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松葉杖で渋谷を歩いてみた

先日、公共空間の社会実験の準備中に右脚が痛くなり、最後には自力で立てなくなってしまいました。
診断は「腸脛靭帯炎」。通称ランナー膝と呼ばれるらしく、長距離ランナー等によく見られるそうです。

痛みを覚えてから一週間くらい経ちますが、5分歩けば、まともに歩けません。休めばすぐ痛みは引くんですが、継続して歩行ができないことが、日常生活に支障が出ています。

ですので、整形外科から松葉杖を借りて、しばらく生活しています。ちなみに、松葉杖は人生で初めてです。
そこで、いい機会なので脚の悪さを利用して、バリアフリー的な課題経験を得るために、渋谷に行ってきました。当事者になってわかる都心の障壁事情を感じたまま書いてみようと思います。

電車で渋谷へ

筆者は西武池袋線沿いに居住しています。Fライナーで乗り換え少なく渋谷に着きます。渋谷へはいつもこの電車に乗っているため、今回も同じようにFライナーに乗ります。

特に何にも考えず、車両の真ん中から乗りました。ちょうど席は満席、立っている人はほんの数人程度の混み具合です。
脚が悪いだけで立つことはできるので、入り口付近、扉にもたれながら普通に立ってました。

すると、遠くの席から1人の女性が小走りで私に近づいてきます。
「あそこの席どうぞー」
普段そんな声のかけられ方したことなかったので、咄嗟に遠慮なくと断ってしまいましたが、さらにその女性が「だって脚が、、」といいます。
よく見ると、空けてくれた席の近くに立つ人も座らずにこちらをみてる様子。申し訳ない気持ちになりながら、空けてくれた席に座りました。

松葉杖をつく人というのが、思ったより目立って見えることが改めて感じる瞬間でした。

渋谷駅に着いて、とりあえず地上に出ます。副都心線が通るホームは地下5階、ここから地上に出るのに非常に苦労します。

いつも通り、Google mapで行きたい場所に近い出入口番号を覚えて向かいます。ここで障壁になったのが、階段でした。

階段は上れないことはないが、どうしても上ることに時間を要してしまうため、エスカレーターかエレベーターでいきたい気持ちがあります。
本当に最後地上に出るタイミングで、階段になってしまい全然出れません。ようやくエレベーターを発見し、地上に出ます。ここでエレベーターの少なさに気づきました。

エレベーターの案内。これを見ないといけなかったと帰りに気づく。

渋谷を歩いて北谷公園へ

渋谷に来た理由は、なんと言っても一般社団法人ソトノバが主催する「Park(ing)Day、まちをかえる展」に行くためです。脚が悪く行きタイミングで行けず、最終日に滑り込みで行ってきました。

企画展はいろんな方の滞留空間へ。素敵な空間でした。


展示会の会場は、北谷公園。公園通りを通って10分ほど歩いた場所にあります。この北谷公園に行くことが一番の難所でした。

坂道を松葉杖で歩くことが難しい

松葉杖は脇と杖の上段のクリアランスが‘指3本分程度’を目安に設定されてます。一方で、公園通りの道路勾配は場所によって4%あります。

渋谷駅周辺の道路勾配(出典:渋谷駅周辺地域交通戦略)

北谷公園に向かった上り坂は、松葉杖と地面の相性が悪いです。特に所々隆起している箇所もあり、よく躓きました。

人流速度が異なり歩く難しさ

体感ですが、歩行速度が松葉杖になることで半減します。そのため、どうしても渋谷エリアの若い歩行速度についていけませんでした。ある程度は避けてくれるんですが、群衆密度が高く、ぶつかることも多々ありました。

休憩できない苦しさ

いつもなら多少疲れたら、カフェに入ってしまうんですが、カフェが一階に全然ありません。あったとしても、日曜昼過ぎ、長蛇の列です。目的地の北谷公園内のブルーボトルコーヒーも長蛇の列、、、
正直、松葉杖を持って入る気になれませんでした。

渋谷駅内にあるUPLIGHT COFFEE。ここは毎回何席か空いているのを知っているので、頑張って歩きました。

カウンターで注文して、優しい店員さんが「席までお待ちしますよ」と声かけてくれました。
過酷な渋谷の道のりで、ようやく一休みできました。

シュークリームとコーヒーが美味しいお店

この脚で渋谷に出掛けた感想

バリアフリー動線の連続性の部分で、上手く移動ができなかったことが発見でした。いつも見ているサインが全く機能せず(階段だから上れない)、別のサインを見ないといけなかったと気付かされました。

渋谷の空間は、この状態の筆者にとっては歩きにくさが目立ちましたが、渋谷を行き交う方々は非常に配慮しながら避けたり、譲ったりしていただきました。

最後に、松葉杖でのお出かけは相当腕に負荷がかかります。今日30分くらい歩きましたが、もう腕と脇あたりがパンパンです。そんな勉強と筋トレになった1日でした。

追伸)帰りも席譲っていただきました。みんな優しすぎる。

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