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バンドリとD4DJとブシロード①~バンドリはオワコンでD4DJは失敗なのか?~

―『バンドリ』は『ガンダム』のように40年、50年続くコンテンツにしたい―

TVアニメの2期・3期を翌年以降に控えた2018年、ブシロードの木谷会長は語った。

今、バンドリのゲーム=ガルパは4周年だ。残り35年だろうか。しかし、実際のところそのようなサスティナブルなコンテンツには見えなくなってきた、というのが正直な感想だ。つまり、オワコンへ足を突っ込んでいる。

また、同社の肝入り新コンテンツ『D4DJ』についても苦戦しているように見える。

今回はブシロードのIP外観も踏まえ、バンドリ・D4DJが本当にオワコンなのか、考察する。
①本当にオワコン・失敗なのか

②だとしたら、何がだめなのか

③そもそも、ブシロードの何が原因なのか

の3つにわける。このnoteは①の位置づけで、②③はそれぞれ別のnoteに記す。

なお、ブシロードは多方面の事業展開をしているが、新日本プロレスとカードゲームについては門外漢であり今回の主旨からは外れるため基本的に触れない。

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〇アプリゲームの位置づけ

ブシロードは、大きくわけて2種類のIP事業を行っている。1つは他社IPのゲーム(ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル等)、もう1つは自社IPのマルチメディア展開である。

この自社IPの代表作こそが『バンドリ!』プロジェクトであり、プロジェクトの要が、ゲーム『バンドリ!ガールズバンドパーティ!(ガルパ)』なのである。
ご承知の通り、『バンドリ!』はまさに同社の核となる大ヒット作であり、最も売上高の大きい作品である。これは、ヴァンガードや新日本プロレスも含めても、最大である。(同社第14回株総文字起こしより)

同社の主なオリジナルIPは『バンドリ!』の他に4つある。『レヴュースタァライト』『アルゴナビス』『D4DJ』『アサルトリリィ』である。この4作品は、同社の会社概要資料にも並列されており、いわば同社の顔だ。そして、それぞれアプリゲームをリリースしている。※1

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まず、コンテンツの人気傾向を図るにはどうしたらよいだろうか。ライブやゲーム、漫画にCD・配信番組と色々ある。

ブシロード社の決算短信に注目する。
デジタルIP部門において最も大きな売上を占めるのは、MOG(モバイルオンラインゲーム)部門である。※2



売上から見てゲームが占める割合が最も大きいということは、「アプリゲームがダメでも他が人気」では同社にとってマズイということであり、同社が最も力をいれる分野の1つであるはずだ。"おまけ"コンテンツではない。


また、常にサービスが走るアプリゲームは、スポットのアニメやライブによる一過性の人気と連動した、客観的な数字である『売上順位(セルラン)』として映し出す。

よって今回は、「アプリゲーム」の売上をIP好調/不調を表すバロメータとして考える。

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〇『バンドリ!』の現状

同社最大の稼ぎ頭、『バンドリ!(ガルパ)』の状況を見ると、凋落、の一言である。Game-iさんのセルランを見てみよう。※3


2018年には月間の平均が40位を下回ることがない超人気アプリだった。
しかし、徐々に人気を落としていき、2020年には50位以上に上がることのほうが難しく、直近(2020年12月、2021年1月)は遂に2ヶ月連続で平均100位を下回る結果となった。

ここで順位を見てもピンと来ない方は下記を見てほしい。
いわゆるトップコンテンツ、例えばFGOや原神クラスだとトップ10だ。

アイマスで最も稼ぐアプリゲーム、デレステで40位前後だ。つまり、2年前くらいまでは、アイマスシリーズと切磋琢磨するレベルの人気だったわけだ。ガルパの直近順位でいくと、ご覧の通りだ。大人気で流行りのコンテンツとはいえない。

100位を下回ったからといって、直ちにサ終というレベルではないが、人気トップ層からこぼれ落ちたことと、何よりも人気の下降トレンドが見て取れる。

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では、なぜ最近凋落したのだろうか。ここでは時系列にそって、3点にわけて分析する。

①コロナ以前からの下降トレンド

デジタルIPにおいて最も影響が強いのはアニメの放映である。ゲームのみならず、やはりアニメが放映されると話題性も高い。
実際バンドリにおいても、アニメ放映中の売上は比較的高順位を保っていた。

下記赤囲み部分は、それぞれアニメ2期、3期の放映期間である。
(2期:2019年1/3 - 3/28、3期:2020年1/23 - 4/23)

ここで見て取れるのは、アニメを放映しても売上が上位でなくなってきた、ということだ。3期ではアニメバフをもってしても最大平均順位41位と、2期の下位成績を下回っている。

また、アニメ放映前(2019年12月)の平均順位が約90位で、放映後(2020年5月)も同様であることから、バフが切れた際の順位が収束しつつあるのが分かる。要は、単純にゲーム(とバンドリ)の人気がなくなってきたのだ。

別観点のエビデンスになるが、2020年3月には、新ユニット「Morfonica」が実装されている。新キャラ・新ユニット・新曲…etc。
新展開に盛り上がりそうなものだが、シャニマスの「ストレイライト」や「ノクチル」のように、過去作のキャラ人気を上回らんばかりの実装にはならなかった。
3月は一時的に40位まで戻しているものの、これはアニバーサリーと同時だからだ。
逆に、アニバ月に新キャラを入れてアニメがやっていてもこのセルランの変動ということだ。

さらに、2019年12月~2020年2月頃といえば、まだコロナの影響は少なく、全国でライブなども行われていたことから、コロナの影響以前に、そもそも前年比で下降トレンドにあったことがわかる。

②コロナの影響

そして、アニメの終了とほぼ同時期にコロナウイルスの影響が襲う。4月7日より緊急事態宣言が発出され、自粛ムードが決定的なものとなる。
そもそも、同社は、デジタルIPと並列しライブIPが主力事業であり、ライブが出来ないことそのものが痛手である。ライブが全く出来なければ、売上の1/4が吹き飛ぶことになる。


5月27日には、役員報酬を減額すると共に、従業員の給料・賞与を含む人件費も視野に入れた大幅なコストカットする発表をする等、極めて厳しい対応を迫られた。

同社のデジタルIPの特徴は、やはりリアルライブである。
バンドリ!の肝であり、レヴュースタァライトやアルゴナビス、D4DJ、アサルトリリィと全てのIPで声優のライブや舞台が目玉になっている。

また、都内の主要駅を埋め尽くさんばかりの広告も特筆すべきだ。"流行ってる感が大事"と木谷高明会長が語るように、バンドリ!等に興味がない層であっても、明らかに誰でも繰り返し目に入るような広告である。

言うまでもなくデジタルIPへの影響とは、ライブもないし広告も目に入らない、という状態に陥ったということである。

この影響で2020年、崩れるようにアプリ順位を落としていった。危機感ある同社は、緊急事態宣言後極めてスピーディにライブを開始した。例えば、メインバンドであるPoppin’Partyは8月、10月にも大型ライブを実施している。

しかし、人気は戻ってこなかった。

③競争の激化

そしてさらに2020年10月、SEGAから『プロジェクトセカイ(プロセカ)』がリリースされる。

また、ほぼ同じタイミングで、ブシロードも負けじと『D4DJ GroovyMix(グルミク)』をリリース。これは同社が"社運"をかけたプロジェクトであるとしてかなり広告等もかけた、期待のアプリであった。

これらは同時期にリリースされたため、どのような影響があったか明確に区別して分析することは難しい。

だが事実としては、どんなに悪くても90位を割ることがなかったガルパがプロセカ・グルミクのリリース翌月から90位へ復権出来ていないということだ。

プロセカは、後発のコンテンツでアニメや大規模ライブもやっていないにも関わらず、ボカロ曲とキャラクター・ストーリーが人気だ。半年経過しているが、セルラン40~50位前後で推移する。一過性ではなく、バンドリが敗北しているといっていいだろう。

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「ガルパ」「バンドリ」が落ち目となってきたのは明らかになってきたと思う。

そこでブシロードが社運を賭けたのが新規IP,『D4DJ』だったわけだ。IPとしてのスタートダッシュを狙っていたのは明らかで、アプリリリース前からライブを行い、多くの広告やYoutubeでの声優番組と、お得意の戦法で盛り上げを狙っていた。

同社自身が、決算短信の中で「爆発的なスタートにはならなかった」と述べる、グルミクの出だしは下記の通り。

10月は1ヶ月丸々ではないので月平均にならないことをのぞくと、100位を上回った月がない。

この結果は、極めて厳しい展開といえる。
なぜなら、2020年10月~翌1月まで、アニメが放送されていた中での結果だからだ。爆発的スタートダッシュを狙ったのだろうが、思うようには伸びない。アニメ中に人気上位にならなければ、いつ人気になるのか。

加えて、同社はD4DJプロジェクト立ち上げのために宣伝販促費を爆発的に増加させており、前年比で1Qの販管費が8億円増加、営業赤字に転落している。

これは立ち上げにかかる一時的なものである、ということだが、逆に一時的にすら上位にいけないということは、これがD4DJの実力だということだろう。あるいはもっと下かもしれない。

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さて、ここまででバンドリ!の凋落とD4DJのスタートダッシュ失敗について明らかになった。

ここまで書くと、"じゃあバンドリは終わるのか?"と思われそうだが、バンドリは絶対に終わらない。オワコンになろうが失策を繰り返そうが、絶対に終わらない。

前述の通り、バンドリはブシロードの稼ぎ頭であり、終わらせることができないのだ。今のところ、他に稼げるものがない。

次のnote(バンドリとD4DJの何が悪いのか)では、バンドリ!とD4DJの何が悪かったのか、何がファンから飽きられてきているのか、細かく見ていくことにする。

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※1厳密にはアサルトリリィは違うのだが、ほとんどブシロードだし会社概要には他と同様に載っているのでそういうことにする

※2ブシロードは他社IPをネット計上、自社IPをグロス計上しているため、デジタルIPの部門別売上の割合を見る際、他社IPの売上については無視して良い。

※3Gameiさんのデータは、売上については必ずしも正確な数値ではないが、順位はファクトである。

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