【散文詩】詐欺師の恋と正直者の落し物

気配を消して接近する

背後を取られて敗北確実な誘惑に

お手上げの降参

嘘でも空っぽの心でも

離れたくないなら

奇矯な寝言に蝕まれた脳ミソに

付き纏う記憶が亀裂骨折

乾いた裂帛の腹腔の圧力

暗黒の空間に粘着く舌触りと

視覚に依存する限界値を超越した享楽

象徴界は挙動不審な怯えと自己に宛てた脅迫状

五感の壁が崩壊する