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値上げの果ての世界

 食料品やら日用品やらが値上がりすると大騒ぎです。家計を直撃などといろんなところで言われ、時には買いだめなんて現象も起こる。

 毎日使うものが値上がりするんですから、確かに大変です。私だって他人事じゃない。これからもちゃんと暮らして行けるのか不安になったりもします。しかし、同時に私の心の中のお調子者がこんなことを考えるのです。このまま値上げが振り切れたどうなるのか。

 例えば、チンゲン菜が同じ重さの黄金と取引されるという、間違った大航海時代みたいな状態だったらどうでしょう。チンゲン菜畑の周囲には万里の長城のような壁に囲まれ、銃火器で武装した兵士が絶えず見回りをしていることでしょう。当然、チンゲン菜を巡って時に血で血を洗う抗争が起きたりもします。

 ガリガリ君が激烈に値上げしまくった暁には、製造元の赤城乳業は世界を牛耳る巨大企業となっているに違いない。ガリガリ君が1本あれば国が動くとさえ言われ、たまに赤城乳業の幹部が北極海の小さな島に1本のガリガリ君を置いたところ、それを我が物にしようとする国や組織がそれぞれ軍を派遣し、たちまち世界大戦へと発展する。そんな様を見てほくそ笑む赤城乳業幹部。これは赤城乳業という神による遊びとでも言うのか。

 値上げに値上げを重ねたネギだって騒ぎは免れません。どこぞの巨大コングロマリットの本社にあるとする秘密の部屋、そこの巨大金庫の中で厳重に保管された1本のネギ、そして、それを盗みに現れる国際的犯罪組織の面々。犯罪組織同士の争いも散発的に起きまくり、ちょっとした内戦よりも激しい戦闘が繰り広げられる。果たして、世界的に貴重なネギを手にし、この世界の新たな帝王として君臨するのは誰なのか。

 私の心の中のお調子者が暴走をやめようとしませんけれども、当然ながらそんな未来は現実とならない。多分、どこかの段階で高止まり、何ならひっそり値下げされたりしているんだと思います。

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