転職コンサルタントを使わない3つの理由
エンジニア職は転職がとても楽なので、数年に一回ペースで転職してキャリアアップが可能だ。しかしその時に転職コンサルタントは使うべきではないし、採用側としても使うべきではないと考えているので、以下説明をする。
一つだけ、私の話は年収600万円以下のレイヤが対象なので、それより上に行くと話が変わってくる可能性が高い。抜きんでた高生産性の人間は転職活動を外注したほうがメリットが高い可能性を否定できない。
私が他業種を経てエンジニアに戻ってきて改めて驚くことは転職経路の多さだ。世の中になぜこんなにたくさん会社があるのかは不思議でならないし、週に何件もオファーが飛んでくるのも驚いている。最近はスキルセットに裏付けが付いたので、ますます好条件の話が増えている。
対して、今の会社でそれなりの立場を頂いて思うことは、自分が採用側に回ったときの難しさだ。弊社はポテンシャルで採用しているので、現行のスキルが低めでも伸びしろがあれば全然採用する。首都圏の方なら声をかけていただければ普通に会いに行く。今のところSESをしているが、先行きは色々考えているし、給料はそんなに悪くない。教育にもできる範囲で金と手間をかけている。しかしながら本当に人がいない。
当社は規模も小さく私も会社も実力がまだまだないので、転職サイト経由で会う人たちはスキルがないか勤怠に大きく問題があることが多い。これを読んでくれるような読者の方が想像する以上に問題がある。「スキルがない」は「一人称で動けない」という、バックオフィスのわかってない人が言うような漠然とした「スキルがない」ではなく「一週間みっちり教えても一からfizzbuzzが書けない」だし、勤怠の問題は「面接に30分遅れて事後連絡してくる」というレベルだ。率直に言って地獄である。
そこで転職コンサルタントに頼む、という選択肢が出てくるが、私はこれを絶対に使わないことに決めている。利用者側としても採用側としても使うことはおそらくない。
そう考える三つの理由と、どうすればいいのかを記載する。なお、対策部分はノウハウになるので有料にさせていただく。
1.転職コンサルタントは無料ではない
まず「利用無料!お金は企業から取ります!」というキャッチフレーズに疑問を持ってほしい。どう考えても納得してはダメだ。立ち止まって一つ考えてほしいこととして、企業から取った手数料は結局どこから回収されるのかを考慮すべきである。
この話、「お前の給料からだよ」っていう答えしか出ない。多少生産性が高いような仕事をしていたとしてもコストはコストなので、自分に使われるはずの間接費が使われるのは揺るがない事実である。
そして、転職コンサルタントが払うお金は相場で言うと被採用者の年収の3割前後の成果報酬制である。ということは企業側はコンサルへの支払い金額を下げる意味でも、安い給料を提示するのが合理的な行動となる。採用する側も転職コンサルタントが連れてくる人材を信用できる担保が何もないため、もし1年程度で辞められた場合の保険も考慮する必要がある。そこの保険は結局転職者への年収提示から減らされることになる。
2.双方の利益が一致しない
転職コンサルタントの報酬発生は上述の通り基本的には「転職成功の場合」である。つまり、必ずしも「転職者にとって良い就職先を見つける」が目標になり得ない。
転職コンサルタント側の利益についてもっと言うと、「一生同じところで働ける先を紹介する」より、「3年後にまたご利用いただく」のほうがメリットが大きくなる。今のように人材不足が激しいエンジニア業界ならなおさら次の行き先は簡単に見つかるのも含めてそう言えるし、何なら景気の変動などで次が見つからないような事態があったとしても、コンサルは損をしない。結果、「年収・待遇が少しだけ上がりそうな企業をあっせんする」が最適行動になる。
もちろんステップアップを本気で狙ってくれる、プロ意識のあるキャリアアドバイザーも存在はする。しかしながら、この場合は1.で書いた企業側の負担が問題となる。要するに道義的に正しい行動が合理的な選択ではなりえないのだ。
3.キャリアアドバイザーに知識がない
全員とは言わないが、ことエンジニア業界に限っては特に最近酷い人間が多い。管理に携わっていたり、現場のフォローに回っているエンジニアなら絶対知っているであろう話として、スキルがあるかないかはどの言語をやっていたかという話となんの関係もないし、どの会社にいたのか、どの工程をやっていたか、どのプロジェクトで何を作っていたか「だけ」ではスキルを推し量ることは不可能である。
そこをわからないで案件ありきで話をするのはダメなSES営業や、開発会社にしがみついてる仕事のできない人事担当もよく陥いる落とし穴だ。しかし、キャリアアドバイザーについてはアサインだけできればスキルセットの認識誤りについては以降気にする必要がないので、自分の誤りについての修正がききづらい。
結果、何が起きるかというと、「ベンダーコントロール経験がある人間を一人連れてきてくれない?」のような話をそのまま請けてきてしまい、現場にマッチしていない人間を連れて行き、双方が不幸になるような事態が多発するのだ。
採用で見るスキル感について個人的意見を言うと、基本的にエンジニアのスキルはエンジニアでないとわからない。よって正直キャリアアドバイザーが商売するのはかなり無理筋だと私は考えている。
キャリアコンサルに親でも殺されたのか、と言われそうだが、自社・商流含めてキャリアコンサルタントが連れてきた人間でさんざん迷惑を被ったことがあるのもあり、更に最近絡んでくるキャリアコンサルタントがそろいもそろってノースキルで迷惑極まりないため、私以外の人間が困らないようにこの記事を書いた。冒頭に書いたがエグゼクティブだと話が変わってくる可能性はあるが、そんな高いところの話は私は知らない。
あともう一個、身もふたもない話をすると、ちゃんとした人間をちゃんとしたところに送り込むスキルがあったら、アドバイザーなどせずにSES営業していたほうが絶対金になるのだ。今時ここまでは無理なので極端な話ではあるが、10人から10万ずつ抜けば月の粗利が100万になる。なぜそれをやらずにキャリアコンサルタントしているのか、と冷静に考えると、私はそのビジネスに疑義を持たざるを得ない。
使わない理由はいいとして、では、エンジニア側が就職を目指すとして、どうやって求職すればより良い企業に好条件で入れる可能性が上がるか、個人的意見を下に書いていく。
ここから先は
¥ 300
少ないお金はコーヒー代、まとまっていたら書籍購入代に充てさせていただきます。