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【第99回】ハウンド・ドッグ・テイラー&ザ・ハウス・ロッカーズ】

昔「ピチカート・ファイヴ」の「小西康陽」さんが司会の音楽番組があって、その番組に「ミッシェル・ガン・エレファント」が出演したことがあった。その番組ってスタジオで収録したライブ映像と、小西さんとのトークという構成になっていて、ミッシェルのライブ映像がカッコ良すぎて、ビデオテープ(当時はVHSだったのですよ)が擦り切れるくらいに何度も鑑賞した。そしてトーク部分、これがまた話が全然盛り上がらない感じがとてもシュールで面白くて、
ミッシェル「コンビニでエロ本立ち読みしててるときに自分達の曲流れてきたら、誰も自分のこと気付いてないのに本、閉じちゃいますよね」
小西「…(苦笑)」
これまたビデオテープが擦り切れるくらいに何度も鑑賞した。
その番組内でライブ盤の話になり、
小西「ライブ盤って作らないんですか、良いライブしてるのに」
ミッシェル「うちらスタジオ録音しててもライブ演ってるのとあまり変わらないから、だからあまり興味がないのかも」
と言うようなことを語っていた。
今回聴いてみた「ハウンド・ドッグ・テイラー&ザ・ハウス・ロッカーズ」はミッシェルのその言葉がそのまま当てはまるようなブルース・バンドである。以前に聴いたドッグさんは、「ハウンド・ドッグに気をつけろ」というイカした邦題のライブ盤であったが、今回聴いたのはスタジオ盤である。そしてこのスタジオ盤の雑さ、と言ったら怒られるであろうか、良い意味での雑さはまさしくライブのようである。前回聴いたライブ盤と比べても、観客の歓声があるかどうかの違いくらいで、演奏の荒々しさはライブ盤と全く変わりがない。音のバランスとかかなり大雑把で大きすぎる音があったり、急に小さくなったりと、かなり適当な調整で録音したんじゃないかなと思うんだけど。
リズムも合ってるんだか合ってないんだかよく分からない。かなり突っ走ってる感じもするし、このあたりもノリ重視であまり気にしていないのかもしれない。曲の終わり方もみんなバラバラと終わるし。終わりくらいビシッと合わせたら良いのにと思ったりもするけれど、あわせる気は全くなさそうだ。聴いていてかなり危うい感じがして、私は聴き終わるとどっと疲れてしまうのだけれど、このガレージ・ロックっぽい雰囲気が好きな人には堪らないのかもしれないなとも思う。そういった意味でいうとドッグさんの持ち味を存分に発揮した好盤と言えるのかもしれないね。
昔ミッシェルがメンバー間でもっと荒く、もっと荒くと言って音を作っていたと聞いたことがあるけれど、ドッグさんみたいな荒さを目指していたのかな。ミッシェルや「ゆらゆら帝国」、「ジョン・スペンサー・エクスプロージョン」辺りが好きな方は結構ハマるかもしれない。私はその辺りのロックは好きだったけれど、ちょっとカオス感が強すぎて疲れてしまうかな。結構面白くは感じるのだけれどね。
さて、最後にドッグさんとは全く関係のない話を。私の勤め先に冒頭でお話したピチカート・ファイヴの小西さんそっくりな人がいる。別に服装とか全く奇抜でないし、帽子を被っているとこも見たことがない。つまり何の補正もなく素でそっくりなのである。その人は普段はとても優しい良い人なのだけれど、仕事になるととても厳しくなって「おめー、本気でぶっ飛ばすぞ」なんて言っちゃうような人なのだ。でも小西さんにそっくりなので、そんな風に怒鳴っているときでも、私の頭の中では「東京は夜の7時」が流れている。そのせいか怒鳴っていてもなんか憎めない人なのだ。

ドッグさん
ブルース叫べば
ザッツ(雑)、オーライ(荒い)!

季語はブルース。

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