お笑いグループは何年くらいで解散しているのか軽く調べました
お笑い芸人は複数人のグループを組んでいることが多いです。最も多い形態はコンビで、ギリギリ複数形、ギリギリグループといった状態です。
ギリギリでも複数は複数であり、グループでございますから、当然ながら解散することがあります。もちろんファンは「もっとやれたのに」と早すぎる解散を悲しみます。
しかし、ふと思ったんです。お笑い芸人は結成からどれくらいで解散するのかと。最短はともかく、最長の解散は結成から何年か。解散するまでの平均年はどうなのか。気になったので調べてみました。
とは言え、全芸人の解散をチェックするのは不可能です。そのため、一部分だけを抽出して調べる方法を取りました。いわゆる「サンプリング」というやつですね。具体的にはウィキペディアの「解散したお笑いグループ一覧」に載っているグループのうち、結成年と解散年が書かれているもののみを選びました。
より細かなルールは以下の通りです。
****
・結成年と解散年がハッキリしない組は除外する
・解散後に再結成し、現在も活動している組は除外する
・再結成後に再解散した場合は、活動期間から休止期間を除外する
ただし、休止期間が1年未満はカウントしない
・解散後の「一日限りの復活」は再結成にカウントしない
・3人以上のグループから脱退者が出た場合は解散とみなさない
ただし、脱退をきっかけにグループ名が変わった場合は解散扱いとする
・コンビからひとり抜け、グループ名を残してピン芸人になった場合は解散したとみなす
・現在、活動休止をしている組は除外する
・相方が次々と変わっているコンビは最後の相方との活動期間をカウントする
****
ややこしいことになっていますが、一言で解散と言ってもそれだけ様々なパターンがあるわけでございます。上記のルールが解散の正しい定義に沿っているのかは不明ですが、少なくとも派手に間違えてはいないと思いますので、このような形でどの組が活動何年で解散したかをカウントしました。上記ルールにより730組のデータが集まりました。
もちろん、ウィキペディアに載っている芸人に限定しています。ウィキペディアに載っている芸人は、そうでない芸人に比べてどのような傾向があるのでしょうか。軽く推測してみました。
あまり芸人としての活動が客観的に認められないうちからその芸人の項目をウィキペディアに作ることは、ウィキペディアのルールとしては好ましくないようですが、見た限りそのような芸人は少数なため、データ全体に及ぼす影響は小さいと思われます。なので、メジャー・マイナー問わず片っ端から調べました。
それでは、早速、結果をご紹介いたします。まずは結成から何年で解散しているかをグラフにしました。
全体の平均値は8.8年、中央値は7年でした。
最も多かったのは結成から5年での解散で、82組いました。基本的にはそこをピークとして、年数が長くなるにしたがって組数が減ってゆきます。
しかし、このグラフは先ほども申し上げました通り、基本的にはある程度の知名度がある芸人の解散しか扱っておりません。そのため、実際は、結成から5年未満の解散は5年よりも多いと考えられます。世間に知られぬまま解散したため、ウィキペディアに載らなかったわけです。
プロの芸人ですから、結成した次の日に解散なんてことはほとんどないと思います。なので、実際は結成から1年~2年くらいのところにピークができるのではないかと考えられます。
結成から解散までの期間が24年以上の芸人は、いても1組2組の次元になっています。ここまできますと、相方との死別による解散が大半を占めます。
ちなみに最長記録は「海原お浜・小浜」の61年でした。結成は1933年で、1994年にお浜さん死去のため解散しております。叔母と姪のコンビでございまして、小浜さんの孫には「海原やすよ・ともこ」のおふたりがいらっしゃいます。
ちなみに「累積構成比」というやつも調べました。活動期間何年の組が全体の何パーセントかを調べて、1年から61年まで順番に積み重ねていくグラフです。つまり、61年を積み重ねたところで100%になるわけですね。
実際にグラフを見た方が分かりやすいと思いますので、ご覧くださいませ。
グラフによりますと、7年以内に解散している組が全体の52.6%、16年以内に解散している組が全体の90.6%、21年以内に解散している組が全体の95.4%となっています。比較的知名度の高い芸人の解散を集めたデータでこの状況ですので、実際はもっと活動年数の短い組の割合が高くなっていると推測されます。
ところで、最長記録の海原お浜・小浜は結成が1933年で、今回取り上げた芸人の中では圧倒的にベテランです。1933年はヒトラーがドイツの首相になったり、小林多喜二が逮捕されたりしているような時代です。すごすぎて想像がつきません。
では、今回調べた芸人は、何年に結成された組が多いでしょうか。グラフにまとめてみました。
当然ながら、最近のほうが多い傾向にあります。ただし、あまりに最近過ぎると、そもそも知名度の高い芸人が少ないためか、最も多いのは2007年となっています。
正確さに欠けるとは言え、このグラフは芸人の数をある程度は示していると思います。昔はマイナーな職業だったお笑い芸人ですが、1980年頃にツービートなどの漫才師が台頭、漫才ブームとなります。同じころ、今でに老舗のお笑い芸人養成所として知られるNSCが登場し、師匠を持たない芸人が多数輩出されるようになります。それから少し遅れて、解散する芸人の数も増えているのがグラフから見て取れます。2000年代には過去最大級のお笑いブームが到来て芸人の数は激増、やはりそこから少し遅れる形で解散芸人のピークを迎えています。
では、同じ結成年のお笑いグループは、平均どれくらい活動していたのでしょうか。これもグラフにしてみました。
オレンジの線が平均値で、青い線が理論上の最高値です。つまり、今年は2024年ですから、2010年結成のグループは活動期間が最高で14年になるわけです。その理論上の最高値を青い線で結んでいます。だから、オレンジの線は青い線より上にはいかないわけです。
オレンジの線を見ると、昔になるにしたがってギザギザが激しくなっています。これは、そもそもこの時期に結成した組が少ないため、1組でも活動期間が長いグループがいると、平均値が大きく変動してしまうのです。その極端な例が1933年に結成した、活動期間61年の例の大ベテランです。
逆に最近の組になるほど数が増え、平均値が安定してきます。なので、比較的最近に結成された組、具体的には1982年以降のデータだけ拡大してみたほうが、より現実に即した結果が見られるでしょう。
というわけで、拡大してみました。
ついでに先ほどのグラフに、最高値と最低値も加えてみました。灰色の線の最低値は同じ結成年の中で活動期間が最も短い組の値、黄色い線の最高値は活動期間が最も長い組の値を記しています。
最近の結成になるほど、最高値は理論上の最高値に近づき、逆に最低値はより低くなっています。これは、最近になるほどお笑い芸人の数が増えたことに加え、お笑いに注目する人の数が増え、更にインターネットが広く使われるようになったため、より多くの芸人がウィキペディアに記録されるようになったことを示しているものと考えられます。
また、平均値は年代が過去になるにしたがって増える傾向にありますけれども、2000年以前になりますと、やや横ばいになっているように見えます。これは、先ほども書きました通り、結成から24年以上経って解散する組がほとんどいないと申しますか、そもそも同じグループで24年も活動できる組が少ないため、もはや平均値が変化しづらいのではないかと推測できます。
今回の調査は以上となります。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?