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維持の難しさと養生テープ


 変化を続けるのは大変ですが、同じ状態を維持し続けるのもまた大変です。

 例えば皆さんご存じ大地です。地面なんてずっと同じに思えますが、ものすごく長い時間をかけてゆっくりと変化しています。特に日本は地球の表面を覆う「プレート」の境目が集中している場所として知られます。プレート同士はゆっくりと確実に動き、隣のプレートとせめぎ合って地震や噴火が起きる。世界的に見ても不安定な大地と言えるかもしれません。

 現在確認されている国内最古の地層は5億3300万年前のものだそうです。いろいろとどうでもよくなるくらい昔ですが、地球の年齢である約46億年と比べるとかなり最近です。つまり、私たちが踏み締めている大地は数億年前には違うものでしたし、数億年後にはまた違うものになっているかもしれない。

 ちなみに地球最古の大地は44億年前のものだそうで、オーストラリアに存在するとのこと。文字通り桁が違います。このことからも日本の大地の不安定さがうかがえます。

 変化も大変だが維持も大変。当然、大地に限った話ではありません。

 数年前、関東に強力な台風が来るという予報が発表されました。該当地域の人々は慌てふためき、気象庁やマスコミ、ネットの有志などが対策を独自に発表していきます。

 対策のひとつとして注目されたのが窓に養生テープを貼るというものでした。台風による被害でよくあるもののひとつとして、暴風で飛ばされたものによる窓ガラスの破損がございます。窓ガラスの耐久性を上げ、仮に割れても室内へ破片が飛び散りにくくする措置として養生テープを活用する。雨戸のない窓で主に用いられる対策だったと記憶しています。

 誰でも簡単にできる対策だったためか、台風が通り過ぎた翌日、養生テープを貼られた窓があちらこちらで見られました。しっかり台風対策をし、無事に済んだのでしょう。数日もすると、あの窓もこの窓も養生テープがはがされ、いつもの姿に戻りました。

 あれから数年経ちました。私の生活圏に養生テープ貼りっぱなしの窓があと4枚あります。そのうち2枚は明らかに物置っぽい建物で、1枚は普通の民家、残り1枚はマンションの一室です。

 物置ならば「まあ貼りっぱなしでもいいか」となる気持ちは理解できます。窓の重要性も居室より低いでしょうし、何なら次の台風への備えにもなる。民家の1枚は家主がだらしないのか、はたまた忘れんぼさんなのか。家の中ではあまり重要でない窓と判断され、「じゃあ次の台風が来た時の備えにしとくか」という物置理論が発動したのかもしれません。

 マンションの一室に関しては更に意味不明です。逆にどうしてはがさずにいられるのか。しかも、養生テープが貼られた窓は1枚だけなのです。住民が奇跡的にだらしなくて、台風が来るからとビビッて1枚だけ養生テープで強化するも面倒臭くなってやめてしまい、台風が過ぎてもはがすのが面倒になっているのかもしれません。

 不必要とか面倒とか、何かと理由をつけてはがす手間を惜しみ続けた結果、4枚の窓ガラスには養生テープが残り続けています。だらしなさに日々エネルギーを割き、継続してきたからこその記録です。今後も義務感や他人の目が家主のだらしなさを打ち砕き、養生テープに手をかけられる危機が訪れるかもしれません。しかし、真面目な連中の甘言に打ち勝ち、是非とも養生テープ継続記録を更新していって欲しい。そう切に願わずにはいられません。

 自分でも訳の分からないことを書いているなあと思っているので大丈夫です。ご安心を。

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