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統計で意地悪をしてはいけない


 職場に行く電車をホームで待っていると、いつも特急が上下線それぞれ1本ずつ通過します。最初は何となく通り過ぎる様子を眺めていたのですが、やがて通り過ぎるタイミングが微妙に違うと気づきました。駅でちょうど2本の特急がすれ違うこともあれば、全然バラバラのタイミングでホームを通過することもある。

 どうせ電車が来るまで暇な身です。簡単に統計を取ってみることにしました。明確に記録を残しているわけではありませんが、毎日のようにやっていると大体の傾向が見えて参りました。

 運行状況が順調だとホームまたはその近くで上下線の特急がすれ違う。しかし、ちょっとでも乱れると、それこそ1分以内のズレでもホーム通過のタイミングは相当バラバラになる。1分以内のズレとは言え、鉄道の速度は検索したところ時速30~70キロ程度は出ているようで、時速30キロですら1分で500メートル動く計算になります。逆に日々どれだけ正確に走っているんだ、という感想が出てきます。

 また、通過時刻を調べてみると、上りより下りのほうが遅れやすい傾向がありました。下りはラッシュ時のターミナル駅を折り返してきた電車ばかりであり、車両も乗客を集中しやすいことが影響しているのかもしれません。

 通過する特急を見ているだけでもいくつかの特徴を発見でき、更にいくつかの推測ができる。やってみるもんだなあと思った次第です。

 きっと他のことにだって適用できるでしょう。例えば私、年に1回、役所に同じ書類を受け取る生活を送っています。同じ部署で作ってもらっているのですが、欲しがる市民があんまりいないのか、皆さん若干戸惑いながら作業しているのです。個人情報が絡んでくるので、確認とか許可とかいろいろ手順を踏まねばならないからでしょう。

 で、書類を作ってくれる方が毎年違うんですが、5年くらい通ってると人によって出来上がりまでの時間が大きく違うと気づきました。数分で出来上がりはするんですが、更に1~2分のズレがある。これも統計を取ってみると何らかの傾向や発見があるに違いない。

 しかし、他人の仕事の時間を測りながら待つって、なんか嫌な感じにも思えます。「あなたはこんな仕事に6分30秒もかかるんですの?」みたいな、おとぎ話に出てくる意地悪ばあさんのごとき言動にもなりかねない。何より、年に1回しかデータを取るチャンスがないのでは、ちゃんと傾向が出てくるまでに何年かかるんだという話です。

 書類が出来上がるまでは、もうちょっと素直に待とうと思います。

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