うっかりへそを出してしまっていたのかもしれない

　夏です。暑いです。そのせいか、ショート丈のトップスを着ている女性をチラホラ見かけるんです。ショート丈ということは、要は「へそ出し」というやつですね。そういう格好を着ている人は往々にして、ずっとお腹に力を入れているとしか思えないくらい、腹が引っ込んでるんです。日ごろの摂生の賜物なのでしょう。

　涼しそうな格好だと思うんです。でも、なぜだか知りませんが男の人がやると様にならない。先入観のせいでしょうか。どれだけ腹をへこませ、へそ周りの毛を処理したとしても、ショート丈トップスの男の人を見るとまず思い浮かぶ感想はきっと「服のサイズを派手に間違えてるぞあの人」だと思うんです。女性の服装はバリエーションが多いと常々思っておりましたが、男性は満足にへそも出せませんか。出せるのは上半身裸になっても違和感ない場所だけですか。

　ショート丈トップスを見てるうちに、へそを出したい人みたいな主張をしてしまいましたが、特にそんなことはありません。ただ、どれだけ涼しいのか気にはなります。あとは、冷房がきつい場所だと逆にお腹を冷やしてしまわないのかとか。

　そんなある日も、汗をダラダラかきながら酷暑の路上をゾンビのように歩いております私の脇を、ショート丈トップスの女性が颯爽と自転車で走り抜けてゆきました。

　夏とは言え自転車で走ると腹回りが涼しそうだなあ、などと羨ましがりながら女性の背中をぼんやり眺めていたのですが、徐々に小さくなってゆく女性がしきりにトップスの裾をつまんでは下に引っ張るんです。まるで、あらわになっている腰回りを隠そうとしているかのような仕草ではありますが、何しろショート丈ですから、いくらやっても腰回りはあらわなままです。

　あの女性だけはマジで服のサイズを派手に間違えたのかもしれません。