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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

【※ネタバレ注意】ウマ娘知識ゼロの男が映画ウマ娘を見に行く

ネタバレ注意



ウマ娘について知っていること

スマホ発明以来、ソシャゲの世界に入るタイミングを逸しまくったせいでOwlCatのウマ娘知識はボロボロの状態。
とはいえ、広告やTwitterでぼんやりとしたイメージは浮かんでいました。
具体的にはこんな感じです。

・ウマの擬人化キャラがとにかく走る
・レース後にウマたちが歌って踊る(なんで??)
・緑服のスタッフみたいなキャラもいる?
・普段は学生として競走馬の専門学校(?)に通っている
・マンハッタンカフェ、アグネスタキオン、ゴールドシップ、ハルウララなどのキャラがいる

あと、映画を見る直前に「アグネスタキオンというキャラが主人公のライバルとして立ちはだかる」という情報だけ知恵袋で仕入れました。
アグネスタキオンが誰かは知らないままでしたが……。

結論

とっても面白かったです!

一番目を引いたのは映像の演出で、ジャングルポケットたちがトップスピードに乗るときの、スクリーンを突き破るような迫力がたまんなかったです。
特に、アグネスタキオンがゾーンに入った瞬間、「ギリギリのレースシーン」から「アグネスタキオンだけの世界」に変化する場面がマジでカッコよかったです。
こうぐわーって画面が狭まっていって、まばゆい光の世界に突っ込んでいくのが最強すぎました。
あとアニメーションの線がスピードとともに一気に荒々しくなって、色温度もガンガン上がっていくのが凄いアツかったです。こういう「極まった」瞬間の演出大好きなので……。

日本ダービー終盤の展開は凄すぎて、急に目に涙が浮かんできました。
涙腺に来るレベルの映画は自分の場合10本に1本くらいしかないので、見て良かったなと実感しました。

ストーリーについて

※重要な場面にガッツリふれるので、改めてネタバレ注意です!!






全体を通してかなり想像を裏切られました
というのも、「ウマ娘」というアニメへのイメージとかなりギャップがあったからです。
映画を見るまでは「トレーナーとともにスキルを磨いて、個性豊かな仲間たちと高め合って大舞台を目指すぞ」というような展開だと思っていたのですが、実際は「圧倒的な選手間の差」をテーマにしたシビアな物語でした。
ジャングルポケットは間違いなく異常な努力家なんですけど、それでもなお超えられない壁=アグネスタキオンがいるというのが本当に胸に来ました。
アグネスタキオンがまばゆい光とともにトップスピードに乗った瞬間、一瞬だけ映る他のウマの表情があまりにも絶望的すぎる
ジャングルポケットがアグネスタキオンの背中に近づくまでのシーンで、ジャングルポケットの気迫がビシバシ描写されてからのこれ。
見てるだけの私すら心が折られてしまいました。
特に、最後の最後までジャングルポケットがアグネスタキオンと並走する瞬間が無いというのが何とも言えません。
テイエムオペラオーとは並走してギリギリのレースをしているのに、アグネスタキオンとは「ギリギリのレース」すら叶わない。
様々な点で、単純なスポ根とは違うシビアなストーリーが貫かれていました。

この映画の最大の驚きは、やっぱりアグネスタキオンの引退でした。
ケガとかでレース欠場になるのかなという気はしていたのですが、まさか一気に引退までしてしまうとは……。
しかも理由が「自分しか踏み込めない領域が、他のウマでもたどり着けると知ったから」というのがザ・天才という感じでビビりました。
そして、日本ダービーまでに考えを改めていくのかと思ったらそんなこともなく、ジャングルポケットはとうとう日本ダービーを制してしまいます。
もちろんジャングルポケットは全力を出し切っているわけで、その壮絶なレース終盤は目頭が熱くなるものでしたが、それでもアグネスタキオンの影があちこちでチラつくというのがとても生々しかったです。
「ライバルとの競争」から「自分が超えられなかった壁への渇望」に心象が変化していく様子が非常に辛い場面でもありました。

このキツすぎる展開が「全部」ひっくり返されていくジャパンカップはアツすぎて、何と言えばいいかよくわかんなくなっています。
アグネスタキオンに進化を見せつけ、同時にアグネスタキオンの幻影を乗り越えていく、というのがとにかく良かったです。

「ウマ娘」という生き物について

ウマ娘本当に分かっていないので考察的な話をするとめっちゃボロが出そうなのですが、ちょっとだけ書いてみます。

この映画を通して印象的だったのは、「ウマ娘は本能的に、自分より優れた走りを見ると居ても立っても居られない」というようなセリフでした。
要所で繰り返し語られるウマ娘の「本能」なのですが、自分にはこれがこの映画で一番壮絶な部分のように感じられました。
つまり、ウマ娘は「他者を超えていく努力」を本能的に定められた存在ということなのです。
努力が打ち砕かれるような絶望的なレースの後でも、絶対にジャングルポケットは走り続けるし、そういう運命にあるということが示されています。
アグネスタキオンも最終的には理屈ではない「欲求」に突き動かされてレースに復帰していきました。
ウマ娘たちはどうしても「走ることをやめたくない」と願ってしまうわけです。
これほどの壮絶な生き方の中、レースに果敢に挑んでいくウマたちの姿を見ると、もはや畏怖せざるを得なくなってきました。


おしまい

見る前は本当に内容がわかるか不安でしたが、ウマ娘知識が全然ない人でも十二分に楽しめるとても良い映画でした!
スポーツものは昔から大好きだったので、その点で相性が良かった気がします。
時間がとれればいずれTVアニメの方もチェックしてみたいと思います。

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