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【第103回】ジュニア・ウェルズ/オン・タップ

今回は「ジュニア・ウェルズ/オン・タップ」について書いていきたいと思う。ウェルズさんを聴くのは「フードゥー・マン・ブルース」(第9回参照)、「サウス・サイド・ブルース・ジャム」(第44回参照)に続く3枚目、「バディ・ガイ」との共作も含めると「プレイ・ザ・ブルース」(第62回参照)、「バディ・ガイ・アンド・ザ・ジュニアーズ」(第71回参照)が入って5枚目になるけれど、聴くたびにこの人はホントにカッコよいブルースをやる人だなぁと実感する。正直「ジュニアーズ」はよく分からなかったけれど、他はどれもクオリティが高くてハズレがないなという印象だ。単純に私がウェルズさんのボーカルを好きなだけなのかもしれないけれど。「ジュニアーズ」ではウェルズさんは1曲も歌ってなかったしね。
そんなわけで「オン・タップ」である。のっけからとても軽快でファンキーな「ウォッチ・ミー・ムーブ」からはじまる。「フードゥー・マン」のときもそうだったけれど、ウェルズさんは1曲目にノリの良いキャッチーな曲を持ってくる傾向にある。掴みはOKと言うやつだ。
そして2〜3曲目では泥臭いスローなブルースでキメている。この人のスロー・ブルースはホントに味があってカッコよい。音楽の話なのでややこしい言い方になるけれど、絵になるねというヤツだ。ちなみに3曲目の「キイ・トゥ・ザ・ハイウェイ」はブルースの定番曲ですね。
続いてA面4曲目は明るめのR&R風な曲、そしてB面に入ってまずはスロー・ブルース、続いてB面2曲目の「ザ・トレイン・アイ・ライド」。これがまたファンキーな痺れる曲だ。個人的にこのLPの目玉の曲である。B面3曲目は再びスロー・ブルースを聴かせて、最後にちょっとおちゃらけた雰囲気のお茶目なウェルズさんでシメという感じだ。
と、かなり大雑把ながらもLP全体の流れを書いてみたが、聴いていて気持ち良いファンキーなブルースあり、泥臭いスロー・ブルースありで、とても聴き応えのある楽しいLPであった。個人的にはやっぱり陰湿な(褒め言葉)「フードゥー・マン」のほうが好きだけれど、人によってはファンキーさの増した「オン・タップ」のほうが好きですという方もいるような気がする。
ちなみに「フードゥー・マン」のときのバンド編成は4人なのに対し、「オン・タップ」ではなんと倍の8人いる。「フードゥー・マン」のときの小編成ならではのソリッドさは好きだったけれど(その分ウェルズさんの個性が際立っていた気がする)、「オン・タップ」の大所帯になりつつも、バンドとしてのまとまりがある感じはこれはこれでありだ。
難点としてはジャケットがあまりカッコよくないこと。並々注がれたビールのイラストはちょっと意味がよく分からない。皆さんも同じように感じていたのかどうか分からないけれども、裏面のバーテンダーっぽいウェルズさんの写真のバージョンもあるようだ。私的にもこっちのほうが断然カッコ良いなと感じる。まあ、音的には全く文句のつけようが無い、お見事です。
そう言えばこのLPではいつも一緒だった「バディ・ガイ」は参加しておりません。代わりに弟の「フィリップ・ガイ」が参加しています。何があったか知らないが少し寂しい気はする。まあ、ギターの違いが私に分かる訳もないので、別に良いのだけれどね。

ブルースを
聴くのをやめたら
趣味が減るッス(ジュニア・ウェルズ)

季語はブルース。

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