【第49回】マジック・サム/ブラック・マジック
ブルースのLPを聴き漁っていると、本人オリジナルの曲ではなく、他の誰かが演っていた曲をカバーしているものが結構多いことに気づく。「スウィート・ホーム・シカゴ」や「ストーミー・マンデイ」なんかはいろいろな人がカバーしているブルースの定番曲である。きっとこういった他の人が演っていたブルースを、自分の解釈で表現できるっていうのも、ブルースマンとしての大事な要素になるのだろうね。
いつも思うのだが、そういった情報をライナーノーツの曲目を書いている場所にでも、まとめて記載しておいてくれないかなと思う。細かくライナーノーツを読んでいけば記載はされているんだけれど、探し出すのにちょっと手間がかかるので、パッと見てわかるようにまとめていただけると非常に助かるのに。
さて、今回は「マジック・サム」の2枚目のLP「ブラック・マジック」について書かせていただこうと思う。サム氏については以前、彼の最初のLP「ウェスト・サイド・ソウル」(第38回参照)について鳥肌が立つくらいにカッコよいとべた褒めさせいただいた。改めて聴いてみてもやっぱりカッコよいなぁと思うのだが、カバー曲の多さにも驚かされる。ライナーノーツを読む限り11曲中7曲がカバー曲のようだ(この辺、ライナーノーツはホントに分かりにくい)。
そして「ブラック・マジック」はというと、10曲中5曲がカバー曲のようである。少しオリジナル曲の比率が増えたが、やはりカバー曲は多めである。私はこの辺りにサム氏のブルース愛を感じる。自分の好きなブルースを演奏することを楽しんでいる人だったのではないかと想像している。
「ブラック・マジック」を聴いた感想だが、前作「ウェスト・サイド・ソウル」に比べても全く遜色のない出来である。全体的にソウルっぽさを強く感じたけれど、まあ、私はソウル自体どんなものかよくは分かっていないのでそれは気のせいかもしれない。でも和田アキ子さんみたいな感じのカッコよい曲がたくさんある。
あと「サン・ホセ」というインストゥルメンタルの曲、「フレディ・キング」のカバー曲なのであるが、これは加山雄三さんを思い起こさせる。「ブラック・サンド・ビーチ」みたいな感じがしてこれまたカッコよい曲だ。
こんな感じで誰々みたいでカッコよいとばかり言っていると、マジック・サムはマジック・サムであってほかの誰でもないと怒られてしまいそうだね。まあ私の音楽を聴くスキルだとこんな表現になってしまうけれど、とにかくカッコよいLPです。べた褒めしてますのでお許しください。
さらに怒られてしまいそうだけど、最後に雄三さん繋がりのお話を。雄三さんというと以前「雄々散歩」という散歩番組をやっていた。「雄々散歩」の前は地井武男さんの「ちぃ散歩」という番組で、私は散歩好きということもあり、ちょくちょく番組を拝見していたのだが、私もこんな散歩番組をやってみたいなぁと常々思っていた。番組名は「ちぃ散歩」にちなんでオインゴの「おぃ散歩」である。「こんなところにステキなレコード屋さんがありますよ〜」なんてやってみたい。
と言ったところで以上になるが、今回はマジック・サムからちぃ散歩の話に行き着くとは思わなった。私の連想力もなかなかのものである。
ブルース道
冬に歩くにゃ
マジ寒い(マジックサム)
季語はブルース。
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