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【第114回】スピッツ/醒めない

1回番外編を軽く挟んで前々回【第112回】、これからは更新頻度を下げつつ、ブルースやジャズに限らずいろいろなジャンルの音楽の話をしようと思います、と書かせていただいた。個人的には当初の目標としていた1年はとっくに過ぎて、2年以上続けることができたし、スゴい頑張ったじゃん、俺、と思っている。それが読み返すと恥ずかしい稚拙なものであったとしてもね。そして、そんなものでも更新すれば必ず見に来てくれて、「スキ」してくれる方もいらして、中にはコメントで昔を思い出したよとか、ブルースについてろいろ教えてくださったり、気に入って全部読んでますなんて言ってくださった方もいらして。嬉しくてホントに涙が出ましたよ。自分の書いた文章がほんの少しでも、他の方の感情に影響を与えることがあったなんて思いもしなかったです。やっててホント良かったです。大感謝ですね。
というわけで改めまして、これからは更新頻度を下げつつ、ブルースやジャズに限らないでいろいろなジャンルの音楽の感想文を書いていこうかなって思っています。今まで遊びに来ていただいた皆様、ホントにありがとうございますと、これからもマイペースで続けていきたいと思いますので、よろしければ今後ともお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

というわけで、今回は現在絶賛ハマり中の「スピッツ」について書きたいと、いや、書かせていただきたいと思う。最近はずっとスピッツさんばかり聴いていて、全てのアルバムを制覇したわけではないのだけれど、現時点での1番のお気に入りのアルバムは「醒めない」だ。
私はスピッツさんが「ロビンソン」で大ブレイクしたときに、その近辺のアルバム(多分「ハチミツ」だと思う)を少し齧っている。でもそのときはピンときていなくて、それっきりになっていた。恐らくは当時若さもあってか、「ミッシェル・ガン・エレファント」みたいな男臭いロック・バンドを好んで聴いていて、スピッツさんはどことなく女子ウケのする、「こんなのロックじゃね〜」みたいな先入観があったのだと思う。超すげ〜生意気な奴ですよね。
さて、そしてお気に入りの「醒めない」は、2016年に発売されたスピッツさんの通算15枚目のアルバムである。私はこのアルバムが好き過ぎて1年間程ずっと聴き続けていた時期がある。リアルタイムではないけれど。
ほぼ全ての曲が好きなのだけれど、特に1曲目から8曲目の流れは完璧だ。まず1曲目の「醒めない」。この曲はロックに衝撃を受けて、未だにロックを追いかけているぜという爽やかな曲で、これを30年以上も活動しているスピッツさんが歌うから説得力がある。「忘れてしまいたい青い日々」と少し恥ずかしがっているところもとってもステキ。それからBメロ「やけに〜単純だけど〜」のときにバックで流れているギターのフレーズが気持ち良い。
そしてシングル曲「みなと」からの、この名曲揃いのアルバムの中でも1、2を争う好きな曲「子グマ子グマ」だ。親が子供の幸せを願うような歌で、子供への応援歌といった感じ。曲調は明るいのだけれど、それが逆に強がっている感じがして切ない気持になる。そういうのを意識して聴くと、「半分こにした、白い熱い中華まん、頬張る顔が好き」とか、情景が思い浮かんできて泣けちゃうのだよね。他にも心に刺さる歌詞がたくさんあって、聴くと未だにウルっとくる曲だ。ちなみに私、子供はいない。
その後も「コメット」「ナサケモノ」「グリーン」「SJ」と染みる曲は続く。長くなり過ぎちゃうので細かくは書かないけれど、どれも好きな曲ばかり。そしてこのアルバムで「子グマ子グマ」と双璧をなす好きな曲「ハチの針」だ。この曲は今までとは少し雰囲気が違っていてカッコよいロック・ナンバーだ。ハチの針=ロック魂を胸に秘めて粋がってるような感じの曲で、聴いていると強くなったような気持ちになる。不敵に微笑む草野さんが思い浮かぶ。「スゴイよ、泳げるの、ハニー」って詩が気持ち良い。
ここまで完璧な「醒めない」だが、ここでひと息「モニャモニャ」だ。このアルバムは大好きで、ずいぶんと聴き込んだのだが、何回聴いてもこの曲だけは好きになれない。優しすぎて退屈なのだよね。ただ最近は後半戦に突入する前の、箸休め的な曲と捉えるようにはなっている。
そうこうしているうちにアルバムは後半戦に突入する。前半戦に比べると後半戦は少し落ち着くけれど、それでもやはり良い曲ばかりだ。底抜けに明るい「ガラクタ」からはじまり、これまためちゃくちゃ心に染みる名曲「ヒビスクス」。壮大な雰囲気のある泣かせる曲で、サビの盛り上がり方が異様にカッコ良い。このアルバムの中で1番最初に好きになった曲なのだけれど、曲名がなかなか覚えられなくて、ハイビスカスという意味だと知ってからやっと言えるようになった。
そして「ガラクタ」同様底抜けに明るい「ブチ」、名曲揃いのこのアルバムの中では、あまり存在感はないのだけれど地味に良い曲「雪風」。アルバムの最後を締めるのは「こんにちは」。アルバムの最後なのに「こんにちは」。スゴく短い曲だけれども、その分コンパクトにまとまっていて聴きやすい。
こんな感じでほぼ全ての曲が好きなんだけれど、「醒めない」はアルバム通して聴くとより良い気がする。当然曲単体でも良いのだけれど、私はこのアルバムを通して聴くことで、ちょっぴり切ないお話の絵本を読んでいるような気分になれるのだ。まあ、本人たちがアルバムに対してどれだけの拘りを持っているかはわからないけどね。
以上、「醒めない」の感想であったが、私はこのアルバムが好き過ぎるので、熱量が半端ないこととなっている。読んでいる方が若干引いていないか不安である。

スピッツの
冷めない(醒めない)想い
引かないで

季語はスピッツ。

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