見出し画像

【第124回】スピッツ/色色衣

昔縦長にパッケージされた8センチCDというのがあって、最近の人はその存在ってご存知なのかしら。曲数は2曲くらいしか入っていなくて、アルバムを発売する前に、先行シングルなんて謳い文句でよく発売されていたのだけれど。最近の音楽事情はよく分からないのだが、ストリーミングとかになるとそもそもアルバムという概念がなかったりしてるのかな。
まあそれはともかく、そのシングルCDの2曲目に収録されている曲をカップリング曲と言って、これがなかなか味のある曲が収録されていたりする。私がシングルCDにまで手を伸ばしたアーティストは少ないけれど、例えば「B'z」なんかは「GO-GO-GIRLS」「GO! NUDE! GO!」「Mannequin Village」「FUSHIDARA100%」とかかなりのカッコ良さで、シングル曲に負けない魅力がある。それから「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」も結構シングルCDを聴いたけれど、「君に会いにゆこう」「ジェニー」が好きだった。そしてなぜか1枚だけシングルCDを聴いていた(他のシングルCDを聴いた記憶がない)「Mr.Children」の「デルモ」がオシャレでカッコ良かったのを覚えている。このようにカップリング曲というのはなかなかに侮れない存在なのだ。例えるならゴールデンには向かないけれど、やりたいことをやれる深夜番組という感じ。
ちなみにカップリング曲って、あまりアルバムには収録されないイメージだけれど、特にデビューして間もないアーティストとかは、そのシングル曲と共に入っていたりすることが多かった。アルバムで両方聴けるのだから、シングルCDを発売する意味なんてあるのかしらって思うけれど、今でいう体験版みたいな意味合いでもあったのだろうか。シングルCDを聴いて気に入ったらアルバムも買ってね、みたいな。それにしてはちょっとお高い(当時1000円した)気はするけどね。
そんなわけで今回は、カップリング曲を中心に集めた(カップリング曲だけではなく、アルバム未収録曲集というコンセプト)スピッツさんのスペシャル・アルバム「色色衣」について書いていきたい思う。シングルCDを聴くことがあまりない私にとって、こういった企画物はとてもありがたい。前に聴いた「おるたな」(第117回参照)も同じコンセプトである。発売年は2004年なので、「ハヤブサ」「三日月ロック」の時期のアルバム未収録曲を中心に集めたという認識で良いのかしら。
先にカップリング曲が中心と言ったけれど、コンセプトはアルバム未収録曲集なので、シングル曲も「スターゲイザー」「メモリーズ」「夢追い虫」の3曲が収録されている。そしてその3曲ともそれぞれ特色があって私は好きだ。「スターゲイザー」は「あいのり」という有名な番組の主題歌である。スピッツさんらしい名曲で、私は特にCメロの「明かされていく秘密〜」の箇所が好き。「あいのり」の主題歌ということを意識して聴くと、歌詞は確かにそれっぽい。番組を観たことはないけれど、多分それっぽい。「メモリーズ」は最初に聴いたとき、スピッツさんってこんな曲もやっているんだとびっくりした曲。言い方悪いけれどチャラいロックという感じ。最初は違和感あったけれど聴き慣れてくるととてもカッコよくて好きになった。ちなみにサビが「ORANGE RANGE」の「以心伝心」に似ている気がする。そして「夢追い虫」、この曲は最初全然ピンとこなかった。地味だしイントロとかもあまり凝った感じしなかったし、テンポもゆったりしているしで。嫌いではないけれどあまり記憶に残らなくて、でも何度も聴くうちに好きになっていった系の曲だ。曲名から夢を追いかけようぜみたいな曲なのかと思ったけれど、実は君と一緒に未来を歩いて行きましょうみたいな歌だ。そして、「あくまでも〜」という歌詞にそこはかとない頑固さを感じる。ただシングルとしてはやはり地味な気がする。良い悪いではなく曲の雰囲気的にというお話。
上記シングル以外でもこのアルバムって全体的に良い曲が多くて、特にこれというのをあげるのが難しい。印象的なのは「SUGINAMi MELODY」という曲。私この曲を聴くと「川っぺりムコリッタ」という映画を思い出してほんのりするのよね。この曲を最初に聴いたときはこの映画のエンディング曲だと思い込んだくらいだ。なので普段あまり気に入るような曲調ではないものの、結構好きな曲となっている。ちなみにこの映画を観ると無性に米が食いたくなる。是非ご観賞あれ。
そんなわけでほとんどすべての曲がお気に入りのこのアルバムであるが、唯一いまいちに感じている曲が「僕はジェット」という曲。この曲はインディーズ時代の曲らしく、アルバムの最後におまけみたいな感じで収録されている。パンクに近いのだろうか、「ジェッ!ジェッ!ジェッ!」と叫んでいて、ちょっとカッコ悪い。他の曲と比べて浮いている感じがするし、いまいちな感じは否めない。念の為言っておくと「じぇじぇじぇ」ではない。
それからこのアルバムは寄せ集めて作られたものとはいえ、結構キレイにまとまっている印象だ(最後の「僕はジェット」が浮いてるくらい)。いろいろな種類の曲が収録されてもいるし、寄せ集めのアルバムとはいえなかなかに侮れない好アルバムであった。
というわけで最後に、なんとスピッツさんにもあった、言われてみれば'微かに'聴こえる空耳アワーのお時間です。曲はノリノリ青春ソングの「ハイファイ・ローファイ」から。場所はサビの部分で「包茎〜!童貞〜!厳しいときもあるけれど」と叫んでいるように聴こえます。下ネタでごめんなさい。

スピッツさん
エロエロ(色色)衣
下(詩も)オッケー

季語はスピッツ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?