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【第139回】ビートルズを語れる男になりたい

ロック史上最も有名なミュージシャンといえばやっぱり「ビートルズ」になるだろう。名前も聞いたことないなんて人は、この世にひとりも存在しないのではなかろうか。そんな超有名なビートルズさんなのだけれど、その凄さというものが私には理解できていない。まあ普通に聴きはするのだけれど、めちゃくちゃハマったとか、衝撃を受けたとか、そういうものはなかったのだ。ただなんとなく聴いている感じ。きっと音楽に造詣の深い人が聴くと、その凄さが分かるんだと思う。ビートルズさんの凄さを語れる男になりたい、そう思ってこれまでの人生、それなりにビートルズさんを聴いてきたけれど、その道はとても遠いようだ。
そんなビートルズさんに私が初めて触れたのは「赤盤/青盤」だ。「なんだよ、ベスト盤かよ」と言うなかれ、その佇まいたるやもはや名盤の趣きプンプンである。「エルビス・コステロ」にハマって(第138回参照)、洋楽に興味を持ち始めたタイミングで、あの超有名なビートルズさんのベスト盤を、ちょうどバイトの先輩が持っており、これは良い機会とお借りして拝聴、歳は20歳。当時それを聴いて私が何を感じたのか、これが全く持って思い出せない。恐らく良いも悪いもなかったのではなかろうか。ハマるほどではないが、聴けなくもない、その程度の感想だったのだと思う。ピンとはこなかったものの、その後も断続的に聴き続けてはいて、「赤盤/青盤」だけでなく、買ったり借りたりしながら少しずつオリジナル・アルバムも含めて聴き進め、一応一通りは制覇することになる。消化できたとはとてもじゃないが言えないけれどね。
それで感じたのは、何故ゆえ「赤盤/青盤」に「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」を収録してくれなかったんだということ。この曲はビートルズさんのデビュー・アルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」のオープニング・ナンバーなのだけれど、勢いがあって超良い曲なんだよね。サビがかっこ良くて気分がとても盛り上がる。私はこの曲が大好きである。別にカバー曲というわけでもないし(「赤盤/青盤」にカバー曲は収録されていません)、オープニング・ナンバーとして最高の曲だと思うのに、何か理由でもあったのだろうか。それからオリジナル・アルバムとしては「ラバー・ソウル」が1番好みだった。アルバムとしてコンパクトにまとまっていてとても聴きやすい。これまた「赤盤/青盤」には収録されてきないけれど、「ラン・フォー・ユア・ライフ」という曲が好き。クセのあるメロディーがたまらない。「浮気娘」という邦題もイカす。まあベスト盤に入るかと言ったら微妙な曲ではあるけれど。
さて、「赤盤/青盤」だけれども最近になってレコードで入手した。結構前からレコードで欲しかったのだけれど、ビートルズさんて「赤盤/青盤」だけでもいろいろなバージョンを出していて、それでどのバージョンのを購入するかとても迷ったのだよね。それでずいぶん時間はかかったけれど、散々迷ったあげく購入したのが、東芝EMIのビートルズさん結成20周年特別企画のカラー・レコードのヤツ。なんかカラー・レコードって可愛くて特別感ありませんか。ちゃんと「赤盤」は赤色の、「青盤」は青色のカラー・レコードしていて、そこはしっかり仕事をしている。
それで久しぶりに触れたビートルズさんだけれども、感じたのはおそらく20歳のときも同様に感じていたであろう、「ピンとはこないけれど普通に聴けるよね」だ。私の音楽を聴くスキルは、20歳のころからあんまり変わっていないようだ。それでも「エリナー・リグビー」を聴いてストリングスが効いた良い曲だなと感じたり、「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンズ」を聴いて「なるほど確かにドラッグっぽい表現ね」などと、納得する部分もあったりした。まあ、それも事前情報ありきだけれどね。それから「イエスタデイ」を聴いて、中学の英語の先生が授業で「イエスタデイ」を聴かせてくれたことを、久しぶりに思い出した。今考えるとなかなかイカした先生である。そんな感じなので、最初にビートルズさんに触れてから25年以上経つけれど、未だにビートルズさんを語れる男にはなれていない私です。きっとこれから先の25年後も同じようにビートルズさんを聴いて、同じような感想を語っているんじゃないかなと、自分を少し微笑ましく思えた。
そんな感じで昔を思い出しつつのんびり聴いている特別企画の「赤盤/青盤」だけれども、1つ不満があって、それは簡単な解説しかされてないということ。CDでお借りしたときには非常に詳細な解説がついていて、それを読むだけで楽しかった思い出がある。このレコードでもそういったものがあるのだろうと勝手に期待していたのだけれど、簡単なライナーノーツしかなくて、ちょっとだけ、いや、結構残念。解説書だけのためにCDも買っちゃおうかしら。
ちなみにビートルズのベスト盤は他にも「1」というものがある。この「赤盤/青盤」よりずいぶん後に発売されたものである。イギリスやアメリカで1位を獲得した曲集というコンセプトらしいのだけれど、そちらは個人的にはあまり認めていない。なんせ「赤盤/青盤」に比べたらジャケットに重みを感じませんよ。まあ、「赤盤/青盤」より気軽に聴ける曲数だし、これからビートルズさんを聴く人には「1」から入るのも全然ありかな思います。

ビートルズ
いつまで経っても
聴いとるす(ビートルズ)

季語はビートルズ。

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