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嗚呼、僕の消防士人生①

僕は消防士だった


20歳から26歳までの6年間


もちろんちゃんとなりたくてなった


なった理由とか、辞めた理由は

そんなにおもしろくないから言わない


でも消防士は


楽しい、と表現していいとは思わないけど


楽しい仕事だった


なんせ面白い人が多かった


純粋に笑える人や、


これまでの人生でなにかを成し遂げてきた人


飽きるほどストイックな人


そんな人がたくさんいたから楽しかった



6年間で一番笑ったのは1年目


現場勤務は

朝から翌朝までの丸一日の勤務で

寝食を共にするし


夜には小浴場みたいなところで

みんなでお風呂に入ったりする


その日は

ある先輩が先に浴槽に入っている上司方を含む僕たちを笑かそうと


椅子に座ると見せかけて


肛門を広げて見せてきた


先輩は肛門が見せ所だったはずで

おい汚ねえもん見せんな!という

ツッコミ待ちだったに違いない

しかし

これが痛恨


肛門の隣にあるイボ痔に


拭き残しであろうトイレットペーパーが


ねじれて引っかかっていた


イボ痔あるやん!!ガハハ!までは想定していても


トイレットペーパーのねじれ引っかかりは

想定外だったのだろう


その先輩は照れていた


想定外だったとはいえ


照れるならハナから肛門なんて見せるな



そう思いながら


僕は笑いすぎて溺れた

お風呂で



肛門のことを菊門と言ったものだが


まるで桜のようだった


桜門でもいいなと思った

春になるといまだに思い出すし。


この"桜田門外の変"を

文章で綴るには

伝わりきらないであろうことが惜しいが


今でもその
考え方とか、心意気みたいなところは

先輩方の影響を受けまくっている



そんな先輩方にはよく飲み会に誘ってもらった

いわゆる合コンだ


消防士はしょっちゅう合コンをしている
(当然、コロナ禍になる前の話)



職場では会ったことないけど


合コンでだけよく会う先輩もいたし


合コンで初めましての先輩にご挨拶だって
何度したか分からない


コロナ禍である今でこそ難しいけど


たぶん30〜40回は行ったと思う


なのに


これが一度も結果を出したことがない


0勝30敗だ


渡米前の田中将大の逆みたいなことだ


その後
女の子とLINEとかのやり取りでさえ続いたこともない


いつも飲み会では特攻をさせられた


まずお前がかませと


あんどう!は身体を張る要員だ


いけっ!あんどう!!
あん〜!


その姿は、まるでポケモンだ


そのくせ僕の飼い主はレベル上げを怠る


進化しそうものならBボタンの連打だ


あんどう!の成功を許さない


ごめんね〜、こんな奴連れてきて!
飲み物ある?楽しめてる?


合コンとは
隅っこでこう言ってるやつが勝つ世界だ


特攻した僕はあの時、


神風になれたのだろうか


一回の飲み会が5000円だとしたら30回で


15万だ


原付が買える


PS5が意味もなく転売料金で買える


15万円あったら、したくもないのに
大袈裟なプロポーズができる

たぶん


15万をかけて


僕の手元に何も残らなかった


だから僕はそれ以来、
お土産はお菓子じゃなくモノ派になった


続く

最強芸人までの道をどうか見届けていただけたらと思います。