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芸歴10年ルールが制定される以前のR-1グランプリ決勝は、芸歴何年の人が出ていたのか

 今年もR-1グランプリの決勝進出者が決定しました。

 R-1グランプリは昨年、突如として参加資格に芸歴10年以内という制限を設け、ベテラン芸人を中心に困惑させたとされています。

 その良し悪しはともかくとして、では2020年までのR-1決勝進出者は芸歴がどれくらいだったのか。私、気になってしまいました。誰かが調べてくれればこんな楽なことはないのですが、世の中は甘くはありません。というわけで、軽く調べてみました。

 ただし、この芸歴というものがなかなか難しい。養成所にいた時期は芸歴に含めるのか、事務所に所属する前の時期は芸歴に含めるのか、芸人を休んでいた時期は芸歴に含めるのか、などなど、人によってカウントの仕方が異なっているんです。そのため、同じ年に養成所へ入ったにもかかわらず、芸歴が1年違うなんてこともありますし、中にはそもそも芸人として活動を開始した時期すらぼんやりしている人もいる。芸歴を誤魔化してるんじゃないかと他の芸人からいじられてる人もいるようです。

 なんか思わぬところから芸歴で区切る危うさが出てしまいましたが、とりあえずはざっと記録が集まればいいやと割り切り、ネットから集めた情報を使うことにしました。1年程度の誤差は時々、2年程度の誤差はたまに、それ以上の誤差も稀にあると思いますが、あくまで参考程度にご覧くださればと思います。ちなみに、途中でお笑いを離れた時期がある場合は、その分をマイナスしてあります。

1.決勝進出者の芸歴

 まずは2020年までの決勝に出場した全芸人の、出場当時の芸歴を調べました。出場芸人における芸歴の平均は小数第2位を四捨五入しています。各芸人は敬称略となっております。

 では、2002年から2020年まで一気に参ります。

第1回(2002年)
だいたひかる(4年目)
浅越ゴエ(7年目)
オール阪神(27年目)
桂三若(8年目)
ケンドーコバヤシ(10年目)
笑福亭三喬(19年目)※現・笑福亭松喬
陣内智則(9年目)
友近(2年目)
中田なおき(14年目)※現・なおき
パペットマペット(4年目)
水玉れっぷう隊 アキ(10年目)
南野やじ(5年目)

平均:9.9年
第2回(2004年)
浅越ゴエ(8年目)
ネゴシックス(3年目)
あべこうじ(7年目)
陣内智則(10年目)
友近(3年目)
ヒロシ(9年目)
南野やじ(6年目)
ヤナギブソン(7年目)

平均:6.6年
第3回(2005年)
ほっしゃん。(15年目)※現・星田英利
井上マー(8年目)
あべこうじ(8年目)
友近(4年目)
ネゴシックス(4年目)
ヒロシ(10年目)
中山功太(3年目)
長州小力(17年目)

平均:8.6年
第4回(2006年)
博多華丸(16年目)
あべこうじ(9年目)
浅越ゴエ(10年目)
バカリズム(11年目)
岸学(5年目)
友近(5年目)
中山功太(4年目)
キャプテン☆ボンバー(6年目)※別名・なかやまきんに君

平均:8.3年
第5回(2007年)
なだぎ武(18年目)
徳井義実(12年目)
バカリズム(12年目)
土肥ポン太(14年目)
友近(6年目)
やまもとまさみ(8年目)
ウメ(5年目)
大輪教授(9年目)

平均:10.5年
第6回(2008年)
なだぎ武(19年目)
芋洗坂係長(20年目)
世界のナベアツ(17年目)※現・桂三度
中山功太(6年目)
あべこうじ(11年目)
鳥居みゆき(7年目)
土肥ポン太(15年目)
COWCOW山田よし(15年目)※現・COWCOW善し

平均:12.5年
第7回(2009年)
中山功太(7年目)
エハラマサヒロ(8年目)
バカリズム(14年目)
COWCOW山田與志(16年目)※現・COWCOW善し
あべこうじ(12年目)
サイクロンZ(11年目)
鬼頭真也(夜ふかしの会)(8年目)
鳥居みゆき(8年目)
岸学(8年目)
夙川アトム(10年目)

平均:10.2年
第8回(2010年)
あべこうじ(13年目)
エハラマサヒロ(9年目)
なだぎ武(21年目)
川島明(13年目)
いとうあさこ(13年目)
Gたかし(5年目)
バカリズム(15年目)
我人祥太(5年目)
COWCOW山田與志(17年目)※現・COWCOW善し

平均:12.3年
第9回(2011年)
佐久間一行(13年目)
AMEMIYA(7年目)
COWCOW山田與志(18年目)※現・COWCOW善し
スリムクラブ真栄田(13年目)
キャプテン渡辺(15年目)
バッファロー吾郎 木村(22年目)
ヒューマン中村(8年目)
ナオユキ(21年目)

平均:14.6年
第10回(2012年)
COWCOW 多田(19年目)
スギちゃん(18年目)
徳井義実(17年目)
ヒューマン中村(9年目)
友近(11年目)
サイクロンZ(14年目)
AMEMIYA(8年目)
いなだなおき(アインシュタイン)(6年目)
千鳥 大悟(14年目)
ヤナギブソン(15年目)
野生爆弾 川島(18年目)※現・くっきー!
キャプテン渡辺(16年目)

平均:13.8年
第11回(2013年)
三浦マイルド(11年目)
アンドーひであき(1年目)
ヒューマン中村(10年目)
田上よしえ(15年目)
ヤナギブソン(16年目)
スギちゃん(19年目)
岸学(12年目)
桂三度(22年目)
キンタロー。(1年目)
雷ジャクソン高本(7年目)
プラスマイナス岩橋(10年目)
三遊亭こうもり(14年目)※現・三遊亭とむ

平均:11.5年
第12回(2014年)
やまもとまさみ(15年目)
馬と魚(3年目)※現・トニーフランク
レイザーラモンRG(17年目)
ヒューマン中村(11年目)
中山女子短期大学(8年目)
バイク川崎バイク(10年目)
おぐ(17年目)
スギちゃん(20年目)
小森園ひろし(7年目)
TAIGA(15年目)
じゅんいちダビッドソン(17年目)
ミヤシタガク(11年目)

平均:12.6年
第13回(2015年)
じゅんいちダビッドソン(18年目)
マツモトクラブ(4年目)
ゆりやんレトリィバァ(2年目)
とにかく明るい安村(15年目)
やまもとまさみ(16年目)
エハラマサヒロ(14年目)
ヒューマン中村(12年目)
COWCOW善し(22年目)
厚切りジェイソン(1年目)
アジアン馬場園(17年目)※現・馬場園梓
あばれる君(6年目)
NON STYLE石田(15年目)

平均:11.8年
第14回(2016年)
ハリウッドザコシショウ(23年目)
小島よしお(15年目)
ゆりやんレトリィバァ(3年目)
エハラマサヒロ(15年目)
厚切りジェイソン(2年目)
横澤夏子(7年目)
とにかく明るい安村(16年目)
マツモトクラブ(5年目)
シャンプーハットこいで(22年目)
おいでやす小田(15年目)
ルシファー吉岡(8年目)
サンシャイン池崎(11年目)

平均:11.8年
第15回(2017年)
アキラ100%(12年目)
サンシャイン池崎(12年目)
石出奈々子(8年目)
三浦マイルド(15年目)
おいでやす小田(16年目)
ゆりやんレトリィバァ(4年目)
ルシファー吉岡(9年目)
ブルゾンちえみ(2年目)※現・藤原史織
横澤夏子(8年目)
レイザーラモンRG(20年目)
マツモトクラブ(6年目)
紺野ぶるま(8年目)

平均:10.0年
第16回(2018年)
濱田祐太郎(5年目)
ゆりやんレトリィバァ(5年目)
おぐ(21年目)
チョコレートプラネット長田(12年目)
マツモトクラブ(7年目)
おいでやす小田(17年目)
霜降り明星 粗品(7年目)
カニササレアヤコ(5年目)
霜降り明星 せいや(5年目)
ルシファー吉岡(10年目)
河邑ミク(4年目)
紺野ぶるま(9年目)

平均:8.9年
第17回(2019年)
霜降り明星 粗品(8年目)
セルライトスパ 大須賀(10年目)
だーりんず 松本りんす(20年目)
こがけん(12年目)
おいでやす小田(18年目)
三浦マイルド(17年目)
マツモトクラブ(8年目)
河邑ミク(5年目)
チョコレートプラネット松尾(13年目)
ルシファー吉岡(11年目)
岡野陽一(10年目)
クロスバー直撃 前野悠介(16年目)

平均:12.3年
第18回(2020年)
マヂカルラブリー 野田クリスタル(18年目)
大谷健太(15年目)
すゑひろがりず南條(14年目)
SAKURAI(21年目)
パーパーほしのディスコ(10年目)
ワタリ119(4年目)
ななまがり森下(14年目)
おいでやす小田(19年目)
守屋日和(16年目)
ルシファー吉岡(12年目)
メルヘン須長(12年目)
ヒューマン中村(17年目)

平均:14.3年

 こうやって見てみると、確かに芸歴15年以上のベテラン勢が多いものの、意外と芸歴10年以内の人もいるように思えます。実際のところはどうなのでしょうか。

2.簡単な分析

 ただ単に数字を見たところでよく分かりませんので、簡単な分析だけしてみたいと思います。

 まず、2020年までの決勝に出た全芸人のうち、芸歴何年がどれくらいいるのかをまとめました。

1年目:3人 2年目:4人 3年目:5人 4年目:9人 5年目:12人 6年目:7人 7年目:11人 8年目:18人 9年目:8人 10年目:13人 11年目:9人 12年目:11人 13年目:6人 14年目:9人 15年目:16人 16年目:9人 17年目:11人 18年目:7人 19年目:6人 20年目:4人 21年目:4人 22年目:4人 23年目:1人 24年目:0人 25年目:0人 26年目:0人 27年目:1人
合計:188人

 意外と芸歴10年以内の芸人もいた印象です。調べたところ、10年以内の芸人は77人、割合でいうと約41%でした。

 続いて、平均値と中央値、それから最頻値を出してみました。

平均値=11.4年
中央値=11年
最頻値=8年

 平均値は11年を超えています。また、芸歴1年から27年まで並べると、ちょうど真ん中に来る人は11年でした。意外にも最も多い芸歴は8年と、10年を切っています。

 せっかくなのでグラフにもしてみました。縦軸が人数、横軸が芸歴を表しています。

スクリーンショット (5)

 こうしてみると、8年目と15年目の2か所にピークがあるように見えます。行ける人は1年目でも行けるし、20年を超えるベテランでも行ける。2020年までのR-1グランプリはそういう大会だったようです。

 ちなみに、各大会における決勝進出者の平均芸歴を並べるとこんな感じになります。

2002年(第1回):9.9年
2004年(第2回):6.6年
2005年(第3回):8.6年
2006年(第4回):8.3年
2007年(第5回):10.5年
2008年(第6回):12.5年
2009年(第7回):10.2年
2010年(第8回):12.3年
2011年(第9回):14.6年
2012年(第10回):13.8年
2013年(第11回):11.5年
2014年(第12回):12.6年
2015年(第13回):11.8年
2016年(第14回):11.8年
2017年(第15回):10.0年
2018年(第16回):8.9年
2019年(第17回):12.3年
2020年(第18回):14.3年

 全体の平均が11.4年ですから、当然ながら10年越えが多いです。ただ、10年を切っている年もあります。

 こちらもせっかくなのでグラフにしてみました。横軸は第何回の大会かを表し、縦軸はその大会における決勝進出者の平均芸歴を表しています。

スクリーンショット (6)

 最近になるにしたがって何となく平均芸歴が上がっているようにも見えます。高齢化が問題視されている日本において、お笑い界隈もまた高齢化が指摘されています。実際に「芸人 高齢化」で検索すると記事がチラホラ出ており、R-1の結果を見てもそれが何となくうかがえます。

 ちなみに、2021年の決勝も調べています。

第19回(2021年)
ゆりやんレトリィバァ(8年目)
ZAZY(9年目)
かが屋 賀屋(6年目)
高田ぽる子(2年目)
森本サイダー(8年目)
kento fukaya(9年目)
土屋(7年目)
吉住(6年目)
マツモトクラブ(10年目)
寺田寛明(7年目)

平均:7.2年

 当然ながら平均は下がりました。しかし、やはり芸歴の長さは有利に働くのか平均値は7.3年、中央値は7.5年となっています。

 いずれにしろ、R-1グランプリの決勝は平均すると、6割程度のベテランに4割程度の若手が挑みかかる構図のようです。意外と若手もがんばってるじゃないか、と思ったのですが、なんか気になって優勝者の芸歴だけ抜粋してみました。

第1回(2002年):だいたひかる(4年目)
第2回(2004年):浅越ゴエ(8年目)
第3回(2005年):ほっしゃん。(15年目)※現・星田英利
第4回(2006年):博多華丸(16年目)
第5回(2007年):なだぎ武(18年目)
第6回(2008年):なだぎ武(19年目)
第7回(2009年):中山功太(7年目)
第8回(2010年):あべこうじ(13年目)
第9回(2011年):佐久間一行(13年目)
第10回(2012年):COWCOW 多田(19年目)
第11回(2013年):三浦マイルド(11年目)
第12回(2014年):やまもとまさみ(15年目)
第13回(2015年):じゅんいちダビッドソン(18年目)
第14回(2016年):ハリウッドザコシショウ(23年目)
第15回(2017年):アキラ100%(12年目)
第16回(2018年):濱田祐太郎(5年目)
第17回(2019年):霜降り明星 粗品(8年目)
第18回(2020年):マヂカルラブリー 野田クリスタル(18年目)

 グッとベテランが増えてきました。芸歴10年未満の芸人は5人、割合は27.8%です。優勝者の平均芸歴は13.4年、中央値は14年でした。ちなみに2021年優勝者のゆりやんレトリィバァさんは当時芸歴8年目です。

3.まとめ

 芸歴制限がなかった頃のR-1グランプリは、芸歴10年以下の芸人が4割程度とそこそこいたものの、優勝者となりますとベテランのほうがかなり優勢になるようです。芸歴10年以下に制限をかけた場合、恐らくは芸歴10年に近い芸人が比較的よく活躍していくものと思われます。

 あとは、繰り返しになりますが芸歴の数え方が思ったよりも難解だったのは驚きました。そのため、今回の結果も正確性に欠けておりますが、大きく外れていないと思いますので、ご容赦くださればと存じます。

 今回の調査は以上となります。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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