【第51回】ハウリン・ウルフ/モーニン・イン・ザ・ムーンライト
皆様、明けましておめでとうございます。本年もマイペースに続けて参りたいと思います。よろしくお願いいたします。さて、では今年もはじめさせていただきます。
私はコレクター気質なところがあって、レコードはできるだけ帯付き、ライナー付きの国内盤を購入するようにしている。まあ国内盤が存在しないものについては帯もライナーも付いていない輸入盤を購入しているけれども、基本は帯もライナーも付いた国内盤一択である。
ライナーノーツはいろいろな情報が知れてとても便利なものだけれど、帯については「あんなもの飾りです。お偉い方にはそれが分からんのです」と某ロボット・アニメ風に言われてしまいそうなのだが、コレクターとしては帯もライナーノーツも揃っていないとどうにも落ち着かない気分になるのだ。
そんなわけでせっせと帯付き、ライナーノーツ付きのLPを探す毎日な訳だが、まあ当然中にはなかなか見つからないLPも存在する。そういうLPと出会うために、マメにレコード屋を巡って、毎日朝昼晩とネットでチェックして、いつかはご縁のある日がくるといいなぁと気長に待っているのだ。
そんな中最も入手するのに時間と手間を労したLPは断トツで「ハウリン・ウルフ/モーニン・イン・ザ・ムーンライト」になる。私はこのLPの帯付き、ライナーノーツ付きを手に入れるのに1年以上を費やしている。しかもこのLP、名盤と名高くてとても気になっていたLPだったので、聴きたくてずいぶんヤキモキしたものだ。
そんな入手に困難を極めた「モーニン・イン・ザ・ムーンライト」はハウリンさんの1枚目のLPとなる。レコードに針を落とすと「ンゥ〜ンゥ〜ンゥ〜」という、まるで「太陽にほえろ」の殉職シーンのときに流れてくるような、もの哀しい唸り声が聴こえてくる。そしてハウリンさん独特のしゃがれた歌声が聴こえてきて、これぞハウリンさんだなと納得させられる。この人の歌声には妙に説得力があるんだよね。
「ロッキン・チェア」(ハウリンさんの「モーニン・イン・ザ・ムーンライト」に続く2枚目のLPの愛称、本当は「ハウリン・ウルフ」というLP名なんだけど、ややこしいのでここでは「ロッキン・チェア」でいきます)を聴いたときも思ったけれど、この人はしゃがれた歌声にとても特徴があるので、どんな類の歌を演ってもきっとハウリン・ウルフにしてしまうのだろうなと感じる。結構ズブズブのブルースを想像するけれど、意外にポップな曲も多い(当然ズブズブのブルースもあります)。そんなポップさもハウリンさんの歌声でかき消してしまうところがこの人のカッコよさである。
どちらかというと「モーニン・イン・ザ・ムーンライト」よりも「ロッキン・チェア」のほうがポップな気がする。そういった意味でいうとハウリンさんの生々しさは「モーニン・イン・ザ・ムーンライト」のほうが出ているのかもしれない。「ロッキン・チェア」では唸り声はあまり聴かれないしね。ただどちらもとてもかっこよいLPなので、ハウリンさんに触れるなら2枚ともに必聴盤です。そういえばCDだとこの2枚をカップリングしたものが発売されていて、まとめて聴けて便利だと思う。2枚合わせても60分を少し超える程度の収録時間だし。
さて、こうして念願のLPを手に入れた訳だが、あまりにも長く探してきたもんだから、なんかゴールに到達したような不思議な気持ちになってしまった。別にこのLPを聴くことが最終目的じゃないのにね。そして今まで常にこのLPが頭にありつつレコード探しをしていたものだから、これからはなんか解放された気分でレコード探しができるなぁと、これまたよく分からん気持ちになっている。
狼(ウルフ)に
ブルース諭され
共鳴(ハウリン)す
季語はブルース。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?