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白眉と伯楽と唐辛子

 京都大学に「白眉センター」というものがあると知りました。優秀な若手研究者を支援する「白眉プロジェクト」を円滑に行うため設置されたんだそうです。研究分野問わず、優秀な研究者を募り、こうしている間にも着々と支援が続けられているようです。

 白眉をそのまま持ってくるとは、随分とチャレンジングな名前だと思ったんです。「白眉センター」は言い換えれば「ド天才センター」みたいな意味になるわけで、自身を大いに褒め称えてるように受け取られかねない。名づけられた瞬間からハードルが全自動かつ急加速で上がっていくようなもので、「偉そうな名前しやがって」と思われるリスクと常に隣り合わせというか、もうリスクをガッチリ抱えているレベルです。これは言い換えれば、命名者はもちろんのこと、そこにかかわる人の覚悟がうかがえる名前です。

 ちなみに支援する研究者を決める会議は「伯楽会議」と呼ばれ呼ばれているようです。「伯楽会議」はつまり「超絶名コーチ会議」というような意味でありまして、これまたチャレンジングな名前なんですが、さすがにチャレンジングがふたつ並ぶと、なんか「楽しんでる感」がするんです。「名前でちょっと洒落たことしちゃいましょうよ先生」感と申しますか。

 そう言えば、意味を知るとだいぶ印象が変わる名前はボチボチあるものです。例えば「とうがらし探偵団」という児童文学作品があります。著者は那須正幹さんで、代表作「ズッコケ三人組」で知られる方です。

 「とうがらし探偵団」の何がとうがらしなのか、という話なんです。「とうがらし」とは主人公である少年のあだ名なんですが、大抵の少年は股間に出っ張りがありますね。その出っ張り部分が唐辛子に似てるからというのが、あだ名の由来なんです。

 そんな由来のあだ名を受け入れ、なおかつ団体名にまで採用するなんて、主人公の少年はどれだけ豪快な性格なのでしょうか。何なら出っ張り部分をあちらこちらに見せて回りそうな、そんな器のデカさを感じさせます。

 だからって白眉や伯楽に関連して思い出すなよって話ですよね。失礼しました。


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