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楽しみに待ってくれる人たちに、安心安全でおいしい魚を届けたい

茨城県大洗町でししゃもやほっけなどの水産物を製造・加工する株式会社谷藤水産。明治40年(1907年)に加工業を始め、100年以上の歴史を持つ加工技術で生産・加工・販売までを一貫して行なっています。
今回、総務担当の内田さんと、営業担当の市毛さんの2名に事業者の声として、ふるさと納税で大人気のさば缶の魅力などについてお話を伺いました。

株式会社谷藤水産

ー はじめにお二人の担当する業務について教えてください

(内田さん)私は、入社後は品質管理を担当しまして、国際的な食品衛生管理規格であるHACCP(ハサップ)を取り入れた工場の衛星管理などをしていました。現在、メインは総務業務を担当していて、兼務でふるさと納税の業務も担当しています。以前より会社の全体感を見るようになり、ふるさと納税の業務を通じて弊社の商品を購入いただくお客様との接点もで増えています。

(市毛さん)私は営業を担当していて、自社で製造・加工した商品を取引先に販売しています。現在、全社で約150名の従業員がいて、その多くが大洗、鉾田、北茨城の工場で勤務をしています。その方々が一生懸命、製造・加工してくれた商品をより多くの人たちに届けられるようにと日々活動しています。弊社は水産業で、鮮度感という意味において家族のような明るい雰囲気の社風だと思います。

※HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)
HACCPとは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法

厚生労働省より(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/index.html

ー お二人が仕事する上において大事にしていることはありますか

(市毛さん)私は営業なので、弊社の商品を手に取って食べていただいた消費者の声を大事にしています。ホームページにもご意見をいただいたり、「大変おいしくいただきました」とお手紙をいただく機会もあったりと、そのような声がおいしいものを作って届けようと、私たちの励みになっているんです。弊社は卸しがほとんどなので、消費者の声は本当に貴重なんです。ふるさと納税サイトのレビューも必ずチェックしていて、中には勉強になることやアイデアになることもたくさん詰まっています。

(内田さん)私は品質管理を担当していたこともあり、私だけではないですが、品質については会社全体で意識の徹底をしています。会社方針にもあるのですが、「鮮度の良い魚を買い付けして安心安全な加工技術で皆様の食卓にお届けすることを第一に日々加工を行っています。社員一人一人が自覚を持ち、法令順守のもとに国内海外の水産加工品を提供していきます。」とあるので、安心安全な商品を提供することを大事にしています。

ー 100年以上続く歴史のある会社ですが、お二人が入社してから何か変化はありましたか

(内田さん)いろんな変化がありますが、特に人手不足が顕著になっており、今まで手作業でやっていた部分を機械化して製造する部分も増えてきました。一方で、丁寧に手作業する部分も大事にしていて、若い世代の人材にその技術やノウハウをつないでいく必要性を強く感じています。

(市毛さん)弊社は長い歴史の中で、その間に事業の転換や取り扱う商品も変わってきました。イワシが獲れなくなった時は、輸入業に力を入れてカラフトシシャモを輸入してきて、干物の加工に転換しました。現在、ししゃもは弊社の代表的な商材になりましたし、その観点でいろんな食材の可能性を追求していきたいと感じています。

ー お二人それぞれの印象的なエピソードがあればぜひ教えてください

(市毛さん)私は元々、水産業でない職にいた人間なのですが、実際に水産業に入ってみて、「魚って奥深いな」と感じています。国内で獲れる魚だけでも相当の種類があって、まだ世に知られていない魚もたくさんいるんです。また、魚は栄養価も高く、いろんな調理方法やレシピもあるので、魚に対する熱量が日に日に高まっています。

(内田さん)私は昨年からふるさと納税の担当になったのですが、それまでふるさと納税ってなんだろうくらいの理解だったんです。それで昨年度末に、ものすごい量の注文をいただきまして、梱包や出荷など大変忙しかったのですが、同時にこんなにふるさと納税って注目されているんだ、大洗町のことをこういった形でも知っていただけるんだなと実感しました。弊社の商品を楽しみに待ってくれているんだろうと想像するだけで本当感激します。

ー 続いて、ふるさと納税でも人気のさばの水煮缶について教えてください

(市毛さん)茨城や千葉沖で獲れた脂の乗ったさばを直接買い付けて、自社の冷凍工場で鮮度を保って、1缶1缶丁寧に製造している手作り商品です。寒い時期に獲れるさばを使用していますので、脂が一番乗って、食べ応えある水煮になっているのが特徴です。

(内田さん)テレビでもよく取り上げられていますが、さば缶は健康食としてダイエットやヘルシー志向の方にも好まれています。そのまま食べても良いですし、様々な料理にアレンジできるのも特徴です。ちなみに、私はよくカレーの付け合わせにしています。トマト煮や味噌煮などいろんな味付けがあると思うのですが、どの料理にでも使えるという点で水煮はいいですよね。

(市毛さん)あと、消費者向けのアンケートを取るのですが、その結果を見てみると、味噌汁の具材にしたり、炊き込みご飯やチャーハンに入れたり、女性の方だとサラダに入れたりと、いろんな食べ方があるんだなと気づきがあります。最近は、「魚離れ」という言葉もよく耳にしますが、弊社のさば缶は骨もなく、臭みもないので、子供から大人の方までいろんな年代の方に食べていただける商品です。

ー さばの水煮缶の開発までのエピソードについて教えてください

(市毛さん)缶詰にチャレンジするきっかけは2011年の東日本大震災でした。大洗も被災した町で、1週間以上断水や電気が通らないところもありました。スーパーやコンビニに行っても、食品が全然買えない状態だったんです。そんな中で、他地域からの支援物資に缶詰があったんです。それを見た弊社の会長が「缶詰は栄養価もあって、保存食としても素晴らしい」と、自分たちで製造して世の中に届けていこうと開発が始まりました。さば缶は市場にすでにあった商品でしたが、被災した原体験と、これまで培ってきた水産加工の技術があれば、オリジナリティある缶詰が作れるんじゃないかと考えていました。

(内田さん)少し違う視点ですが、缶詰は賞味期限が長く、即食できるので「食品ロス」の観点でも優れています。水産業は元々、原料をすべてリサイクルすることが前提で捨てるものがないんです。魚の頭や内臓などの食用にならないものは肥料になったり、養殖業の餌になったりするので、実はSDGsという言葉が出る前から取り組みが進んでいるんです。味はもちろんのこと、健康にも環境にも配慮したものなので、大事に育てていきたい商品の一つです。

ー 最後に、お二人からみた大洗町の魅力について教えてください。

(市毛さん)なんと言っても海ですよね。本当に県外からたくさんの観光客の方に来ていただいて、夏場は特にすごい活気に溢れるまちですよね。私たちは魚の可能性を追求していきたいと思っていますが、大洗町も同じくらいポテンシャルがあると思っています。

(内田さん)自然も食も豊かで、観光地なので子供から大人まで遊べるまち。私は鹿島市出身なのですが、同じ海のまちでも雰囲気は全然違うんだなと思っています。たくさんの方にその魅力を感じてほしいと思っているので、ぜひ大洗に遊びに来てください。

取材・編集:萬里小路 忠昭(大洗クエスト・地域おこし協力隊)


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