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広告塔にされた綾瀬さん

2021年9月、女性週刊誌で「綾瀬はるか」さんの故郷の広島県などで起きた巨額投資トラブルが報じられた。地元の税理士A氏が仲介役になり、B氏を中心とする30代の3人組の投資グループが資産家たちから多額の資金を集め、その返済を巡ってトラブルになっている。A氏のような仲介者は複数人存在し、投資の際は運用を担当するB氏の個人口座に入金。出資者の多くは60代以上の老後の資産形成を目的とした高齢者で、投資額は数百万円から億単位という。A氏や投資グループは、「投資」ではなく「金銭消費貸借契約」であるとし、借りたお金を投資グループが運用、元本を毎月3%ずつ返済し、完済後は毎月3%ほどの利息を配当していくという話だったと説明。綾瀬さんの母親もA氏の仲介で出資した1人だった。

2019年11月、綾瀬さんの実家がある広島市内に設立された「株式会社tapestry(タペストリー)」。母親が代表取締役を務め、綾瀬さんと兄が取締役を務める個人事務所。マネジメントはホリプロに依頼し、ギャラはタペストリーが受け取り、そこから綾瀬さんに給料が入る。会社の設立で収入の30%程度を法人税として納付し、家族を役員にすることで収入を分散、給与所得控除も受けられる。2000年に開催された第25回ホリプロタレントスカウトキャラバンで審査員特別賞を獲得した蓼丸(たでまる)綾(綾瀬はるか)さん。兄は、広島市安佐南区川内で伝統野菜の広島菜を栽培している蓼丸良平さんではないかと噂されている。綾瀬さんの母親は、蓼丸家が代々世話になっている税理士A氏に勧誘され、2020年の春に個人事務所の資金から約1億円を出資した。2021年5月から配当が止まっていると聞かされた綾瀬さんは、東京でサポートを受けている顧問税理士(A氏の息子)に相談し、返金を求めた。綾瀬さんの母親が投資グループに出資したお金は返済されたが、ほかの出資者への返済は滞ったままになっているという。

2021年10月、広島市在住の主婦・山本さん(仮名)は、不当利得返還請求訴訟を提起した。山本さんは、2020年8月に8000万円を投資グループに貸し付けたが、2021年3月頃から元本の返済が滞るようになった。投資グループは、銀行口座の凍結や送金に時間がかかることなどを理由に、解約と元本返済に応じていなかった。2022年6月に、手続は訴訟から調停に移行された。

この投資トラブルを巡っては、2022年11月中旬を目途に、新たな訴訟の準備が進んでいる。投資グループと仲介役のA氏を相手に、出資者の宮下さん(仮名)と遠藤さん(仮名)らが5億円の返済を求めるもので、原告側は女優の綾瀬はるかさんと宮下さん夫婦が一緒に写った写真を証拠資料として裁判所に提出。綾瀬さんを広告塔に使い出資者を信じ込ませるという集団投資スキームを利用した詐欺の実態を証明する。この写真が撮影されたのは2020年の夏頃で、セッティングしたのはA氏。「出資した人には、綾瀬さんとの会食をセッティングする」と勧誘された資産家はほかにもいるという。A氏は綾瀬さんの母親を含む15人ほどの仲介をし、投資グループから手数料をもらったと話している。A氏が所有する不動産は、2022年8月29日に出資者によって仮差押えされた。A氏は2022年に入ってから警察に事情を聴かれ、4月には投資グループの3人も事情聴取を受けた。出資者は広島県内に留まらず、福岡県や大分県にも広がり、A氏と投資グループが集めた総額は60億円に及ぶといわれている。

※ 見出し画像にはPixabayのフリー素材を利用しています。

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