影用に着用する下着の準備がされており、それを着るものだと思っていたのですが、弱小事務所にそんなものがあるわけがなかろう。という事実。
先輩方は撮影用の私服も準備してあり、セルフブランディングされた私服を自前で用意するのが、この事務所のセオリー。撮影のデフォルトなのだと。
さらにこうした複数人の撮影の場合、色被りが無いように、何種類か準備するそうな。少し考えれば想像できるだろうものを、私は全く予想していなかったわけで、スタッフさん云々ではなく、可愛い衣装を着て、可愛い下着も着られる。わあい。と、ただただ頭が残念な私のせいでした。
スーツケースを引いて現れた先輩たちと、流行りだからと小さなショルダーバック一個の私。売れる子とそうでない奴の差は、こういうとこですね。
3)スタジオで
当然、一人の新人(なんなら、モブ)のために撮影を遅らせてくれるはずはないですし、車もスタジオに着いてしまった。
まあ自服といえど可愛く見える服を着てきたし、すっぴんも妖怪ではないと思うので、ワンチャンいけるのか?
ペンシルビルのスタジオの2階に上がって、「今日はここで撮影します」と、なんとも可愛らしい女の子の部屋に足を踏み入れ、その奥にずらっと並んだスタッフたちを目の前にして、失神しかけた。
カメラマンだけじゃないのかー!
(今まで、一対一の経験しかなかった)
わちゃわちゃした部屋の中、呆然と立ち尽くす私と場慣れした先輩たちに向かいスタッフさんが、今日の撮影の段取りみたいなものを口頭で伝えてくださっている間も、心ここに在らず状態。
30分から撮影します。といわれ、他の先輩たちがお茶やらお菓子やら食べ始め(これも自分で持ってくるんだ!)和気藹々とメイク始めている間も(メイクもセルフだよ!)ずっと耳鳴りがしっぱなしでした。
とりあえず最低限、人様に見せる前に、確認だけしておこうと化粧室に行き下着チェックを。最悪なことに上下、白。
白い下着は角度によってはかなりやばい透け方をする。
……詰んだな。
と、人生敗北宣言を「あしたのジョー」のラストシーンみたいに灰に。下着撮影を甘く見ていた私は、半畳ほどの狭いトイレで泣きました。
4)撮影で
最初は着衣のまま。バルーンとかぬいぐるみとか、クッションとかの小道具を渡され、はしゃぐという指示しかなかったので、ガチではしゃいだ。
(賑やかし隊員なので場を作ろうと必死)
もうこのまま脱がんでも撮れ高いったんちゃうん?
とドヤ顔だったけども、ダメでした。
そしてやってきた下着撮影。ガウンぐらいあると思われる方もいるでしょう。
そういうものもございません。全て自前です。その日は夏の撮影で、私は冷房弱者なので、薄手のパーカーを着てきて助かった!
そこだけはグッジョブ俺! でした。
白いパーカーだったのもあって、「撮影中も着てていいよ」とカメラマンさんに言われ、着用が認められた。(ごんぶとの二の腕を隠せという意味と捉えた!)
なぜか、ラメがたくさん入った透明のビーチボールを二人の女子が向き合って押しつぶす様子を撮るという不思議な画角の撮影に、とんでもない時間を使うカメラマンさんだったのもあり、ずっとビーチボールを抱っこした状態でした。
それもかなり強く胸を押しつぶすことを要求されるため、
マンモグラフィーかーい!
と思えるほど、胸が痛かった。
ただ立って全身を撮影されているよりかは、恥ずかしさは減るため小道具という存在は心強かった。ビーチボールくんは、いいこ!
ビーチボールくんは凸凹のクレータームーンくんへ変形しかけ、もういっぱい美女たちと絡んだんで、これで終わりだろ!
汗で下着が溶けそうだから、帰らせてくれ!!
と再びドヤったけれども、ここからが本番でした。
おそらくカメラマンさんは、こちらの緊張を見抜いていて緊張をほぐすためにゆるーい撮影をしてくださったらしく。(ほとんど使われてなかったのに、なぜあれだけの時間をビーチボールにかけたのかわからんが)
事務所推しの美女、アコさん(仮名)と組まされた途端、カメラマンさんもスタッフも本気モード。胸の位置やら腰の位置やら、指先の置き方、髪の毛一本の位置すら完璧に指示される。そしてフリーズ。
呼吸をすると胸がずれてしまうので、息すらしてはならぬ。我れは壁。背景。美女をハグするしか脳の無い背景である。と言い聞かせて耐えて耐え続けました。
おそらく私の職歴に、”壁職人(美女限定)”と書ける。
と思うほど、壁になった。美女との絡みは良き!
その間、事務所のマネージャーさんが、カメラマンさんが撮影しているところを撮影していて、そっちのカメラがどこを撮っているのかわからないので、ある意味そっちのカメラが気になって気が気じゃなくて、滝汗かいた。
後半は、周りのスタッフさんたちの圧迫感が半端なくて、狭い世界に密集してる状況に、もうあったま真っ白になってしまったので、あまり記憶がないのですが、撮影が終わった時には、全身濡れ鼠でした。
どっちにせよ替えの下着は持ってこなくてはならなかったです。
5)アドレスを
撮影が終了し、みんながお着替えやら次の仕事のスケジューリングやらの指示を受けている中、私がしたことは、真っ先にカメラマンさんを捕まえることでした。撮影を避けることはできなくても、完成したデータで避けることはできる!
私に残された方法はこれしかない! そのためにもカメラマンさんがいる間にどうにかしなくては!! この想いを伝えなくては!
秒で着替え、自前の下着なんで!
ペラッペラのワンピース着たら、それで完成するんで!
そしてノーメイクなんで!!(リップはアコ様の撮影の時に塗っていただいた)
で、スタッフと雑談しているカメラマンさんを捕まえ、メアドを書いた大学ノートの切れ端を、差し出した。
公開する前にチェックさせてください!
画像ください!!!
連絡くださーーーーい!!
あの下着では確実に色々見せてはならないものが写っているであろう。
人様に危険なものをお見せしてはいけないので、処理をしっかりとしていただかねばならないであろう。
可能であれば、すっぴんということもすっかり吹き飛んでたので、
毛穴も消して欲しいし、
薄らでいいんで、メイクしてるふうに処理して欲しいんですが!
なんなら、カメラマンさんが画像処理している間、チェックさせていただくことはできないだろうか?
お茶でも掃除でもなんでもするから!
とにかくやばいものは全て滅していただきたい!
一瞬の恥より、一生垂れ流すであろう恥の方が恐怖だから!!
それはもう必死にプレゼンをしました。受け取っていただけなかったら、その人の家までストーカーの如くついて行っていたかもしれません。
そんな思いが溢れすぎていたからか、めちゃめちゃ笑顔で千切れた紙を、受け取ってくださいました。
6)先輩より
急いでロケバスに乗り込んで、(新人のくせに先輩方を待たせるという失態)
遅れた事情を先輩方に説明したら、
「それ、逆ナンでよく使うテクだよ」と、教えてくださった。
カメラマンさんに撮影した画像を送って欲しいから連絡先交換してください。というのは撮影後にごく普通にある逆ナンの光景らしく、それを私はやってのけたらしい。
必死かwww
後日、カメラマンさんが、業務連絡的に公開する画像を送ってきてくださった。連絡が来るまで生きた心地がしなかったので、どうして相手の連絡先を聞かなかったんだろうと。
毎回、目の前のことしか見えていない自分の頭のシンプルさに悔しさを抱きつつも、LINEやインスタではなく、メアドだったから連絡をいただけたのかも? とも。思い返してみると、がっつりイケメンさんでしたので、秒でゴミクズにされなかっただけよかったです。
とてもいい方で、非公開のベストショットをおまけにつけてくださった。
だからカメラマンってモテるんですね!!!
というわけで、私の「人生で初めて逆ナンした話」でした。
図らずも逆ナンしてしまったわけですが、後にも先にもこんなに必死で誰かにメアドを渡す機会は訪れないだろうと思います。
そんな私も年齢を重ね、仕事で異性とも話さなければならないので、話す時には気さくなお姉さんモードのスイッチを押せるようになりました。けれどもそもそもが男性苦手ですし、特に意識している男の人に距離詰められると逃走するぐらいコミュ障の緊張しいなので、自分から話しかけるとか、滝汗ものなのだが……。
ちなみに先輩たちに逆ナンしたことがあるか伺ったところ、異次元美女以外、みなさん経験済みとのこと。綺麗な人たちはいいなと思ったら自分から行くのですね。私はご連絡を頂くまでの間、廃人になることが判明したため、もうないでしょう。逆ナンができるような、そんな堂々たる女性になってみたいものです。
ご清覧ありがとうございました!!!!!
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