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Anterior Drawer Test:前十字靱帯(ACL)損傷の検査

Anterior Drawer Test(ADT、前方引き出しテスト)もおなじみのテストでしょうか。
改めて、その方法や診断制度をみてみましょう。


結果からなにが考えられるのか?

前十字靱帯(ACL)損傷の検査。

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー社.

ACL損傷の検査としては、代表的な検査ですね。

検査方法

1患者さんは背臥位。
2検査側の股関節、膝関節を90°屈曲位。
3脛骨粗面周囲を把持。
4脛骨近位部を前方へ移動させる力を加える。

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー社.

90°屈曲位から前方へ引き出します。脛骨の回旋などは必要なさそうです。

陽性時の所見

・非検査側と比較して可動性が大きい。

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー社.

評価の精度

感度73%
特異度93%
陽性尤度比6.79
陰性尤度比0.29

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー社.

診断精度に関してはこちら

感度・特異度が共に高く、検査として有用な可能性が高いですね。

関連する文献

Anterior Drawer Testに関する文献を探しました。

N Sultana, M Shirin, S Jabeen, M A Faruque, S K Sarkar, U K Nag, S Nabi. Diagnostic Accuracy of Magnetic Resonance Imaging in Evaluation of Anterior Cruciate Ligament Tear. Mymensingh Med J.2023 Jan;32(1):200-206.

こちらの論文では、MRIとADTの診断精度の比較を行なっています。やはり、MRIの方が、正確であると結論づけられています。しかし、実際の臨床では、MRIには費用や時間などがかかりますが、ADTなどの整形外科的テストは比較的短時間で行うことができます。整形外科テスト&MRIでのより正確な診断が重要です。また論文内では、ADTなどはヒューマンエラーが起きると記載してあります。整形外科的テストの欠点はその辺りであるでしょうか。再認識しました。
考察では、参考文献からADTの感度は91.43%、特異度93.33%、陽性的中率と陰性的中率はそれぞれ95.52%と87.50%と記されています。
これだけみるとかなり検査としても有用そうですね。

ではでは。

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