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【第76回】ハウンド・ドッグ・テイラー&ザ・ハウス・ロッカーズ/ハウンド・ドッグに気をつけろ

私は若い頃に「ミッシェル・ガン・エレファント(以下「ミッシェル」)」にどハマリしていた時期がある。好きなアルバムは2枚目の「ハイ・タイム」と4枚目の「ギア・ブルーズ」。「ハイ・タイム」は疾走感のあるガレージ・ロックみたいな感じで、「ギア・ブルーズ」はドス黒い雰囲気の泥臭いロック。どちらも聴きやすいポップな面も持ち合わせていて、J-Rock(J-Popではない)の名盤だと思っている。ちなみに「ギア・ブルー"ス"」ではなく「ギア・ブルー"ズ"」であるところは、彼らのこだわりである(実際「ブルー"ス"」ではなく「ブルー"ズ"」が正しい発音らしい)。
そんなミッシェルがお気に入りとしてあげていたバンドに「ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン(以下「ジョンスペ」)」がある。ミッシェル好きとしてはやはり気になってジョンスペにも手を出してみたのだが、カッコいいと思えるフレーズはあれど、カオス感が強すぎてハマるということはなかった。そのときハマっていたらもっと早くにブルースを聴くようになっていたのかもしれないなぁと思ったりする。
今回はそんなジョンスペと同じバンド構成(ギター&ボーカル/ギター/ドラム)である「ハウンド・ドッグ・テイラー&ザ・ハウス・ロッカーズ」のライブ盤、その名も「ハウンド・ドッグに気をつけろ」について書いていこうと思う。ドッグさんとジョンスペってバンド構成が同じというだけじゃなくて、なんとなく雰囲気も似ているというか、ジョンスペはドッグさんの影響を結構受けていたりするんじゃないかなと思ったりしている。
このLPを聴いてみると、ライブ盤ということもあるかもしれないけれど、演奏はとても荒々しくて激しい。そしてベースレスなのに軽い感じは全然しなくて、そこはかとなくダーティーな感じがする。ギターの音も歪みまくっていて、ブルースというよりもロック寄りな印象を受けた。この辺の印象が私としてはジョンスペなのである。
それからこのLPの中でとくに印象に残る曲といえば「レッツ・ゲット・ファンキー」になるのだがこの曲、延々と同じフレーズをノリノリで繰り返すだけというものである。それだけにも関わらず、この潔さがとてもロックしていてカッコよいと思うのだが、こんな部分にも私はジョンスペ臭を感じるのだ。
実際ジョンスペがドッグさんの影響を受けているかどうかは分からないが、少なくとも私はドッグさんのこのライブ盤を聴いてジョンスペを思い出し、なんか懐かしい気持ちになったのは事実だ。なので私の中でドッグさんは、ジョンスペに直結するブルースマンという位置づけになっている。
さて、最後にこのLPの名前にも触れておきたい。「ハウンド・ドッグに気をつけろ」という邦題が実にいかす。ハウンド・ドッグの何に気をつけたら良いかのかよく分からないが、この意味不明さがたまらなく好きだ。80年代のハードロックのかほりのするダサかっこいい邦題である。どうせ邦題つけるならこれくらいブッ飛んだ感じがいいよね。ここだけはジョンスペには無いセンスだね。まあジョンスペのアルバムに「ジョン・スペンサーのブルース爆発5秒前」なんて邦題ついていたら、まぁそれはそれでカッコいいか。

ブルース犬
吠えてジョンスペ
やってくる

季語はブルース

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