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【第116回】スピッツ/見っけ

私は子供の頃から異様に物を無くすクセがあって、小学生の頃なんかは登校するたびに鉛筆を一本ずつ失くして帰ってきていた。そのクセは大人になった今でも治っていなくて、傘なんかまともに持って帰れたことがない。そのため私は高級な傘は絶対に買わないと決めていて、私が使う傘はビニール傘の一択である。きっと私には「水木しげる」の漫画に出てくる、物失くし妖怪的な何かが取り憑いているのだと思う。最近で言うと、購入して一週間も経たないうちに、自転車のカギを失くしてしまった。スペアを貰っていたので、事無きを得てはいるのだけれど、何処を探しても全然見っかんなくて悲しくなる。ちなみに今までの人生で失くした1番大事なものは恋である。
というわけで、今回はスピッツさんの「見っけ」について書きたいと思う。「見っけ」は通算16枚目のアルバムで、初めて、というか現状唯一リアルタイムで聴いたスピッツさんになる。アルバム全体の感想を言ってしまうと、「こじんまりと上手くまとまったアルバム」という印象だ。
アルバムのオープニングを飾るのは「見っけ」。これから始まるぜって感じのド派手なオープニングからの、「流星のビュンビュンで」みたいに思いついたワードを並べました的な歌詞が面白い曲だ。「ランディの歪んだサスティーンに乗っていくファントム追い越して」とか、一聴しただけでは何を言っているのかわからなくて最高だ。
続いてNHKの朝ドラの主題歌である「優しいあの子」。曲名通り優しさに溢れた曲で、子供向けの歌のようにも聴こえる。ただしっかりバンドしてるところは流石だ。
3曲目は「ありがとさん」。「ありがとう」でも良さそうなのに「ありがとさん」。別れの歌のはずなのに切ない感じはあまり無くて聴きやすい。きっと「ありがとさん」だからだな。
そして続く「ラジオデイズ」「花と虫」の2曲が、個人的にはこのアルバムの大好きポイントになる。「ラジオデイズ」は疾走感のあるサビがカッコ良くて、「君がいたから僕は続いているんだ〜」のところで毎回心が震える。ラジオ愛を歌っているようだけれど、私はラジオは全く聴かない。けど良い曲。そして「花と虫」は優しい曲調だけれど、ちょっぴり切ないエッセンスがあって好き。生まれ故郷のジャングルが砂漠に呑まれそうなのに、「かすかに」しか心が揺れないところがスピッツさんらしい表現で良い。
この2曲でピークを迎えて次が「ブービー」だ。個人的にどうしても好きになれない曲でなのです。曲調もそうだし、韻を踏み過ぎな詩もあまり好きじゃない。高揚してきたテンションがこの曲で落ちてしまうのよね。まあ、こればっかりは好きキライだからしょうがないかなと。
「ブービー」に引っ張られてか、次の「快速」「YM71D(「やめないで」と読むらしい)」は、アルバムを通して聴くとあまり印象に残らない。でも意識して聴いてみると、疾走感があってカッコよい曲なので、曲順的にちょっともったいない気がしちゃう。
ここからの2曲は「はぐれ狼」「まがった僕のしっぽ」と物語色が強め。「まがった僕のしっぽ」は「イエローモンキー」っぽい曲で
「吉井和哉」さんが歌っていても違和感なさそう。途中で曲調が変わって、ヘビメタみたいになる。更にイエモンさんっぽくなって、私は若干置いてけぼりにされる。
そしてラストに向けてひと息つく感じの「初夏の日」。あまり好きじゃない系かと思いきや、結構メロディーとか良いなと感じる。「黄昏れて〜」って部分は言葉を詰め込み過ぎな感じがして、ちょっとダサい気がしたけれど。
アルバムの最後は「ヤマブキ」である。この曲はオープニング・ナンバーとしても違和感ないような曲で、こういう曲を締めに持ってくるところがいかにもスピッツさんらしい。「ヘヘヘと笑ってみた」って詩がステキだ。というわけで、このアルバムは好き過ぎる「醒めない」の後に聴いたこともあってか、若干物足りない印象がある。決してキライというわけではなく、冒頭で言ったように上手くまとまっているという感じ。そんな印象を持ったのも、出だしの3曲「見っけ」「優しいあの子」「ありがとさん」が、とても聴きやすい優等生的な曲だからかもしれないなと思ったり。
ちょっと残念に感じたのは「ブービー」の存在だ。私はこの曲が好きくなくて、この曲を聴くとテンションが落ち着いてしまう。そして、テンションを持ち直せないままアルバムが終わってしまうという感じだ。もしかしたら「初夏の日」と順番が入れ替わっていたら、このアルバムの印象も変わっていたかもしれないなと思ったり。
ちなみに、このアルバムは聴きやすさからなのか結構リピート率は高い。聴くともなくスピッツさんを流しておきたいな、なんてときによく聴くアルバムだ。気づいてないだけで、お前アイツの事好きなんだよ、好きって言っちゃえよ、的な状態だ。

スピッツで
新しい恋
見ぃっけた

季語はスピッツ。

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