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【第85回】ジョン・リー・フッカー/アイム・ジョン・リー・フッカー

この6年間ほど、私は電子レンジや冷蔵庫のない生活をしている。備え付けの冷蔵庫はあるのだが、電源を入れたことがなくて物入れとして使用している。当然炊飯器やトースターもない。そして最近、なくても支障ないなと思ってテレビとブルーレイ・プレイヤーも処分してしまった。そんな話をすると「自分では意識ないかもしれないけれど、それってミニマミストですよ」って言われる。
う〜ん、そう言われてもレコードで音楽を聴いていることを考えると、私はミニマリストとは違うような気がする。正直音楽を聴く分にはデータで十分であろうし、レコードで音楽を聴くなんて、興味のない人からしたら無駄に手間がかかるだけの作業に思えるだろう。でも私はその無駄な手間をかけて音楽を聴くのが好きなので、そう考えるとやはり私はミニマミストではないと思うわけだ。
さらに言うと私はミニマミスト・リスナーでもない。ミニマミスト・リスナーとはベスト盤さえ聴いておけば十分でしょと考えるリスナーのことである。つらつらと書いていて今思いついた単語だ。私の場合、たとえ曲にダブりが生じたとしても、気になるLPは我慢できずに購入してしまう。購入する際に「効率悪いなぁ」なんて思ったりはするけれど、どうしても自分の欲望には抗えない。
そして今まで1番効率の悪かったブルースLPといえば「ジョン・リー・フッカー」の「アイム・ジョン・リー・フッカー(私はジョン・リー・フッカーです)」になる。以前ここで書かせていただいたヴィー・ジェイ時代のベスト盤「ベスト・オブ・ジョン・リー・フッカー」(第61回参照)と12曲中6曲ものダブりが発生している。流石に半分もダブりがあったらとも思うけれども、あまり確認せずに勢いで購入したのだろう。聴いてみてビックリ、やけに耳に馴染みが良いなぁなんて思っていたらそりゃそうだ、半分は聴いたことのある曲なんだもの。
効率は悪かったとはいえ、このLPの出来自体はかなり良い。このLPはヴィー・ジェイでの最初のLPということで、今までのジョリ様の代表曲を再録音したものを数多く収録している。そしてバンド形式の曲が多くてかなり聴きやすいLPだ。ベスト盤に収録されている曲は当然良いのだけれど、それ以外にも聴きどころ満載で私は好きだ。
ベスト盤に収録されていない曲でいうと「アイム・ソー・エキサイテッド」や「ベイビー・リー」なんかがお気に入り。あと「アイ・ラブ・ユー・ベイビー」なんかはジョリ様らしくないポップな曲なんだけど、それがこのLPにメリハリをつけていて良い仕事をしている。LP全体を通して、ジョリ様感は損なってはいないんだけれど、結構いろいろなタイプの曲が並んでいて、そのあたりも聴きやすさを助長しているのではないかな。
そんなわけで、なんだかんだ言って私は「ベスト・オブ・ジョン・リー・フッカー」よりも「私はジョン・リー・フッカーです」のほうを好んで聴くことが多い。ベスト盤を聴くときは「ブーン・ブーン」を聴きたくてってときが多いのだけれど、そのうち「ブーン・ブーン」が収録されているオリジナル盤の「バーニン」も購入しようと考えているので、そうなったらもうベスト盤はお役御免かなぁ。
さて、それでは最後になりますが、言われてみれば"微かに"聴こえる空耳アワーのお時間がやってまいりました。「ホー・ボー・ブルース」という曲の最後、「でっけーな、おばちゃ〜ん、でっけ〜よ、でっけ〜な、おばちゃ〜ん」と言っているような気がします。ご興味のある空耳ストの方は是非チェケラしてみてください。

ダブっても
ブルース愛は(アイム)
より深(ジョン・リー・フッカー)く

季語はブルース。

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