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何でもありに読めてしまう文章

 正しいことを言っているんだろうけど、それを言ってしまったらもう何でもありじゃないっすかとなる表現があるんです。言葉って不思議ですね。

 例えば、こんなことがありました。経緯は完全に忘れてしまいましたが、ネットでおならについて調べてたんです。もちろん大人になってからです。当たり前じゃないですか。

 おならと言えば、腸とは密接な関係があります。当然、腸の話がいろいろ出てきました。なぜかは知りませんが、内臓の話をすると必ず病気とからめてくる人がいます。ネットでもそれは同じで、おならについて調べていたはずなのに、気づけば大腸がんの情報を読まされたりするんです。

 とある大腸がんサイトでは、大腸がんの初期症状が箇条書きに書かれていました。これに当てはまれば大腸がんかもしれないというわけですね。ちなみに、1行目には次のようなことが書かれていました。

・おならがくさくなる

 こんな条件を出してしまっては人類の大半が大腸がん認定されると思うんです。

 大真面目にこんなこと書いてどういうつもりなんだと思って詳細を確かめたら、どうも大腸がんの人は大腸がん独特のにおいがするおならを出すらしく、そのおならが悪臭なんだそうです。

 別に大腸がんのおならが臭いことを疑ってはいませんけれども、まるで普段のおならはいい香りであるかのようか書き方になっているから妙なツッコミを誘う文章になるわけです。簡潔に書くことは割とポジティブな意味にとらえがちですけれども、これは簡潔に書きすぎて本来伝えたいものが伝わらなくなってしまっています。

 他にも、こんなことがありました。ある年の冬は例年に比べてやたらと寒かったんです。もう「やる気あんのか地球温暖化」と言って空を睨みたくなるような寒さです。

 なんでこんなに寒いのか。ネットで調べたらいろんな方々がいろんな説を上げてました。どの説が正しいのか判断できる知性に欠けている私は「そんなもんなんすかねえ」とぼんやり記事を眺めていたのですが、あるサイトでこんな一文が書かれていました。

地球温暖化により今冬は極端な寒冷化が起こった。

 「温暖」と「寒冷」の意味が分かってる人の文章とはとても思いませんでした。「地球温暖化のせいで地球が寒冷化している」なんて主張がまかり通ったら何でも地球温暖化のせいにできるじゃないですか。泥酔した専門家の書いた文章を編集者がロクに校正せずにネットへアップした記事だと言われても信じてしまいそうな、衝撃的な一文でした。

 これも記事をちゃんと読めばどうしてこんな文章を書いたのかの意味が何となく分かりました。温室効果ガスにより地球が温暖化した影響で大気の動きがあんなことやこんなことになり、特定の地域にだけ寒気が集まってしまったようなんです。

 だったらせめて「特定の地域にだけ」という言葉をつければいいのに、どうして省略してしまったのか。大事な部分を書かなかったがために、ものすごい暴論のようになってしまいました。

 出典はありませんので嘘と思われても構いませんし、むしろ嘘であってほしいと思っています。

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