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【第108回】ブラインド・レモン・ジェファーソン/キング・オブ・ザ・カントリー・ブルース


昔「ビートたけし」さんがテレビ番組で障害者への接し方の話をされていて、「それについて全く触れないのはどうなのかね、むしろ軽口を言える位の方が良いんじゃないかな、健常者も障害者もお互い悪口言い合える位の」(うろ覚えでかなり要約しています)というような発言をされていた。たけしさんの「座頭市」という映画では、賭博に訪れた盲目の主人公に対してガダルカナルタカさん(役名は忘れました)が「なんだ、あんまさんかい、ここ空いてるから座りな」と言うシーンがあって、なるほどこれがたけしさんのその考え方を表現したシーンなのかなと思って、妙に印象に残るシーンとなった。一概に全てそれで良いとはならないけれど、確かにそういう考えもあるよね。こういうのって正解なんてないのだろうけど。
というわけで今回は盲目のブルースマン、「ブラインド・レモン・ジェファーソン」を聴いてみた。ブラ・レモンさんってカントリー・ブルースマンで、はじめて全国的な人気を得た人らしいので、この人がカントリー・ブルースを流行らせたのではないかと思っている。そしてこの時期に「ブラインド」を名乗る盲目のブルースマンが多いのは、この人の影響が大きいのではなかろうか。名前に「ブラインド」とあるだけで注目される位に流行っていたのかなと。戦後になると「ブラインド」という名前はあまり聞かなくなるということもありそう思った次第。まあ、これは私の勝手な想像です。
聴いたLPは戦前ブルースで2枚組は重いぜのヤズー盤「キング・オブ・ザ・カントリー・ブルース」である。なぜわざわざ2枚組のヤズー盤にしたかというと、ただ「BLUES RECORDS GUIDE BOOK」に掲載されていたというだけの話。今となっては他にも便利なLPは出ているかもしれないけれど、「BLUES RECORDS GUIDE BOOK」しか勝たん。というわけで、2枚組でたっぷりとブラ・レモンさんを堪能してみた。堪能してみたと言ってもブラ・レモンさんはそのすべてが弾き語りによるブルース、私のブルースを聴くスキルでは楽しめたと言うには程遠いけれどね。いつもどおりその素朴な味わいを嗜むという感じだ。
ちなみに同じような時期の同じテキサス・ブルースマンである「テキサス・アレキサンダー」と比べると(ブラ・レモンさんもテキサス・ブルースマンである)、曲にバリエーションがある感じはする。「ヒー・アローズ・フロム・ザ・デッド」とか「プリズン・セル・ブルース」、「ベッギン・バック」といった異様に明るい雰囲気の曲があったりするし。そんなわけで若干ではあるけれど、アレキサンダーさんよりは聴きやすいかもね。
それからジャケットについて少し。ブラ・レモンさんは戦前の人だけあって、写真が1枚しか残っていない。そのためブラ・レモンさんのLPのジャケットはどれも同じ写真が使われている。そのたった一枚残された写真、ブラ・レモンさんはなぜかメガネを着用している。目が不自由なのにメガネをかけてるってどういうことなのでしょうね。実はほんの少しだけ見えていたとか。この人は死因についてもよく分かってないらしく、戦前ブルースマンというのはこういうミステリアスな部分が多い。戦前ブルースを聴きながら何があったのかなと想像したりなんかして、そういうとこも戦前ブルースの魅力の1つだなぁと感じるのである。

戦前の
ブルース出してよ
ブラれも〜ん

季語はブルース。

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