学園祭開催日に初めて大学へ行った。(参加したとは言ってない)

僕はあまり学園祭が好きではない。

僕にも中高それぞれ文化祭や学園祭があったが、覚えていることは当番で駐車場の整備をしたことと知り合い同士で可愛い子が居たら互いに紹介してLINEを交換できたり、できなかったりといったことぐらいだ。

大学生になり毎年のように学園祭が行われると思っていたなかで、大学1年次はバイトの方を優先していた。どうせ2年、3年でサークル活動の一環で参加せざるを得ない状況にでもなるだろうと思っていたからだ。しかし2年、3年になっても学園祭に参加することはなかった。というか学園祭自体がなかった。そのため今回が初めて参加しようと思えば参加できる年であった。

だが僕は今年も学園祭に参加するつもりはない。学園祭に行きたいという周りの知り合いはもう誰もいない。参加するぐらいなら映画でも観に行っているだろうし、金が無いなら1人でどこかへ散歩した方が恐らく楽しい。

そう思いながら僕は
学園祭当日に大学へ向かっている

だが学園祭に参加するためではなくいつも通り研究と勉強を行うためにである。学園祭は土曜日であったが、そもそも僕は土曜日も大学へ行くことが当たり前になっている。土曜日は前日の実験の解析とこの1週間で行うことができなかったことを全て片付けている。

「4年生なのに土曜日に大学へ行ってるの?」

と思う人もいるかもしれないが大学院に進学するし、自宅ではどうせ集中して勉強できないので別におかしなことではない。幸いゼミ室の階数は高い位置にあるのでそこまで学園祭が気にならないと思う。さらに学園祭が行われること自体に嫌な気持ちは一切ない。勝手にやってくれという感じだ。そうして学園祭当日いつもより少し遅く9時30分ごろ自転車で大学へ着いた。

正門をくぐると意外としっかり学園祭が行われていた。テレビにも出ているお笑い芸人が今日は来るらしい。意外と人もいた。大学にこれほど老若男女なのは後にも先にも見ることのない光景の1つになるだろう。これはこれで逆に勉強に集中できるかもしれない。そう思いながらいつも通り自転車を置きに行こうとすると学生から学園祭のパンフレットが渡された。

もちろんこんなもの僕には必要ないが、こんな日に登校する大学生など学園祭目当てに見られてしまうものだ。そのパンフレットをパラパラと見ながら学校に着いたら必ず行うルーティンである大学の図書館へ向かった。だがここで僕は1つだけ学園祭を行なってほしくない理由ができてしまった。

学園祭中は図書館が休館だということだ。

恐らく全学生の99.9%にとってはどうでも良いことだが、僕にとってはそうではない。

僕が大学へ行くと最初に必ず図書館へ行くのは新聞を見るためである。眠いままの頭を完全に起こすのにちょうどよく何より無料で読めるためだ。ちなみに読んでいる新聞は日刊工業新聞である。最近ようやく新聞がどれだけ凄いものかわかった気になり、このことについても書きたいのだが、それはまた今度にしよう。

そうして新聞を読むことがないまま前日の実験の解析を行い始めたのだが、珍しく教授も土曜日に学園祭とは関係のない用があるらしく大学へ来ていた。途中で教授と2人でもらったパンフレットを見ながら雑談をしていると2人とも「学園祭が楽しそうでいいな」という意見が中心でそこから「意外と屋台が出ている」ことや「お笑い芸人の声が聞こえてくる」など今思えば僕も教授もどこか学園祭に対して羨ましく思ってそうな発言が出てきていた。

そうして昼の時間せっかくだから屋台の料理を買いに行こうと思ったのだが、学生が作る料理など美味しいわけがないという偏見と多少の学園祭を行なっていることへの羨ましさからこんなことを考えた。

「この大学の誰よりも美味しいものを
この校内で食べてやる」

せめてものマウントである。誰に対してへのマウントかは自分でもよくわからないが。そうして僕は最近できた近くのステーキ丼の店に行き、2500円もするステーキ丼をテイクアウトしゼミ室で食べた。こんなに高い料理を1人でランチ時に食べるなんて前代未聞である。もちろん美味しかった。なんならここ最近食べた料理の中でダントツで美味しかった。

え!?本当は友達と屋台を回りたかったんじゃ無いのかって?

そうに決まってる。当たり前だ。そっちの方が楽しいに決まっている。飯を買いに行くとき家族連れの親子がまずそうなポテトを食べていたけれども僕が食べているときに見れた笑顔や、学生が売店で楽しくなりながら料理を作っているのを見て良い週末を過ごしているんだなということは感じていた。

そんなことをした結果いつもよりやる気がみなぎっていた。結果として予想していたよりもだいぶ先まで進めることができた。意外と学園祭中に孤独で勉強することは集中できる環境なのかもしれないと思った。来年も何も予定がなかったら1人で勉強しに大学へ行こう。

かなり悲しい気持ちにはなるが。

読んでくださりありがとうございました。

(2022/11/05)

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