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【Podcastシリーズ】Offersデジタル人材総研設立の背景

overflowの「声」を伝えるPodcast『overflow fm』📻
プロダクトや企業理念、カルチャー、メンバーなど、ありのままを生の声を通してお届けしています。

2022年6月14日、overflowはデジタル人材の採用・定着・活躍に関する情報提供をする「Offersデジタル人材総研」を設立しました。

今回のゲストは、Offersデジタル人材総研所長である久松 剛さんです。総研設立の背景や今後の構想に加え、直近のITエンジニア採用のトレンドをテーマにディスカッションしました。パーソナリティはCEOの鈴木です。

久松 剛|Offersデジタル人材総研所長(@makaibito
博士(政策・メディア)。2012年よりベンチャー企業を中心にインフラエンジニア、エンジニア採用、チームビルディング、情シス設立、上場、海外拠点エンジニアリングマネージャー、アカウントマネージャーなどを歴任。2022年2月より合同会社エンジニアリングマネージメントを創業し、複数社の開発組織構築に関わる。2022年5月よりOffersデジタル人材総研所長として参画。

※本記事はPodcastをベースに再構成しています。


設立のきっかけは、人材の流動化と働き方の変化

鈴木
こんにちは、Overflow fmです。今回のゲストはOffersデジタル人材総研の所長に就任された久松 剛さんです。最初に自己紹介をお願いいたします。

久松
Offersデジタル人材総研の久松です。経歴は少々珍しく、20代のときは大学教員を目指していて、ITの専門領域として「政策・メディア」の博士号を取得しました。現在で言うところのブロックチェーンやWeb3の領域で、P2Pの走りとなるようなものを対象に研究していました。

そこから、マッチングサービスのインフラエンジニアをやりながら、エンジニア組織で採用やチームビルディングを三社にわたって担当し、2020年からはエンジニア採用、定着、活躍をキーワードにnoteの投稿を開始しました。

さらに、2022年に合同会社を設立しまして、複数社でITエンジニアの採用、定着、活躍などのコンサルティング業務を中心に活動しています。そして今回、Offersデジタル人材総研の所長をお引き受けした形です。

鈴木
ありがとうございます。早速本題ですが、Offersデジタル人材総研の設立のきっかけを教えていただけますか?

久松
はい。現在のITエンジニア界隈では、人材の流動化がかなり起きています。海外人材はすぐに仕事を辞めると言われたりしますが、日本人も約2年で辞める人がめちゃくちゃ多いんですよね。この「人材の流動化」をまずは整理しなくてはならない、というのが設立の目的の一つです。

また、直近ではITエンジニアを巡る働き方が大きく変化しています。結果として、採用費が高騰したり、エンジニアに支払う給与が上がった影響で経営が傾いてしまう企業が出たりするようになりました。今は、エンジニアの採用や定着に、経営目線でのコストパフォーマンスが求められている局面にあると感じています。そこを主眼に活動していきたいというのが設立のもう一つの目的です。

鈴木
私の視点から見ても、働く環境しかり、雇用や採用、育成や活躍といった部分も含め、前提とする価値観がガラッと変化したのがこの2,3年なのかなと思います。そうなると、新しい働き方の“ファクト”を求める人が増えていくんですよね。

我々は、複業転職人材循環型社会フレキシブル経営などを自社他社問わず実践してきたので、ファクトとなりうるような実証数字が積み上がっています。それを外部の皆さんに公開して、未来の働き方とか、未来の採用とか、そういった文脈のヒントにできればと思います。

久松
以前、とある企業とエンジニアの地方採用を検討した際に、企業の担当者からエビデンスを出すように言われたんです。どこの地域にITエンジニアがどれくらいいて、そのうち何%が求職しているのか、など。でも現状は、そういったデータはないんですよ。エビデンスやデータに基づいた分析は、採用現場においてかなり需要があるというのを体感しました。

鈴木
ファクトデータもそうですし、いざ実践となると地方にいる方とどのようにプロジェクトを進めるのか、業務委託の方をどう評価するのか、という発展的な課題も発生してくると思います。我々が実践してきたことをいい形で公開していけるといいですね。

データに基づく現在のエンジニア採用市場

鈴木
次の議題なんですけれども、現状の日本のエンジニア市場というのはどうなっているのか、ぜひディスカッションしたいと思いまして。久松さんはエンジニア市場をどのように見られていますか。

久松
人材紹介の成約時のフィーが非常に高騰しているという問題があります。例えば、ITエンジニアを採用しようとしたときに、1,2年前までは理論年収の35%が紹介フィーだったんですけれども、今年は下限が40%になっています。実際には35%でも契約はできるのですが、人材紹介企業の方と話してみると、40%を切っているお客様には接触をしていないというケースもあるようです。

多くの人材紹介企業で、期間限定、職種限定でフィーのアップキャンペーンをするのもスタンダードになっていまして、50%もかなりメジャーになってきています。特に加熱しているところでいうと100%というところもあったりしますね。

そうなるとやはり、人材紹介だけで採用活動をするのはコスパがよろしくないと。結果、現在は社員紹介、つまりリファラル採用の奨励費が上がってきているようです。

鈴木
なるほど。直近の採用活動のトレンドはありますか?

久松
非常に面白いところでいきますと、採用活動ではSNSで直接声がけをしてしまうというムーブメントが起きている印象があります。人材紹介経由の求職者は多いと70社近く受けていたりするので、倍率自体ものすごく高いんですよ。それであれば、SNSで直接スカウトしてしまおうという流れです。

また、別軸にはなりますが、離職率も気になるところですね。情報通信業に限ると、年間離職率は9.7%*ということで、10人に1人は入れ替わっているんです。(※厚生労働省の雇用動向調査より)

鈴木
情報通信業の離職率は、他の業態と比べるとどうなのでしょう?

久松
高いですね。さらに、企業規模別で見ると、100人〜299人という小規模中規模ベンチャーの離職率が一番高いというのがわかりました。令和元年のタイミングでは17.9%、つまり約5人に1人が離職しています。そうなると、ある程度離職の可能性を含んだ上で予算の計画を立てていかないと厳しいかなと感じているところですね。実際に、私が支援している企業では、採用予算とは別に退職予算をつくっていたりします。

鈴木
離職率が上がっているのって、久松さん的にどういった要因が大きいと思いますか?

久松
多くのエンジニアにインタビューしているんですけど、昔に比べて転職のハードルが下がってきたというのは非常に大きいかなと思います。SNSや企業別年収比較サイトなどを見て、自分も挑戦しようかなという人が多いですね。実際にスカウト媒体を見てみても、今まで全く転職活動していなかったのに10年ぶりに活動する人も見られます。

企業規模別離職率の話に戻ると、非常に興味深いポイントがあります。大企業の方々の10年前のデータでは、3~5%しか離職していなかったのですが、直近のデータでは10%弱という数字がでています。大企業信仰というのも、徐々に変わってきているのかなと感じますね。

市場の課題感を解決する、新しい採用手法

鈴木
先ほど、久松さんが人材紹介のフィーの高騰を課題として挙げられていましたが、私としては「お金を払えた企業が勝つ」という市場を疑問視している部分があって。どのように解決していくべきか、ヒントはありませんか?

久松
いくつか観点があると思います。採用費を抑えるという概念でいくと、社員にリファラル奨励費を出すのが王道の一つです。

あとは、短期離職はかなり経営にダメージがあります。例えば、1000万円の人材を50%のフィーで採用した場合、採用費は500万円になります。もしカルチャーマッチしなかった場合、短期間で500万円が消えるので、とてもじゃないけれど元が取れたとは言えません。

これを解決するために、お試しとしての副業や業務委託といった形で、徐々に人物を理解していくという方法があります。副業や業務委託であれば、スタートにかかる費用も抑えられますし、カルチャーマッチのすり合わせができて長く働く可能性が高まっていきます。

あともう一つは、新卒ですね。新卒は前職という概念がないので、カルチャーマッチを図りやすいやすいという言い方はできますね。

鈴木
ちょうど副業や業務委託というお話がありましたが、overflowではフレキシブル経営と呼んでいる経営スタイルを導入しています。現在うちでは150名くらいのメンバーが手伝ってくれていますが、そのうち正社員は30名で、120名は業務委託です。正社員30名のうち8割が複業転職、つまり業務委託を経て転職してくれているんですけれども、やはりおっしゃる通り、採用に関わるコストはすごく低いですね。

副業だとリファラルで繋がりを持てる可能性が高いですし、求人媒体で「副業からOK」と言えるかどうかで自然応募の数が全然違うと実感しています。

また、複業転職はコストだけでなく、LTVという観点においてもメリットを感じています。カルチャーフィットし、活躍イメージを持った状態で入社してくれるので、長く働いていただけるんですよね。僕ら自身も非常におすすめしたい採用手法ですし、徐々にこの考え方が受け入れられつつあるとも感じています。このあたりのデータを出していけるといいですね。

久松
はい。私が関わっている企業さんにはスタートアップ企業も多いんですけど、どんなに正社員が欲しいといったところで、社員数が1,2名のところにいきなり正社員転職するのは怖いと思う方も多い。一旦副業として入って、働きやすさであるとか、実際の経営層のやりとりを確かめ、お互いに合意したら正社員として入るという流れはもっと一般的になるのかなと思います。

現在は「スタートアップブーム」というのもあるので、この考えがより広がっていくと感じますね。

鈴木
そうですね。また、入社後はメンバーのモニタリングが事業上必要になってくると思います。アウトプットは上がっているのか、下がっているのかという。我々は現在新規事業を控えていますが、そこでモニタリングの課題も解決・サポートしていけるようになるので、新規事業を通して得たデータで見えた傾向も発信していけたらと思います。

では、最後になりますが、今後のOffersデジタル人材総研の取り組みを教えていただけますか?

久松
初回のコンテンツとしては、ITエンジニアのキャリア形成に関わってくるサービスやシステムをカオスマップとしてまとめたものと、あとは、Offersのデータベースの中にいる各エンジニアのスキルセット別成約数を公開いたしました。

今後は、副業人材やスカウト媒体というキーワードで、スキル別の時給や成約単価、スキル別の求人倍率といったコンテンツに取り組んでいきたいと思います。

さらに、エンジニアの働き方の多様化という点ではいくつかテーマがあると思っています。例えば、副業をなぜやろうとしているか、転職では何をきっかけに検討したのか、どこに、なぜ住んでいるのかなど。副業人材やITエンジニアが何を考え、何を求めているかを統計やインタビュー、座談会の形で提供できればと考えています。

鈴木
ネタは盛りだくさんですね。今後のコンテンツに皆さんぜひご期待ください。それでは久松さん、ありがとうございました。

久松
ありがとうございました。

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