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本当の意味での「コロンブスの卵」

 「宇宙は謎に満ちている」なんて地球はもう完全に調べつくしたかのような言葉がありますけれども、当然ながら地球にもまだ謎がたくさん残されています。例えば、生物の新種は現在でも毎年のように発表されています。小さい虫はもちろん、たまにそこそこでかい哺乳類が新種登録されることもあるようです。

 という話を友人にしたら、「新種のバクを発見したら大和田獏と名付けたい」とか、意味不明な欲望を口にするんです。発想はいたずら好きの5歳児レベルなんですが、ネーミングセンスは酸いも甘いも嚙み分けた大人というミスマッチもよく分かりません。

 それ以上に驚いたのがこの友人、常日頃からそんなことばかり考えているらしく、先日はこんなことを言っていました。

「『コロンブスの卵』はコロンブスが生まれた卵に聞こえないか?」

 最初は「また5歳児なことを言ってる」と思ったんですが、よくよく考えれば分からないでもありません。我々は「コロンブスの卵」は「素晴らしい発見は一度見つかってしまえば後続の者がやるのは簡単だ」というような意味の慣用句として認識しますけれども、そんな慣用句を教えられてこなかった人が聞けば「コロンブスの卵」は「コロンブスが生まれた卵」または「コロンブスが産んだ卵」なわけです。歴史上の人物が卵生の生物と間違われる危険性がある。それが「コロンブスの卵」なんです。

 こんな友人と長年付き合っているわけですから、私の精神年齢もなかなかの5歳児だと自負しております。だから、生物学者に大和田さんという方がいらっしゃったら全人生をかけてでも新種のバクを発見してオオワダバクと名付けてほしいですし、コロンブスが卵生生物だと誤解される世の中もなんかいいかなと思えてきてしまうんです。

 大和田獏とコロンブスならば、コロンブスの方が実は現実的です。卵生、つまり卵から生まれるタイプの新種を見つけ、それにコロンブスと名付ければいい。あとはそれをいろんな人にいじってもらい、興味を持ってもらううち、本家「コロンブスの卵」を乗っ取ってやればいいんです。

 我こそは5歳児な生物学者だという方に望みを託したいと思っています。

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