逆しまの嘘はそれでも水銀の光沢に

好きとか嫌いとか

どうでもいいって

分からない


いっしょにいる

それとも出ていくの

関係ないって

意味不明


離れだした思いは戻らない
言いだしたのはそっちでしょ
どんなコトバかも思い出せないから
退屈な空気が紫に揺蕩う夕暮れのひとりごとは
薄皮を削ぐカミソリ

痛くて突き放す両腕は
背中を向けた右手首を掴んで止めても
振り返る飽きれて澱んだ視線に
思わず手離す愛情

思いやりとか優しさは
信じてはいないふたり
良いも悪いもない
沈黙は秋茜の翅の脆弱さ