見出し画像

自分の名前が何となくしっくりこない人へ


 子供の頃、本名の苗字が当時のプロ野球監督と同じだったため、野球好きの少年から時々いじられていました。ダジャレとしてもそこそこ使い勝手がよかったため、ダジャレいじりもされていました。

 下の名前は下の名前で、ちょっと変わってるんだけど物凄く変というわけでもない、微妙な位置にある感じでした。こちらもこちらでダジャレとして再利用しやすい素材でできていたため、苗字と合わせてダジャレいじりされたこともあります。

 誰にも言いませんでしたが、変な名前になったものだと思っていました。周囲からちょっと浮いている気がした。もっといい名前があったろうに、と残念がったこともあります。ビートたけしさんとか明石家さんまさんよりはいいか、と自分を慰めた時もあります。世の中には芸名というものがある。それを知るのは、もう少し後の話です。

 変化が訪れたのは中学生の頃です。下の名前が私と同じ、そんな俳優が世に出てきました。イケメンですが、三枚目もいける。非常にいいポジションの役者でした。彼が活躍するたび、私の名前にイケメンのイメージがつくようになりました。

 二度目の変化はスッカリ大人になってからの話です。歌もできて役者もできる人気者が芸能界に颯爽と現れまして、彼は私と同じ苗字でした。途端に私の苗字は監督っぽさが薄れ、人気者の苗字になりました。

 私は何もしていないのに、有名人がふたり世に現れただけで、私の名前は随分と印象が良くなってしまいました。実際、名乗ったら「バンドのボーカルみたいな名前ですね」という、よく分からない褒め方をされたこともあります。ダジャレからのダジャレ、みたいな感じで名前をいじられてきた少年時代の私が聞いたら、違う世界の話に聞こえたでしょう。

 大人になれば自分の名前と折り合いをつけられるようになりますし、他人の名前をダジャレでいじるような人も必然的に減ってきます。それに加えて、自分の名前のイメージが勝手に良くなる場合もある。そこまでヤバいわけじゃないけど、自分の名前に微妙な印象を抱いている人がいるならば、とりあえず待ってみるのもひとつの手だと私は思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?