M-1グランプリ2021の決勝進出者が決まりました。吉本以外の組がここ5年では最も多いというニュースが出ています。
このニュースを見て私、ここ5年と言わずそれ以前の割合も気になりました。しかし、検索の仕方が悪いのか、まとめてあるサイトが見つかりません。よって、自分で作ることにしました。
M-1グランプリが始まった2001年から結果が確定している2020年までの、吉本以外の決勝進出組数とその割合を調べてみました。M-1休止期間である2011年から2014年までは、若干ルールは異なりますがM-1に近い漫才大会「THE MANZAI」の記録で補完してあります。割合は小数点第2位を四捨五入しました。以下、全ての名前は敬称略です。
ザッと見た感じ、吉本勢が概ね優勢ではありつつも、半分近くが吉本以外の年もちょこちょこあるようです。今年が多いからと言って、吉本以外の芸人が勢いづいてきたとは簡単に結論付けられないとも言えます。
決勝だけでも吉本芸人は優勢ですが、優勝となると更に長らく吉本芸人が優勢です。吉本以外の組が優勝したのはTHE MANZAIも入れると2012年のハマカーンが最後、M-1に限定すると2007年のサンドウィッチマンにまでさかのぼります。以下のように優勝に絡むトップ3だけに限定しても吉本優勢の傾向は顕著です。
では、他の大規模賞レースはどうでしょうか。R-1ぐらんぷり、キングオブコント、THE Wでも同じように調べてみました。歴史の長い順に決勝全体とトップ3(または最終決戦出場組)の組数と割合を紹介します。いずれも優勝者が確定している大会のみ調べました。
まずはR-1ぐらんぷりです。
続いてキングオブコントです。
最後にTHE Wです。
どうでしょうか。どの大会もM-1よりは吉本以外の活躍が増えているようには見えますが、大半が吉本の年もある。もう少し分析した方が良さそうです。
とりあえず、簡単なデータを大会ごとに比較してみました。具体的には平均値と中央値ですね。全決勝進出者だけ計算してみます。
平均値と中央値の数が近いので、どのデータも平均値を中心にまとまっていると思われます。それにしても、かなりハッキリと差が出ましたね。THE Wは歴史が浅いこともあり、今後の状況次第で大きく数値が変わりそうですが、事実としてM-1は他の大規模賞レースよりも吉本以外の組が決勝に進出しづらいと、数字に表れています。
どうやらM-1を中心に大規模賞レースで吉本芸人が多いという点はお笑いに詳しい方を中心に以前から語られていたようです。大会主催企業に吉本興業が入っていることから、公平性を疑問視する意見も軽く検索すれば出てきます。
例えば、簡単に調査したところ、M-1の審査員は多くの場合、半数程度が吉本所属です。具体的には平均値が44.6%、中央値は42.9%となっています。ただし、出場者に比べて大きく偏りにくい傾向にあり、多くは全7人中3~4人という形をとっています。
公平性については何とも言えない点が多いです。審査が平等でないと主張したところで明確な根拠を示すのは大変に難しいでしょう。擁護側についても同様です。きちんと努力した人が勝っているだけ。みんなちゃんと審査している。そう心から思ったところで実際問題として、今回はたまたま吉本芸人がウケたからと決勝進出者が全員吉本芸人だった場合、平等に審査した結果だったとしても不平等に見られる可能性は充分にございます。
比較的明確に言える点としては所属芸人の数が言えるでしょう。入れ替わりの激しい業界のためか明確な人数を示すデータは見つかりませんが、例えば吉本興業は所属芸人が一説には約6000人いるとされます。それ以外の事務所は多くても一社で200組程度を抱えるのがせいぜいで、小さな事務所ならば数組というところもございます。文字通り規模が桁違いです。全ての芸人が賞レースに出ているわけではないとは言え、吉本芸人の割合が高くなってしまうのは当然と言えば当然の状況となっています。
とりあえず、数字上はこうなってますよ、ということが簡単にではありますけれども示せたと思います。それでは今回はこの辺りで失礼します。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。