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謎の総帥の出現とフットボール"飯"テロリズム


諸君……。

おお、同志達よ!!

旅とサッカーを愛する者どもよ!

馬鹿野郎どもよ!!

コロナ禍という人類史に刻まれる災厄の最中における突然の召集。それにもかかわらず、駆けつけてくれたことに心から感謝をしよう。

……。

ふむ。

時間がない。本題に入ろう。

現在Jリーグを頂点とするサッカーは追い詰められているといっていい。コロナ禍での減収はもとより、DAZNマネーもいつまで続くかわからず、虎の子日本代表へも選手を送り込めなくなっている。今や海外組を中心チームを組むのが日本代表となっている。

もちろん、日本サッカーを俯瞰した場合には悪いことばかりではないだろう。しかし、我々が本来掲げるべき題目は覚えているだろうか。そうだ。

今そこにあるサッカーを愛せ。

これは、かつて革命を求めて一人戦った赤き戦士の言葉であり、イデオロギーである。このイデオロギーは多くの若者、もとい、地域サッカーを愛する中年男性をかき立て、戦場へと送り込んでいった。

美しい革命の音楽が鳴り続ける中、ルーツの異なるものたちがプロレタリアートの鉄槌を下そうと戦いへと趣き、血が血を洗うような衝突と、晴れることのない重々しい混沌の中で、命を散らしていった。

しかし、革命は終わった。

志を半ばにして消え去った。

諸君が愛した総統は死んだ!!何故だ!!

???「本業が忙しかったからさ」

誰だ!!今、本業について口に出した者は誰だ!!それは言ってはならないお約束ではないか!!

もう過去は振り返ってはならぬ。偉大なる総統はもう帰ってこないのだ。いや、もしかしたらまた革命戦線へと復帰し、カリスマを発揮する日もくるかもしれない。しかし、それを期待してはならぬ。我々は、我々の手によって、我々のために革命を成し遂げるのだ。

さて、2019年である。我々は旅とサッカーをテーマとしたOWL magazineを立ち上げた。この仕事は、かつて偏差値上等兵という名前で、戦場を駆け回った男に任せている。そうだ。中村慎太郎という男だ。

彼はよく働いた。しかし、拝金主義に走る傾向もあり、あまり評判が良くない。それはさておき、今はコロナ禍によって日本サッカー、いや、世界のサッカーが危機に瀕している。

そんな中、2019年に立ち上がったOWL magazineも危機的な状況となっている。旅とサッカーがテーマの雑誌など死んだも同然だ。サッカーも危機に瀕しているが、旅よりはましな状況だ。旅とサッカーのかみ合わせなど、今最も必要とされていないものではないか。

諸君!!!OWL magazineは死ぬぞ!!!

もちろん狙いは良かった。旅とサッカーという掛け合わせこそが、サポーターという文化をもっとも表現できると考え、Our World League、すなわちOWLというコンセプトを掲げた。ここまではいい。

そしてコロナ禍が来ることは誰にも予想が出来なかった。だからその影響を受けるのも致し方ないことだ。しかし、2020年はあまりにも策がなかった。旅が出来ない中で、何ら新しいアイデアを出すこともなく、漫然と1年を過ごすことになったのが見ていられなかったのだ。

私は悔しかったのだ。OWL magazineこそが革命の意志を継ぐメディアだと信じていた。しかし、コロナ禍の中で消え去ろうとしているのに耐えられなかった。

何より……!!

何より、その中で何も出来なかった私自身の無力さがもどかしかった。そもそもOWL magazineの武器は、サポーターたちが自分たちの視点でサッカーを語るというものだ。その武器が、奪われてしまった。

攻めてくるぞ。

必ず攻め来るぞ。

東にはfootbolista共和国、西にはReal Sports帝国が虎視眈々と領土拡大を狙っている。北にはTwitterの在野の革命家がおり、南ではInstagramで選手達がライブ放送で女性ファンを囲い込んでいる。

諸君……。

諸君!

諸 君 ! ! !

歩みを止めてはならぬ!!!

本業はさぼるな。本業をサボってはならぬ。偏差値上等兵のようにユニフォームが買えずに、2013年に買った高橋秀人のユニフォームを大事に着ている者もいるからだ。

大いに働くが良い。と、同時に革命も忘れてはならぬ。

そして、我々は劣勢であることは認識しておく必要がある。

つじー!戦力に大きな差がついているときに有効な戦術はなんだ!

つじー「ビクッ。えっ……。そうですね……。特攻戦術でしょうか?」

ふむ……。悪くはないが、それは本当の最後の手段であり、その先の勝利を期待するのは難しい。

正解は……。

テロリズムである。


テロリズムとは、強者に対して出血を強いることである。相手が巨人であっても、身体から出血していれば戦意が削がれていくということはありえる。人名を取る必要はない。厭戦感を生み、戦場から撤退させれば、事実上勝利に等しい。

サッカーメディアの巨人たちと同等の戦力を持つことは出来ない。OWL magazineはサポーター有志によるメディアである。その上、旅とサッカーという限定的なテーマで勝負しているからだ。

この状況を打開するために、一種の暴力装置を入手した。私はこの兵器を使って革命を進展させようと思っている。

すず「えっと……。どちらから……?」

ケー○デンキだ。

大澤あすか「まさか……!それは……!蘇我にあるケー○デンキでは?!」

その通りだ。

諸君!!見るがいい!!

フ○ダ電子の最新科学技術によって作られたテロリズム用決戦兵器である!!

飯テロリズム専用ロボットShakerだ。

footy-sab「あの……!自分で作ったスタグルレシピ本を川○○○ン○ーレに献本したという……。」

Twitterの中の人「footy-sabの気配?!次の原稿をはよう!!!」

footy-sabは無言で去って行った。


Shaker。「川○○○ン○ーレの件は私が自分でやったわけじゃなーい!!あれは勝手に公式に送るなやゴルァ案件だから!!」


五十嵐メイ「すごい迫力……。質問があります!兵器Shaker。はスタグルレシピ本を生産する装置と理解しています。兵器として機能するのでしょうか」

良い質問だ。

ただ、答えている時間すら惜しい。少し試してみようか。

Shaker!!中野の美味いものを出せ!!


Shaker。「中野……。うまいものある……。うまいもの多い……。フクアリからは遠い……。こぼれる。こぼれた……。こぼれこぼれこぼれ……。」



イクラァァァァァァ!!!!!!!!!

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ほりけん「こ、これは!!魚卵!!」

Shaker。「「イクラスタンド」中野駅北口徒歩6分くらい。「イクラこぼれ」は1人分1280円から。他にも大根おろしとイクラの和え物など北海道斜里町のイクラに全振りしたある意味ニッチなお店。店内は大変コンパクト。ゆっくり滞在しなくてもイクラの物量で目も心も短時間で満足できるから並びが出ていてもそれ程待たずに行けそう。予約して行くのが吉。何か自分にごほうびを出したい時に1人で赴くのにオススメ。とにかくイクラ尽くしのお店なので都内でまあまあのイクラを底抜けに食べたい方はぜひに。」

さかまき「なんだ……。このプレッシャーは……!!」

shaker。「ご飯入っていますが、掘ってもなかなか出てこないくらいイクラ!お酒はビール・ハイボールなど。私は500円くらいのハイボールを頼みました。お酒はそれほどたくさん置いてないです。帰りに近くのバルでワイン一杯だけ引っかけて帰りましたが、軽めのはしごもおすすめ!」

さいお「ライラミラライラライラミラライラ!!カクリコーン!!」

諸君!!Shakerの力を見たか!!

この力を革命への原動力にするのだ。


もう一度聞こう!!
諸君が愛した総統は死んだ!!何故だ!!

しんたろう「……。もしかして……。」

そうだ。言って見ろ。かつて偏差値上等兵としてこき使われた男よ!!ぶらり旅に、父親のアルファードを借りて提供したのにもかかわらず、参加費を1万円取られた上、映像もお蔵入りにされた恨みを晴らすが良い!!

しんたろう「あ、それは……。総統のせいでは……。でも、長野パルセイロの試合を観た後、帰りは自分が運転する言っていたのに、長野サポーターに勧められるままにビールを飲んだ挙げ句、車中で爆睡した件については未だに根に持っています」

他にはないのか!!

しんたろう「義勇軍本なるものの前書きを書かされたのにもかかわらず、ぼくの記事が載っている第一巻だけ増刷しないで常に品切れ状態にあるのはどうなんだ!」

それは別にいいだろう!刷っても売れるかどうかはわからないからだ!他には!!

しんたろう「飲み会に来てくれるのはありがたいけど、酔っ払った勢いで差女性陣に好きなラブホテルについて聞いて回るのは犯罪ではないだろうか!!」

まだあるはずだ!!

しんたろう「正直、失業したときや、タクシー会社に勤めるときに色々とアドバイスをくれたことについては心から感謝している!!」

そういうのじゃない!!

しんたろう「総統のせいで、恋愛の対象年齢が20くらいあがってしまったのは……。どうなんだ、これはいいのか悪いのか……!!」

それはいいことだと思うが、そこじゃない!おまえが総統に対して不満を覚えていたのはそこではないはずだ。

しんたろう「……。そうだ……。あのお方は……。いや、あの人は……。いや、あいつは!!!全然食べることに興味がないんだ!!!考えるのは値段のことばかり。美味しいものに対する情熱がない!!」

その通りだ。あの男の革命が、女性陣を惹き付けることが出来ず、全国の以上にキャラが濃いおじさんたちに指示されるところで止まってしまったのはそこに理由があるのだ。

いいか!!最後に生き残るのはOWLだ!!

我々はフットボール"飯"テロリストだ!!

そう名乗った以上、どこに敵が現れるかはわからない。Kiten!やバッカスが敵に回ることだってありえるぞ。


However!!
(しかし)

We will not vanish without a fight!
(我々は戦わずに消えることはない!)


We’re going to live on!
(我々は生き残る!)

We’re going to survive!
(存在し続けるのだ!)


Today we celebrate OWL's Meshi Terrorism  Day!
(それが今日だ!!さあ、飯テロリズム記念日を讃えようではないか!!)


まずはしんたろう!おまえからだ!!おまえのフットボール“飯”テロリズムを見せてみろ!!

しんたろう「ええっ……。突然言われてもネタが……。そしたらこの前タクシー会社の健康診断にいったあとに、人形町の玉ひでに言ったのでその話でも。玉がついているので、球技ということで1つ」


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では……。まことに僭越ながら最初の飯テロを行う。

人形町の老舗、玉ひでに行列が出来ているのを見ることは多かったのだが入ったことはなかった。というのも少し値段設定が高めなのだ。スタンダードな親子丼の場合は何と2200円もする。

ただ、今のぼくには怖いものはない。零細物書きを脱し、タクシードライバーという稼ぎが出来たのだ。ちょっと高い親子丼を買ったところで、家計への影響は軽微なはずだ。

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ぼくが注文したのは、「日本」というコースで、どうしても気になったので「極み煮卵」も注文してみることにした。卵1つで250円!!聞いたことがない!!

それに加えて、玉ひでのオリジナル黒ビールもあったので、こちらも併せて注文することにした。健康診断の後なので、食欲が三倍増していたのだ。

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店内は、老舗の料亭という風情だ。料亭というよりも「古民家」というほうが近いのかもしれない。非常に良い雰囲気が感じられる。

前後を楽しげに会話するカップルに挟まれており、愛読誌である『家電批評』を携えていたので、若干いたたまれない雰囲気であった。幸か不幸か、2Fの座敷に上がったときにはカップルとは違う部屋へと案内されていた。

孤独なおじさんたちが詰め込まれ、壁に向かって一人食事をする薄暗い部屋であった。もっともどの部屋も照明が薄暗く、この暗さがLEDがなかった昭和の家屋を思い起こさせた。少し湿ったような木の匂いが、少し懐かしい。

まず運ばれてきたのは、軍鶏出汁のスープであった。口に運んでみると、意外にも飲み応えがない。これは……。あまり美味しくないのではないか……。薄い塩味が感じられるだけであった。


そう思ったのもつかの間、濃厚な後味がガツンと喉を殴った。出汁の味である。出汁の味だけなのである。それが何と爽やかなことか。スープが口の中を通り過ぎると、唾液が溢れ来る。口の中が洪水である。二段仕掛けの洪水である。

次に煮卵と黒ビールが運ばれてきた。さわやかな酸味が際立つ軽めの黒ビールで、洪水状態にあった口内のエントロピーを破壊してくれた。アルコール度は5パーセントと、黒ビールにしては低めで、ランチタイムにはちょうどいい味わいであった。

黒ビールによって爽やかに押し流された口内に煮卵を押し込む。しかし、予想通りであった。予想を外れるからこその美味、予想を外れるからこその飯テロリズムなのである。

軍鶏の卵は卵黄が大きい。そして濃厚である。非常に美味しい。口の中でゆっくりとととろける黄金の塊よ……。しかし、予想を大きくは上回らなかった。

そう思った矢先であった。真の死角は卵黄ではなかったのだ。それは卵白に潜んでいた。そう、卵黄だけ取り出され廃棄されることもある、あの哀しき卵白である。

この卵白がうまいのだ。冷え切ったサンドイッチに入っている味の薄いタンパク質の塊ではなかった。これまで食べてきた卵白ではない。まったく違う何かだ。意外すぎる味わいのためうまく形容が出来ない。

うまい。とにかく美味い。卵白のなのに。卵白のくせに!!このうまさは何だと言うのだ。

これで終わりではないのだ。

濃厚すぎる卵黄と、しっかりとした味の付いた卵白は口内でハーモニーを奏で始めた。その美しすぎる二重奏は、鶏卵が単なる食材ではなく、生命の器であったことを思い出させた。

そうだ。我々は命を、食しているのだ。

頂きます——。

思わず、両手をあわせた。

そして、次は親子丼である。


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しんたろう……。待て!

しんたろう「……?いいところなんですが……。」

誠に遺憾ながら、OWL magazineは有料のウェブメディアである。どこかに有料部分を作らねばならない。

おまえが購読をもっとプッシュしないからOWL magazineは常に財政難なのだ。文章が書けたところで、マーケティング出来なければ朽ち果てて行くというのは昭和の文豪を見ていればわかることだろう。

忘れてはならない。この記事はあくまでも有料購読者のために作成している。そして、革命のためにはお金が必要だという詭弁を弄するつもりはないのだが、旅とサッカーを紡ぐOWL magazineは著者を育て、この先には出版社へと歩を進めようとしている。

そのための礎となるのが、読者のみなさまによる購読料なのである。

OWL magazineは1月3日より毎日更新を始めた。700円もかかるといえど、この時飲んだ玉ひで黒ビールの値段が750円である。玉ひで黒ビールよりも安価で楽しむことが出来る。

OWL magazineのオリジナリティは保障する。旅とサッカーをテーマとしているメディアは日本国内には存在していない。世界にも存在していない。我々は文化を創っているのだ。いや、より正確にいうと、サッカーファン・サポーターが創ってきた旅の文化を、我々が刻み込み、未来へと繋げていくのだ。

しんたろう「わかりました。わかりましたよ!これから、サッカー旅の記事だけではなく飯テロも行いながら、文化活動を行っていきます。


とりあえず、分量は少ないですが、渾身の筆で玉ひでの親子丼について書きます。是非購読して読んで下さい。そして、OWL magazineのために力を貸して下さい。

もう月末にはなってしまいましたが、今月のOWL magazineも粒ぞろいです。是非ご購読をお願い致します!!」

大澤あすか「あ!寄稿も常に受け付けています!ご興味ある方はお気軽にお問い合わせ下さい!」


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スポーツと旅を通じて人の繋がりが生まれ、人の繋がりによって、新たな旅が生まれていきます。旅を消費するのではなく旅によって価値を生み出していくことを目指したマガジンです。 毎月15〜20本の記事を更新しています。寄稿も随時受け付けています。

サポーターはあくまでも応援者であり、言ってしまえばサッカー界の脇役といえます。しかしながら、スポーツツーリズムという文脈においては、サポー…

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