Netflix「極悪女王」の感想を語る話
私はプロレスが好きだ。総合格闘技よりもプロレスが好きだ。ブック(事前に決める試合の勝ち負け)やアングル(リング外でのストーリー展開)といった裏事情も踏まえた上で虚構と現実の狭間の中、レスラーそれぞれの人生がリングに凝縮されている様が好きなのだ。
と言いつつも、女子プロレスに関してはほとんど知らず有名選手の名前を知っている程度。そんな中、女子プロレス界のレジェンド、ダンプ松本の半生を描いたドラマ「極悪女王」がNetflixで始まるとのこと!プロレス好きとして興味津々で見てみることにした。今回はその感想をちょこっとだけお話したいと思う。
さて、「極悪女王」。全5話とコンパクトな作品なのだが、これがまぁ面白かったのである。
このドラマのお話は簡単に言うと、花形レスラーに憧れつつも挫折した主人公が逆にヒールとしてスターになっていく物語である。
時は1980年代。金銭問題やDV、果ては女性関係でも迷惑をかける父親を嫌う主人公松本香(ゆりやん)は、やがてビューティーペアに憧れて全女プロレスに入門するも、どんどん同期と差が出てくる。身体能力に優れた同期のライオネス飛鳥(剛力)と違い、落ちこぼれ扱いだった同じく同期入門の長与千種(唐田)と親しくなった松本。だが、やがてライオネス飛鳥と長与千種はクラッシュギャルズを結成。爆発的人気を獲得することとなり、松本と長与にはやがて大きな差が出てきてしまう。元来、優しい性格の松本だったが、やがて大ブームとなったクラッシュギャルズと敵対するヒールとしてダンプ松本として生まれ変わることになる。
ドラマでは、このダンプ松本誕生の経緯が父親との確執から来るやり場のない悲しみや怒りからきたものとして描かれていたが、実際には会社からヒール(悪役)として決められたことによるものだろう。レスラーはリング上でキャラを演じる、というのはプロレス好きなら周知の事実だろうが、その分苦悩も多いと思う。本当はベビーフェイス(善玉)として観客の声援や歓声を得たいのに、ヒールとなれば観客からのブーイングや罵詈雑言を受ける日々。与えられた役割を愚直に果たすしかないレスラーの葛藤を最終話では(ネタバレになるので詳細は伏せるが)目頭が熱くなるブック破りの展開とファイトで見せてくれる。さらにすごいのが最終話の劇的な展開がほぼ実話であるということ!YouTubeで当時の映像を見ることができたのだが、目頭が熱くなる良い映像で、こういうのがあるからプロレスって良いんだよねと心から思えるものだった。
さて、今回主演のゆりやんレトリィバァは本作のために1年をかけてトレーニングをし、体重を増量して役に臨んだ。他のキャストも文字通り体当たりの演技を見せてくれた。例えばスキャンダルで女優としてのキャリアが断たれたかに見えていた唐田えりかや、今となってはあまり表舞台に出ることも少ない剛力彩芽も激しいプロレスを体当たりで演じている。唐田は髪切りデスマッチに挑み、剛力はジャイアントスイングを披露していたのが本当に驚き。この二人の女優としてもう一度這い上がりたいという強い気持ちが画面を通して伝わってきたのも印象的で、これもある意味プロレス!と思った。
ただね、このドラマ思った以上に試合の展開で血みどろな場面が多いのです。ホラー耐性がない方はもしかしたらダメかもしれないので一応釘を刺しておく。
最後に昔ね、ダンプ松本を秋吉台の鍾乳洞で見かけたことがあるのですよ。もうすでに引退されていたけど、お母様と思われる方と仲良さそうに鍾乳洞の見学をされていた。TVで見るダンプ松本と違って、思ったより背が小さくて、柔和で優しい顔だったダンプ松本の姿は今でも鮮明に覚えております。
ではではTo be continued……
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