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【第91回】アール・フッカー/トゥー・バグス・アンド・ア・ローチ

私は一人っ子なので兄弟の関係性ってどんな感じなのかがわからない。「兄弟がいないと寂しくない?」と言うような質問をよく受けるけれど、多くはないけれど友達はいるし、別に寂しくはない気がするんだけれど。友達の関係性とはまた違かったりするのかな。それとも私には友達が少ないので、せめて兄弟くらいはいてほしいという配慮からだったり。
人とのコミュニケーションについて考えると、私は人と本気で向かい合うということがホント苦手で、常に建前だけで人と接しているところがある。本音を話したりするのは凄く苦手だし、喧嘩になるようなことはほとんどしない。拳で語り合うとか言ってる意味がさっぱり分からない。拳は口をききませんよ。こういうところはもしかしたら一人っ子による弊害だったりするのかなと考えたりすることもある。
兄弟に1番近しい存在を考えると従兄弟になるのだろうか。でも従兄弟と本音で語り合った記憶はないし、そもそもそんなに頻繁に顔を合わせていたわけでもないので、会うたびに人見知りをしていた記憶がある。ケンカとかもしたことはないので、感覚的にはやはり兄弟と言うよりは友達という感覚のほうが近い。従兄弟ともそんな感じなので、兄弟が欲しいとか、いなくて寂しいとかは、やはり私にはよくわからない感覚なのである。
そんなわけで今回は「ジョン・リー・フッカー」の従兄弟になる「アール・フッカー」について書いていきたいと思う。ここでも幾度となく登場してきた「キング727」の愛称で知られる「ジョン・リー・フッカー/シングス」の中に、なぜか4曲だけオマケのように収録されていたブルースマンである。
ジョリ様の従兄弟と言うことだが、今回聴いてみたLP「トゥー・バグス・アンド・ア・ローチ」とは、音的な共通点はまったく感じない。かなり明るいというか、軽快ささえ感じるようなブルースである。アールさんはスタジオ・ミュージシャン(ギタリスト)という側面の強い人のようで、このLPでボーカルをとっている曲は8曲中2曲だけだ。ほかはインストゥルメンタルが3曲、ほかの人が歌っている曲が2曲、そして1曲がおしゃべりだ。
このおしゃべりはLPのタイトル曲で、所謂スタジオ内での会話を収録したものではなく、演奏をバックに何やら会話をしているという
ものだ。この演奏がブルースと言うよりロックに近い感じがしてカッコよい。ちょっとだけ「ビートルズ」を彷彿とさせる曲だ。
そしてアールさんてブルースマンにしては珍しくワウワウ(ギターのエフェクター、踏み踏みするとギターの音がワウワウする)を使用している。珍しくというか私はワウワウを使用しているブルースマンはこの人以外出会ったことがない。単に私が気づいていないだけかもしれないけれど。ワウワウの音とブルースって最初聴いたとき違和感を感じたけれど、聴いていくうちに結構合うもんだなと思えてきた。「ワウワウ・ブルース」という曲もあるくらいなので、アールさんのワウワウに対するこだわりが伺える。
そういえばジョリ様の「シングス」に収録されている4曲もインストゥルメンタルだったし、このLPでも2曲しか歌ってなかったりなので、アールさんてあまり歌うことには積極的な人ではなかったのかもしれないね。ボーカルをとっている2曲は別に私には悪く感じなかったけれど。アールさんボーカルの「アナ・リー」とか結構いい味出しているスロー・ブルースだと思うんだけどな。
そんなわけで、ジョリ様の従兄弟とは言え、ジョリ様のブルースとはまったく違うアールさんのブルースを楽しめるLPでありました。それにしても、音的にはまったく異なるとは言え、お互いにブルースを演っているもの同士なのだから一緒にやるかみたいな話にはならなかったのかね。「ブッカー・ブラザーズ」みたいな名前で。実は2人はそんなに仲良くなくて、「シングス」で無理ヤリねじ込むくらいが精一杯だったりしたのかしら。

ワウワウで
演るぜ、ブルース
こだわーる(アール)

季語はブルース。

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